誰が突っ込んでくる?
これは重要だ・・
誰が突っ込んでくるか・・
ジュリナなら車・・
普段から乗りなれてるランボルギーニ。
こちらにそれをかわせる車に技術も持ち合わせてない。
信号や渋滞の多い市街地はかわせても、
その後は、高速に山道にどれもアウト・・
ジュリなら単車で来る・・
こいつは市街地なら裏の裏、歩道まで使ってどこまでも来る。
誰よりも市街地の抜け道知って近づいてくる・・
市街地抜けて高速乗ればなんとかかわせそうか・・
大刀ならどうする?
「何にもしてないのに追い込まれたなぁ」沖縄
「ま、それだけ用意周到に描いた絵なんじゃろ」水沢
確かにこちらは何もしてない。
ただ疑惑突き付けられて、飛んで行っただけ。
「ま、それほど兄弟を恐れとるんだろ」沖縄
水沢だろう・・
普通に時が流れていたら。
やはり八丁にある縄張りは強固だし、
流川の女達にも評価が高い。
水沢がジュリナの店になかなか行く機会がなかったのは、
流川での自身の人気からだ。
流川じゃあ、天野の武骨さは嫌われるし・・
大刀は・・
「・・もしかして流川の女達は知っとったのかの?」水沢
大刀が東京の人間で、ジュリナとデキてる事を・・
女どもは敏感だ。わずかな異臭もかぎ分ける。
そう。大刀が一番恐れているのが水沢の流川での人気だ。
やはりヤクザは夜の街が必要だ。
大刀が持ってる駒は大駒だがジュリナのみ。
流川全体のパワーバランスで言えばそれでもたった3%くらいだろう。
夜の店の金は不透明だ。
いくら大刀が水沢の上になって仕切ってカスリを取り出しても疑心暗鬼・・
元々はいくらだ?こんなもんか?水沢に流れてないか?
水沢がいれば流川の何割かは回収できない・・
そして一番困るのは、裏社会との縁を一斉に切られること。
北九州が悪い例だ。もともと共存関係だったヤクザとお水だが、
ヤクザの一方的な要求に街が不満の声を上げた。
メディアなどを使い全店が反暴力団を掲げみかじめの拒否。
みかじめという重要な資金源が消えたヤクザはさらに凶暴に・・
ヤクザと夜の街がお互い無駄な体力を消耗し続けている。
確かに俺が誰にも分からずに金を抜けるのが流川だ。
みかじめ料とも言い難い個人の『支援金』もそれなりにある。
「ワシなら殺すな」沖縄
水沢を殺せばそれが強力なアピールになる。
そしてその圧倒的な力に女共も我先にと大刀に傾きだすだろう・・
やはり邪魔だ水沢が。もし沖縄に移住したとしても、
沖縄と広島の付き合いが出来れば、広島に戻ってくる可能性がある。
沖縄組織の広島連絡所などといった形での事務所開設で。
そうなるとまた傾くかもしれない流川が・・
みかじめは共黒会ではなく沖縄の水沢にと・・
「ブスの方っいつものたまり場にはおらんみたいです!」若衆
「そうか」水沢
やはりすでに隠れたか・・
「ランボルギーニも見当たらんらしいです!」若衆
ここは大丈夫か・・
さすがにランボからチャカ撃てばすぐに目に留まる。
やはり単車で狙ってくるのが本命。
すぐに逃走も可能で、
フルフェイスのヘルメットであれば人物の特定も不可能だ。
だが・・
あのブスがそこまで大刀に忠誠があるか?
「ジュリナが本命じゃな」沖縄
「自分もそう思います」若衆
そう・・あの大刀が考えるとしたら・・
「ブスの単車で覆面したジュリナじゃろ」沖縄
「うわっ・・マジで非情ですね・・」若衆
「なるほど・・」水沢
そして罪はジュリに擦り付ける・・か。
いや・・
違う・・
そして水沢の出した判断は・・
「本当にいいのか?」沖縄
「ああ。沖縄で会おう。」水沢
「2人出まーす!道開けてくださーい!」若衆
まず沖縄の兄弟と若衆をセットにして、ここを確実に離脱。
「では私も失礼します」水沢
「・・・・一人でねぇ・・」刑事
そして時間差で水沢一人が車に乗り込み出発。
きっと単車で狙ってくる・・
ジュリの単車だ。
そしてそれは覆面した・・
「大刀ぇ!お前自身じゃろうが!」水沢
これが一番虚を突いた外道、非情な考えだろう。
返り討ちじゃ・・
武器はないから車で単車に当て込んだるわ!
誘いこむ・・奴を・・
狙いやすい、逃げやすい、スピードが出せそうな場所はどこだ・・
「広島南道路じゃろうのぅ!」水沢
湾岸じゃ。夜中に人目が付きにくいのは。
そしてまずは・・
「ふーっ抜けた」水沢
まず市街地を何もなく突破し、
「スー・・」
そして湾岸に入り少し速度を落とす水沢
すれば後方から小さなライトの光が見えて
(一つ目じゃ・・・)水沢
※バイクのライト
「ウォン」
くく・・
来た来た・・
一定の距離を少し保った後に・・
「グッ!」
急加速する水沢
そうすれば単車は、気づかれた!逃げられると思い・・
「ウォン!!」
ふふ・・
思い通りじゃ。
横に張り付かれる寸前に急ブレーキかけて・・
「理想は自滅してくれるとええけどのぅ!」水沢
こっちに触れずにコケてくれや!
事故で・・
さぁ来い・・・
タイミングを見計らい・・
「死ねやボケぇ!!!!」水沢
「キィイイイイイイイイ!!!」「キィイイイイ!!!」
二つのブレーキ音の後に・・
「ドギャァアアーー!!!」
「よっしゃあ!!」水沢
やった!コケよった!
そりゃそうじゃ!単車でこの急ブレーキで体勢保てるわけない。
一度宙に浮き、地面に叩きつけられ、
水沢の車を避けようとしたブレーキと切ったハンドルで、
中央分離帯へと滑っていく単車とフルフェイスの人物。
「そのままぶち当たって死ねやぁ!」水沢
先に滑る体に追いかけて滑ってくる単車・・
だが一瞬嫌な予感がした・・
この僅かな時だったが・・
このフルフェイスの人物、体が・・
「なんで小さいんじゃ!!!!」水沢
くそっ!!!
女の子じゃ・・・
きっと・・