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廣島  作者: 火村虎太郎
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紙屋町ジェイフォージェイ


広島にはいわゆる歩きのメイン通りとなる物がある。

長く続くアーケード、本通商店街、通称本通だ。


その入口にあたるのが紙屋町だ。

そして八丁方向へと進み、

パルコ、お好み村などのある場所が終点。

ここがいわゆる八丁のど真ん中だ。

そしてここから大きな道路を渡れば、流川だ。


「あっ居酒屋どうっすかぁ」

「すぐそこですよ」

「大人数席取れますよ」


そのアーケード入口では、

都会ならどこでも見かけるキャッチ・・


「観光で来てんだけど、どこかいい店ある?」

「はいっここ居酒屋ですけど、お好み焼きもありますよー」


「今から会社の人間7~8人来るんだけど空いてるとこある?」

「でしたら、ここが・・」


紙屋町ジェイフォージェイだ。

この不良少年少女達はそのほとんどが無職だ。

そりゃ不良になるくらいだから、

真面目な仕事は続かないし、楽して楽しく稼ぎたいって考え。


基本は紙江田のシノギで食わせて頂いてる身だ。

居酒屋のキャッチに、泥酔客などの処理ガード


そして夜も遅くなれば、若者が寄ってきて・・


「チャッス・・・今日・・有るっすか?煙で。」

「金額は?」


薬物売買。


「5千分・・」

「ん。じゃあお金だけここで。」


そういって別のメンバーに電話を掛け・・


「今からそっち行かすから5千で」

『了解』


薬物売買は慎重に・・

面倒だが、一度で金と薬の受け渡しはしない。

あくまで貸したお金返してもらっただけと、

たまたま落ちてた薬を拾っただけだ。


今の時代は、抗争にいきなり全面戦争なんてありえない。

まずはこの『生活』が大事。

そしてなにより負けない事が大事だ。


なるべく少ない戦力で相手を叩く・・これが基本だ。

全部出て行って負けようものなら、それが確実な敗北だ。


いつの時代も勝ち負けの明確な定義はないが、

もう歯向かう者がいない。・・・がゴールだろう。


だが一度やられても・・


「ウチはやられても最後の一人になっても戦うよ」ジュリ

「まぁ、でももうほぼ負けだけどな」

「はよ落としてこいって、客待ってるぞ・・」。


だがまだ負けじゃない。これが大雑把な定義だろう。

もう歯向かう者がいない・・これが明確な線引きだ。

あとは負けを認めさせて謝罪さすか・・


主に不良はこれを狙うんじゃないだろう?

相手にこいつ等はヤバイと思わせて、

とにかく基地外を気取って無茶する事によって。


理想は襲撃・・


これはかなり効率のいい抗争の終わり方だ。

襲撃された方は自陣の方が勢力が勝っていても、

パニックになり逃げ惑うのが常だ。


その先手必勝を仕掛けたジュリだったが・・


「お前なんで八丁飛び越えて流川行くんだよ!」

「しかも忙しい時間に!せめて深夜にしろよ」

「だってそりゃ、どうせやるなら・・・・」ジュリ


気に入らない奴やるでしょ?

これが八丁のガキにカスリ取られた原因だ。

ジュリが数名を引き連れ流川に・・


「そっちが対応してくれてても良かったやんっ」ジュリ

「バカっ俺等『ホール』入ってたんだよ!」


居酒屋のキャッチの後は常駐のガードの仕事だ。

ガードと言ってもこのあたりのセキュリティーは・・


「居酒屋だけどな・・」

「ああ・・だっせぇ・・ただのバイトやんっ」ジュリ

「そりゃクラブとかのホールセキュリティーしてぇよ」

「黒服もかっこいいよな。夜の仕事って感じで」


流川の不良は何か最先端と言うか・・


「まぁ、ジュリも嫉妬は止めなさいや」

「嫉妬違うわ!」ジュリ


この広島で名前が売れてる女の子と言えば、

まず名前が出てくるのが、このジュリと・・


「流川の人気キャバ店のナンバー1だもんな」

「また雑誌に出てたぜ『ジュリナ』」


「広島に『ジュリ』は一人でええ!!」ジュリ


この二人の区別は簡単だ・・

紙屋町のジュリ・・流川のジュリ・・


「ブスの方っ」

「ブスの方のジュリ」

「ええっどうせウチはブスですよっ!」ジュリ


まぁ、気持ちは分かるが・・


「流川まで飛んだら、八丁に陣地取られるだろ」

「基本どこが売してもいいんだから」


薬の売買のカスリまで取られかねない・・

やはり叩くなら八丁が先。


「八丁ってウチと流川に挟まれて厳しくね?」ジュリ

「確かに。」

「流川の2チームは連合だしな。」


流川の2チームは一応連合だ。

だがこれも横文字復活抗争でどうなる事やら・・


許されるのは1チームだけのはず。

まず連合で他を叩くのか・・


確かには八丁のグループは厳しそうだが・・


「一番自由に動けるのは八丁だしな。」

「人数揃ってるしな」


八丁のグループは常駐のガードはあれど大人数なので楽に対応でき、

主なシノギの薬物売買とスカウトで常に街頭に居るメンバー。

だが八丁のグループも慎重だ。

この売り上げの多い、広島のど真ん中を易々落とせる訳がない。

もし落として他所にカスリを奪われでもしたら、

地場ヤクザからのヤキはものすごい物になるだろう。


逆に繁華街流川のグループはガード(黒服)で手一杯だ。

まぁ実際喧嘩が始まれば地場内なら飛んでいけるが、

やはり、八丁堀、紙屋町などにすぐさま応援は厳しい位置。


結局どこも抗争が始まったというのにまだ様子見・・


「もうっマジ面倒じゃけぇ」ジュリ


かといって・・


「いきなり頭同士のタイマントーナメントはないじゃろ」

「大体、ウチ頭不在だしな・・」


紙屋町ジェイフォージェイ総長・・


「まぁ、『純也』君のおかげでもあるしな」

「ああ。ウチが名前売れてるのもな」


「はよ年少から出てきて欲しいわぁ」

「会いたいわぁ~純也君に。もうキスしちゃう」

「ぷっ」ジュリ


総長の純也は少年院だ・・

殺しで・・


そして周りからこう言われ出せば、さらにジェイは光輝く。


殺人上等ジェイフォージェイ・・


「夜なったらちょっと流川に殺しにいってくるけん」ジュリ

「それでもすぐ帰って来いよ。場面だけで!」


夜=通りから客が居なくなって暇になる時間

地域により夜の時間は異なる。

紙屋町が一番早く、八丁、流川と遅くなる。


やはりこのジュリが一番動きやすい。

ゆえに一番目立つ。今時代に繁華街爆音の単車も。


そして流川の客足が多くなる時間に・・


『ウォン・・』

「おっ!ジェイフォージェイ!」

「まーた流川突っ込んできたんか!?」


だがそれよりも目立つのが・・


『ゴワァン!!!!』


「ひゅーっ来たよ姫の出勤だ」

「かぁ!ジュリナのランボルギーニ相変わらずすげーな!」


流川ナンバー1キャバ嬢・・


「おはよ。」ジュリナ

「ジュリナさんおはようございます」


「ちっ!」ジュリ


嫉妬じゃけぇ!本当は嫉妬じゃけ!

なんで18のガキがランボルギーニ乗っちょるんか!

なんで流川の娘のくせに・・


「・・・今日、大刀さん来られるそうです」黒服

「奥(VIP)空けちょって・・」ジュリナ


紙屋町に気に入られちょるんじゃ!!


絶対・・潰す・・

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