ワンチャン
なんぼ吸われたんじゃ・・ジュリナに・・
「金に車に時計に・・」花元
2億近くは貢いで・・・
そう・・貢いだんだ・・やはりキャバ穣とただの太客・・
彼氏、彼女の振りの・・
「もうパソナには関わらん方がええど」水沢
「ぶっ!兄弟、まだ余裕あるんじゃの」沖縄
パソナ?人材派遣の?
よく分からん水沢さんのギャクじゃったが・・
「ジュリナ狙って広島の海に浮いたのがおったのぅ・・」水沢
「うっ!」花元
直の一番舎弟でさえ歯向かえば殺された・・
一番近くに居たから大刀とジュリナの関係に一番早く気付いた・・
こいつが一番の悪だと・・
「金ならまだ積めます!」花元
2億じゃ足らないですか?今はこれが目一杯ですが・・
「今回の謝罪動画もアップするんで・・」花元
これもバズると思います!まだまだ稼げます。
「やめとけ・・・もう終わったんじゃ」水沢
「・・・っ・・」花元
くそっ!くそっ!くそっ!
使えん負け犬じゃ!最後位もっと派手に吠えてけばええのに。
もう戦は終わった?まだじゃ!まだ参戦もしてないぞ俺は!
「終わったんじゃ・・」水沢
こいつはまだやる気じゃがのぅ・・
「そうですか・・」花元
「悪かったな・・」水沢
くそっ!金積んでワンチャンあるかと思ったのにっ!
そんなにあっさり負けを認めるのか?
俺は無理じゃ・・俺にはプライドある。
いうてもハナトラは全国区で広島じゃぶっちぎりの男じゃぞ!
そのハナトラが恥をかかされた・・
うまい事貢がされただけ・・
その後、花元は大きなキャリーバックを引いて繁華街へ向かい・・
「もしワンチャンあるなら・・」花元
ジュリってガキじゃ。今こいつが広島のトップらしいけど、
不満はプンプンじゃろ。
だがそれはまだ火が着いとったらじゃが・・
まだ少しでもくすぶっとけば、空気入れれば燃え上がる・・
この現金見たらすぐに燃え出すじゃろ。
あのガキすでに飛びそうじゃったしのぅ・・
最後ワンチャン華咲かせようとするじゃろ。
「くそっ居らんじゃないか」花元
大体アリスに居るいうて聞いとったんじゃがのぅ・・
「おいっにーちゃんっ」
「ああ?」花元
何者かに呼ばれたと思ったら一瞬・・
「んぐっ!うぐぅ!!」花元
「さらえっさらえっ!」
口元押さえられて車に押し込まれる。
こんな現実離れした場面など遭遇もしたことがなかったので、
これが現実なのかさえ分からない。
まして自分がユーチューバーなので、
これはドッキリなんじゃないかとさえまだ思ってる。
水沢の事務所では・・
「今、キッチリ『積み』ました」舎弟
「おう。ご苦労」水沢
「兄弟、悪じゃのう・・」沖縄
くく・・
ヤクザ舐めすぎなんじゃ。あのガキは。
もう、終わった言うとるのに・・
もうお前の復活なんてあるかいっ。
女関係で問題起こしたら、
もうメディア業界での再浮上の目はないわ。
「ま、2億は貰っとこう」水沢
よう勉強しとけや、ヤクザってのを。
それと落ち目の人間は、とことんねぶられるぞ。
自分のマンション帰ってみ。もうとっくに『タタかれ』とるぞ
※タタキ=強盗、盗み。 タタかれる=強盗される
「あの女やるのぅ・・」水沢
花元がここに来る前に入った情報だ。
花元の自宅マンションにタタキが入ったと・・
動かしたのはジュリナだ。
流川にはタタキ専門だった田平のハーバードがいる・・
少しの情報が洩れれば、それだけで十分だ。
「最初はええ娘じゃったけどなぁ」水沢
ジュリナねぇ・・しばらく会ってない間に、
大刀の異端のオーラに惹かれたのか・・
元々自己顕示欲の強い女なのか・・
ま、・・
「俺が欲深くないんかのぅ・・」水沢
「それはあるだろうな」沖縄
大刀にジュリナに、こいつらは虎視眈々と己の欲を肥やす。
どんな手を使ってでも勝つ。極度の負けず嫌い。
「さて・・」水沢
夜の街の女達に別れの挨拶したいとこじゃが・・
「大刀ならまだ俺を狙うか?」水沢
「狙うだろ。ラッキータイムだな。」沖縄
可能性は潰しに来る・・いつかの復活・・仕返し・・
