新しい死体・・
心臓に氷を押し付けられたように冷たく感じる。
明らかに誰かが、俺が前に来た後に埋めた形跡があるらしい。
一度掘り起こしてまた埋めたような跡。
ということは、確実にここに誰かが来た・・
そして俺をおびき寄せるためにまだこの山中に潜んでいるかもしれない・・
この死体処理に詳しい人間が帰るそぶりで、
このまま山中に一晩潜ってみるとの事。
さすがに夜に人気も感じなければ、火や光が付いて動き出すはずだ。
「助かる・・」大刀
『いえ、では明日の道中もお気をつけて』
明日の午後に現場に向かう事に。
『プルプルプル・・・』
どうしてだろう?いつも喧嘩の前や修羅へ行く前は女が欲しくなる。
『代表電話ありがとー♪今から会えます?』
「おお。どこがええんじゃ?」大刀
今日流川で拾った女だ。
「ウチのもん(ジュリ、ジュリナ、堂嶋など)見たか?」大刀
「流川では見てないですねー」
事が終わった後でもやはり気になる・・
「そうだ『水沢の二代目』が・・」
「おう。なんでも情報教えろ」大刀
水沢の二代目・・花元の事だ。
やはり街の人気は高い。元々の若者へのネームバリュー。
そして・・
「やっぱり水沢にって夜の住民も出てきてますよ」
「・・・・・・」大刀
元々付き合いしてた水沢組にみかじめの管理を。
吸い上げる元は共黒会なのだが途中が水沢・・
これはわずかにだが水沢に資金が流れる。
交通費名目などで少しばかり上乗せしてみかじめを頂けばいい。
「あと、結構人数集まってきてますよ半グレっぽいのが」
「まぁ一人親方じゃ組は運営出来んしのぅ」大刀
金に巻かれてるのか花元の組に人が集まってきているらしい。
三州に入り損ねた不良か、どこかの破門者か・・
ただその輩共を扱える器量が花元にあるのだろうか?
まだ役職名簿は見てないが・・
「まぁ組っちゅーのは・・」大刀
やはり若頭が大事だ。
組長はただの神輿で実質組を運営してるのは若頭だ。
「・・ねぇ、もう一回」
「ぶはは」大刀
よう分かっとるじゃないか男に好かれるのを。
まぁ今日はお終いじゃ。
「家教えとけや」大刀
「はいっlineに地図送っておきますね」
隠れ家や拠点になる女の家はいくつあってもいい。
そして次の日の昼。
尾行にかなり注意をし私有地に到着。
「ありがとうございます」
「おう。まずゆっくりせぇ」大刀
コンビニで買いこんだ食べきれないほどのお茶や弁当類。
自分も平常心であるように見せる為、
その中のお茶を片手にゆっくりと口に含む。
「では、一旦キレイに掘り起こします」
「うむ」大刀
死体が二度と見つからないように・・
死体を完全に掘り起こし、また埋めなおすことに。
もっと深く掘り直して、そして死体をカバーなどで覆う・・
たとえ俺が埋めた、殺した訳じゃなくともここは俺の私有地だ。
死体が見つかれば困る・・
誰だ?・・
どうせなら・・というのもおかしいが・・
堂嶋なら・・
そう・・可能性があるのは堂嶋と・・J
J・・
ジュリ、ジュリナ、純也・・・
純也・・・可能性はある。いや大きい。
この場所を知ってるのは死んだノブオとジュリくらいだ。
ジュリが何らかの理由で純也をここに埋めずにいたが、
何らかの理由でここに埋めなおした・・
この考えも悪くはない。
ただ純也があの時死んでいたのいたのなら、
死体の腐敗は相当進んでるはずだ。
顔での判断では無理・・・
(確かあの時の服装は・・)大刀
まぁ、それに体格などの粗方の背格好で特定は可能だろう。
だが・・
揺さぶられるな・・・
俺はまだ上に上がる。
腐った死体など何の感情なく声も出さず。
熱くならない。
冷静さが必要だ。このままの俺で居ろ・・
「・・・ズサッ・・・ズッ・・・・・・サッ・・・・サッ・・・」
俺の背中で聞こえるテンポよく土を掘り投げる音が少し鈍くなり、
掘るというよりも掻きわけるような音に変わる・・
(届いた・・)大刀
死体にスコップの柄が・・
後は損傷させないように周りの土をかき分けていくだけ。
「バサ・・・ッ・・・ッ・・」
しばらくしてまた音が変わった・・
きっと顔が出た・・
タオルか何かで顔が判別出来るように土を拭き落としてる・・
「・・・・大刀さん・・・・・出ました・・」
「おう」大刀
誰じゃ?きっと・・・純也
いや・・だが純也だとやはりジュリは殺さねばならん・・
さぁ・・この修羅も乗り越えよう。
汚い腐った遺体など何の感情もなく・・
俺は・・日本のトップにまで行く男じゃ・・・
さて・・誰じゃ?
『トクンっ・・・』
鼓動が冷たい・・
なんだこの緊張は・・
振り返り、土から顔と上半身をのぞかせる死体に目を移し・・
「ジュリぃいいいいっ!!!!!!!!!!!!!」大刀
この土にまみれて汚れた顔を・・
この冷たくなった顔を手に・・・
頬を寄せ・・
俺の涙がこのジュリの汚れた顔の土に線を引き流れていく
「うおおぉおおおおぉ・・」大刀
自分の小奇麗なスーツなどお構いなしに己の手でさらに土をかき分ける
ジュリは、か弱い女の子のように、
膝を抱え小さく丸まっていた・・・