神戸の物差し・・
「親父っ明日神戸の顧問が挨拶に来られるそうです」堂嶋
「そそうのないように出迎えるぞ」大刀
まずそこそこの神戸の役職の者からワンクッション挨拶があったが、
次が正式な挨拶。
来るのは日本最大の暴力団組織神戸の最高顧問・・
問題はお連れ・・誰を連れてくるか・・
こういった話はヤクザ者ならなんとなく理解はしてる。
挨拶に来る・・まぁ縁を結んでおきたいって意味だ。
まず最高顧問というのは、正式に神戸の考えが来るという意味。
そして大体お連れを一人連れてくるのが・・
「頭補佐の名古屋も来られるそうです」堂嶋
「おお・・・」
ヤクザ者ならこれが理解出来る。
今の俺は神戸のナンバー３や４の価値ということだ。
この頭補佐と縁組でもどうか？などの話が出るだろう。
もしくは直接頭補佐での俺の神戸入り・・
ま、これは神戸のいつもの戦略
次の次を狙える若頭補佐を餌に他団体のシマごと釣る得意の政略。
ふっ・・
無理じゃ外様で神戸の天下など取れん。
やはり神戸、大阪、名古屋・・この辺りの人間でないと神戸は継げない。
東京でも無理だ。
いくら東京の神戸が金と人数を揃えていても所詮外様。
だがここは重要だ。俺の最後のレールの切り替え可能ポイントでもある。
このまま三州として日本を飲み込むのが俺の考えた奇策だ。
派遣暴力団として他団体の若者とシノギも一括で引き受ける。
抜けれる金額はせいぜい１割程度になるだろうが、
薄利多売でも、相当な金額になるそれにプラスアルファーもある。
とにかく金だ。
ヤクザのほとんどは金を稼ぐのが下手なチンピラの集まりだ。
だいたいバカで不良してきた人間が才覚などあるはずがない。
考えられるシノギは、みかじめ、闇金、恐喝など古臭いものばかり。
だが嗅覚はするどい。
どこまでも金が沸いてきそうな所には人が集まる。
花元の組員が増えてるのもそれだ。
だが所詮キツネの集まりだ。抗争となると実際はどうだが・・
ヤクザ者の理想は弱い者に強く威張って夜の女抱ければいいだけ。
金持ってる風に装っていい様に見られたいだけ。
「神戸来られました！」
「うむ・・出迎えよう」大刀
神戸の最高顧問と・・
「初めまして神戸頭補佐の金本です」金本
「初めまして三州代表の大刀です」大刀
そう・・在日・・
唯一俺がヤクザ社会で引け目があるとしたら純日本人な事だ。
どれくらいの比率かは分からないが、
ヤクザ社会に在日韓国、朝鮮人は多い。
下手したら親分衆の半分は在日だ。
いつももし・・と思ってしまうのは、
全国の在日だけが集まって組織にすればきっと日本最大の組織になるだろう。
このコミュニティーは強力だ。日本全国の在日ヤクザ者は他団体でも、
知り合いの知り合いで済むほどの横のつながりがある。
それに北からの武器、薬のルートもやはり在日の独壇場だ。
「いやぁおもしろい事、いや便利な事考えたもんですな」金本
派遣暴力団。
すでにいる親分達には一切お咎めがないように作られたシステム。
あくまで縄張りと兵隊を貸してるだけ・・
やってるのは三州。もめごとも三州。
すでに共黒会もそのほとんどが三州に組入れられた。
入ってないのは、ジジイ共のボディーガードのチンピラか
花元の組くらいだ。
そしてそれを理解、恐れて神戸はどういう判断をするのか・・
いずれ神戸も派遣に飲み込まれるのか？
いや、派遣でぬくぬくと行きたいのか？
それとも三州を恐れて武か、縁か・・
この金本は武も知も金もあるバランスのいいヤクザだ。
次の次の神戸・・いや日本のトップに立つ男・・
言わば俺の最大のライバルになる。
「まぁ。神戸の考えとしては・・」金本
この三州と・・この今時分の情勢も鑑みて・・
「５分の縁組をと思ってます」金本
「ありがたいお言葉です」大刀
「・・まぁ正直言いましょう」金本
もう止められない・・・この三州はどこまでも行く
うまく考えた派遣ヤクザシステムはいずれ神戸をも切り崩すだろう。
そうなれば本当に戦争が起こる。
たとえ神戸が勝ったとしても損害は大きい。
「そちらの本音は、最終的にウチとコトを構えるのか？」金本
それとも靡くのか・・答えを聞きたい。
もし靡く・・親戚付き合いで、平和に話を進めるのなら、
ウチも貢物を出すし条件も出す。
「・・その条件というのは？」大刀
「神戸大阪までなら差出しましょう」金本
大阪以東には絶対に入ってくるな・・
そのかわり神戸と大阪は無償で譲り渡す？
だが神戸に大阪？それはそちらの縄張りの本拠地では？
「・・・なるほど」大刀
「ははは。さすがご理解が早い」金本
なるほど・・この金本は頭がいい・・
俺の所にも噂は入ってきている・・
もうすぐ神戸は正式に割れる。神戸派と名古屋派でだ。
そして本家を名古屋に移すつもりだ。
そして神戸派との抗争だが。今の時代に抗争は何の徳もない・・
ウチに飲み込んでもらった方が得策だ・・
「ま、簡単に言えば・・」金本
日本のトップは諦めろ・・そのかわり日本第二の勢力にはなれる・・
「なるほど・・」大刀
悪くない・・いや、理想だ。くく・・
俺は先の先まで見る・・
「では・・」大刀
ウチからの条件を一つ・・
「・・そんなたやすい事ですか？」金本
「ええ。お願いします」大刀
交渉成立。
名古屋との親戚付き合い縁組。三州の大阪以東への進行厳禁。
三州からの条件は・・
「皆殺しでお願いします」大刀
「二代目廣島水沢組ですね。分かりました」金本
ふふ・・
名簿見たわ・・恐い恐い。生きとったか純也・・
繋がったわ・・ジュリを殺したのもお前じゃ。
お前ならあの場所も知っとるわなそりゃ・・
さぁ始まるぞ・・
新、広島代理戦争がのぅ・・