「・・もしかして今かなりヤバイ状況なんじゃ・・」若衆
「そうじゃのぅ・・」水沢
失敗したのぅ・・
何せ今は唯一のグレーゾーンだ。
広島からは脱退。これは確定。
だが沖縄入りはまだ。正式な移籍盃事はすんでない。
今はただの野良犬・・唯一の救いは隣に沖縄が居る事。
さすがに沖縄と一緒の時には狙えない。
「水沢ぁ!ええかぁ?」警部
「なんじゃ?」水沢
この変なタイミングに盾を持った機動隊が並び・・
「通報あったんじゃ匿名で」警部
抗争の気配あり・・
「なんや今夜は他にもタタキに拉致通報に色々あってな」警部
「そうですか・・」水沢
くっ、これで攫いに行かした連中の帰還は無理。
拳銃持って車に乗り込むのも無理になった・・
裸で若衆一人連れて沖縄と3人だけ・・
くそっ、まさかこんなに追い込まれるとは・・
2億拾って自分の命落としたら意味ないぞ・・
まだ花元置いとけば弾除け位にはなったぞ。
「沖縄の会長に電話するわ」沖縄
そういって沖縄の兄弟分は会長に電話をし・・
『ふむ。そうか事情は分かった』沖縄会長
水沢のピンチ。一刻も早く沖縄入りの盃を・・
そして配下の者に電話で指示を出し
「おうっおうっそうじゃ簡易でええ」沖縄
会長の許可も得てる。
「沖縄空港で盃出来るように手配したぞ」沖縄
「助かる」水沢
さらに記者まで呼んで、すぐに既成事実をヤクザ社会へ発信。
「とにかく沖縄じゃ!」沖縄
「ああ。」水沢
沖縄に足つけば逃げ切りじゃ。
最後にひと逃亡・・まず広島脱出を・・
その沖縄では・・
「会長、広島の水沢というのは、それほどの男ですか?」幹部
「そうだな・・」沖縄会長
沖縄ヤクザはどこかイモくさい昔のヤクザばっかりじゃ。
シノギも新しい発想がない。昔ながらの極道商売。
水沢という男はこの古い沖縄に新しい風を入れる。
「これからの沖縄に必要なヤクザだ」沖縄会長
それと補佐もな・・
どちらが欠けてもならんぞ。
「二人が無事に沖縄に着ける事を祈ろう」沖縄会長
今の状況では、
沖縄組織からのバックアップは出来ないし間に合わない・・
そして水沢達は作戦会議
「あの刑事、大刀に銭貰ったんじゃろうの・・」水沢
「タイミングが良すぎるな」沖縄
本当、頭がええわ・・
合法的に俺の監視と、俺を裸で追い出すとは・・
「東に上がるか一旦?」沖縄
「・・・無難じゃな」水沢
沖縄に行くルートは。基本空港だ。
空港内に入り込めば、もう撃たれることはないだろう。
相手もリスクがありすぎる。
当然広島空港への道はつけられる。別の空港か、フェリー・・
だがフェリーは乗り込まれたらあっさり殺されそのまま海に・・
やはり行くなら空港。
別の空港とはいっても福岡方面に向かえばこれも大刀の守備範囲。
九州には関門トンネルか関門橋さえ張ればすぐに見つけられる。
逆算して考えよう。
沖縄と居る時でも狙う、狙えるとしたら、
確実に目撃者の居ない状況で二人共が行方不明になること。
これはミスは許されない。沖縄に狙ったのが伝われば、
広島と沖縄、そして三州との関係が悪くなりかなり不利になる。
俺だけの時なら、言い訳は何とでも言えるだろう。
沖縄入りする前の裏切り者に制裁を加えただけと。
ヤクザ社会でもそれで通るだろう。
「・・・・・・・・」水沢
「どうする兄弟?」沖縄
待てよ・・
こりゃ、ワンチャンあるぞ・・こっちにも・・
逆に考えろ・・
絶対に失敗が出来ない・・
そうなると送り込んでくるヒットマンは誰だ?
虚を突き、確実に・・非情に・・信頼、信用・・
「・・大刀自身か?」沖縄
「・・・・ある。」水沢
本当に信じれるのは自分自身か!?
「それとも・・」
ジュリナか!?
もしくは・・
「・・まずっブスのガキの居場所探れ!」水沢
「はいっ!」若衆
いや、奴なら全部使う。
このチャンスに弾残す訳がない。全弾ぶち込んでくる。
だが奴の事だ。自分は最後の最後。
まずきっと、どっちかのジェイが突っ込んでくる・・
そして何もかんもかわして、大刀が突っ込んでくるなら・・・
「返り討ちじゃ!ボケがぁ!」水沢