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廣島  作者: 火村虎太郎
29/37

外道・非道


くっ!!


「当たるなぁ!!」水沢


くそっ!なんで自分狙った相手に気を使わんといけんのじゃ!


「ドムッ!」

「ズギャーーーー!」


体は先に中央分離帯に当たるが、その横を単車は滑り抜けていく。


「・・・ぅ・・・うう・・・」

「くそがぁ!」水沢


くそっ!どうする?車は止めたが、まだ疑心暗鬼だ。

痛がってうごめいてる女の子には距離を取ったままだ。


もしこれさえも罠なら・・

大刀ならやりかねん・・


これは俺が故意に起こした転倒だが・・


「大刀に俺の前で転倒して来い言われとれりゃせんじゃろうのぅ!?」


そして俺が応急救護の為に車を降りた時に、ズドン・・


「う・・・うぅ・・」

「くそっ!」水沢


そんなの考えとる場合じゃないじゃろうが!

女の子が痛がって・・


「スッ・・」


水沢はギアに手を伸ばしパーキングに入れようとしたが・・


いや・・


静かだ・・

異様だ・・


なぜこの幹線道路で後続車が来ない・・・対向車も・・


「くそっ!罠なんか!?どっちじゃ!?」水沢


本当にたまたま車の通行がないのか?

それとも罠か?


大体ワシが降りて行かんでも、すぐ後続車が見つけて、

救急車なり呼んでくれるだろう。


だが気になる・・

こいつはどっちだ?

どっちのJが飛んできた?


「‥‥‥‥‥‥ジュリナか。」水沢


まだ冷静に判断できている自分がいる。

ジュリだとコケることはなかったんじゃないか?

普段から乗りなれてる単車で・・


一方ジュリナは単車は、まぁ乗れる‥程度。


「ん!?チャカか!?」水沢


よく見れば道路に拳銃のようなものも転がって・・

そうか・・片手にチャカ握ってたから尚更コケたのか・

あのスピードで片手で急ブレーキなど耐えられるわけない。

まぁ、これで・・


「もう狙われることはない・・」水沢


この娘に・・

どっちじゃ?ジュリか?ジュリナか?


『ガチャ』


水沢は車を降り・・

ほっとけんじゃろ・・女の子がこうも痛がって・・


「大丈夫かぁ!?お前どっ・・・」水沢

「パン!」


ち、じゃ・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・



「・・・や・・やった!」堂嶋


なんちゅう罠・・・

なんちゅう策略・・


これほどの至近距離で撃てるとは・・

うごめくジュリナに気を取られ気づかなかった水沢。

密かに近づきつつあった堂嶋ヒットマンを・・


「くっ・・ジュリナ・・」堂嶋


かなり痛がってうごめいてるが・・


「俺はまだ捕まる訳にはいかんのじゃ!」堂嶋


大刀さんの右腕として・・


「スっ・・」


ジュリナの持ってた拳銃も回収して脇道の暗闇に消えていく堂嶋


「うう・・・うぐぅ・・・ぅ・・」


ずっと静けさの中にジュリナのうごめく声が不気味に響いていた・・


『ブルッ』


人を殺した、あの水沢さんをやったというよりも、

自分の女にここまでさす大刀さんの非道さに自分も震えていた。



そしてあれから数日がたち・・


「・・あ、ああごめんっ来てたんだ」ジュリナ

「ええよっ!起きんで!」ジュリ


いてててて・・と痛そうに起き上がるジュリナを、

やさしく抱きかかえ横に戻すジュリ。


全身骨折に打撲の苦痛から逃げるために、

いつの間にか眠っていた昼間に、いつの間にか隣にいたジュリ


いろいろ分かってきて・・


「そんなんなっても・・まだ、なんていうか・・」ジュリ


ジュリナのこの仕打ち・・

ただただ駒のように使われたジュリナ。


「うん・・まぁ・・」ジュリナ


大刀さんの女で居たい。

あの人は唯一無二。


「まぁ・・分かるよ。」ジュリ


ウチも、未だに・・


「頭撫でられるだけでも、うれしい」ジュリ


なんというか・・恋とかじゃないんじゃけど・・

すごい有名な権力者にかまってもらえる喜びのような・・


後、聞きづらい話なんじゃけど・・


「なんでノブオさん・・」ジュリ


ジュリナを狙って・・そして殺されて・・

大好きな先輩で、いつも直接面倒見てくれてたのに・・


「・・・・・・・・・・・・」ジュリナ

「・・あ、いや・・ええよ話せんかったら・・」ジュリ


これだけはジュリナが話さない。


「・・まぁ顔だけ傷つかんで良かったやん」

「あはは、まぁ顔だけだし私」


ええところ?いっぱいあるやん。

好きな人にどこまでも尽くして、行動して・・


「・・・・・・・・・ごめん」ジュリナ

「何や!また暗くなって!」ジュリ


明るくしようとしてるのに、ジュリナにちょこちょこスイッチが入る。


「・・・・・・・・・・・」ジュリナ

「もうっどうしたんじゃ!」ジュリ


いいんだろうか?

本当に・・・大刀さんの女で・・

取るべきものは友情でもいいんじゃ・・・


「・・・・・・・廣島名乗りたかったなぁ」ジュリナ

「あ、それはガチやったんや?あはは」ジュリ


本当に?

ねぇ・・大刀さん・・

本当にやるの?


この無垢の笑顔・・

このジュリの笑顔・・


大刀さんとのあの時の会話・・



『ジュリを殺せるか?最後の最後に・・・』


それまでは奴には目一杯働いてもらう・・



ジュリを殺すと決めた私を当然狙ってきたノブオさん

ジュリを殺される位ならと・・


でもジュリもこれで気づいてるんじゃ?


いやっ!だから聞いてきてるのか!?

なんでノブオさんに撃たれたのかって?


疑っている・・そして確信を求めてる・・


「・・私が勝手に動きすぎたの」ジュリナ


ヤクザの問題に勝手に出過ぎたからノブオさんが。

そしてそれを怒った大刀さんが・・


「そうなんや・・」ジュリ

「うん・・」ジュリナ


うまくごまかした。

これでジュリはどうする?

もうこのままいいポジションのまま収まるのか?


今ならこっちも一番重要な事が聞ける・・

この痛々しい姿を見てジュリが今までで一番近くにいる。

心を開いている・・


大刀さんが私にジュリを殺せと言った訳・・


「そういえば純也君って元気なの?」ジュリナ


何か、いつしか言ったじゃん。純也はシャバに居るよって・・


「うん・・・」ジュリ


その、なんて言うか・・元気じゃないけど・・


「純也はおるよ・・・いつでも会えるところに・・・」ジュリ

「そうなんだ・・」ジュリナ


寒気が・・鳥肌が・・ヤバイ震えも・・


「だ、大丈夫?痛む?」ジュリ

「う・・うん・・ごめん・・」ジュリナ


やはりそうなんだ・・


「また来るから」ジュリ

「うん」ジュリナ


やはりジュリだけが知っている・・

大刀さんのすべてが飛ぶ爆弾・・


殺す・・・やはりジュリは殺す。

早くっこの体が治れば・・

それまでは平穏に・・・波風立てずに・・・


『ブルっ‥』


寒気が止まらない。会いに行ってるの?未だに純也に・・


だって純也は数か月前に・・


大刀さんが殺したのだから・・




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