派遣暴力団・・
「式の日取りや諸々はまた追ってご連絡差し上げますので」大刀
「ふむ。」会長
改革・・革命・・新時代・・
ここしばらく動かなかった暴力団の地図が大きく変わる・・
大刀達が立ち上げた三州連合会。
一番の関心はどれくらいの人数が集まるかだ。
いくら若手だけでと言えども、今ある組織にも若手は必要だ。
年老いた幹部連の運転手の世話やボディーガード。
そして一番重要なシノギの実働部隊・・
だがそれも・・
「シノギはこちらで動きまして、変わらずの額をおじさん方に・・」大刀
そちらのシノギの実働部隊もこちらで引き受け、
その地場(既存の組の縄張り)に見合った額を上納すると。
(ヤクザ派遣業者か・・センスあるわ。)水沢
これは大刀の自信からの戦略だろう。
今のそちらのシノギでも、大刀がやれば今より利益が出ると・・
そして現状維持の額だけ渡して、プラスアルファーは三州連合に・・
幹部達からすれば大刀達は正社員じゃないので、
発注元のウチ等に責任なくタダで働いてくれる・・
今まで自分の地場では躊躇していた薬などもノーリスク。
「ほぉか。じゃあうちの若衆も連れてってくれや」幹部
「すまんのぅ。よろしゅう頼むな」幹部
「ほんと広島からええ漢が育ったもんじゃ」幹部
(もうかざりの神輿か・・)水沢
それも朽ちた空っぽの・・
もう何もしなくていい・・
黙って椅子に座ってるだけでいい・・
老いて、その威勢が薄れていくまで・・
不思議な大刀の手品だ。
まるで親分達を親分のまま老後施設に送り込むような・・
「ウチんとこは毎月〇〇あって・・」幹部
「ウチは今こんだけや・・」幹部
「はいっ。はいっ。お手数かけます」大刀
もうヨダレたらしよってが・・
死ぬまで安泰。もう抗争の的になることもなく、
抗争で走ることもないから刑務所への不安もない。
シノギも縄張りを貸せば勝手に入ってくる金。
ヤクザを長くやってきて、やっと手に入れた安穏・・
「兄弟・・こりゃ相当な数なるぞ」沖縄
「・・・・・・」水沢
ええ判断をした。広島に残っててもシノギさえなかったぞこりゃ・・
水沢はまだ組織の長ではなかったのだ。
今いる組織も大刀にシノギごと奪われていただろう。
誰もがデカイ顔だけして毎月勝手に金が上納されてくる方がいい。
唯一揉めそうなとこは・・
「・・・大刀、ワシも連れてってくれんか」壬生
「くっ!、大刀ぇ!ワシもじゃ!」天野
だがあっさり降参。古い広島に残っても何も生み出さない。
そりゃ親分の運転手やガードでもいいが、
結局落ちてくるのは大刀が組長に上納した金からのお小遣い程度。
だいたい自分でシノギをしようとしても大刀がタダで代わりにするのだ。
金は絶対に直接自分には落ちてこない。
唯一落ちてきそうなのは自分の女(お水)の小銭くらい・・
やはり大刀が若手を押さえたのがでかい。
広島のほとんどのみかじめや薬の売買の実働部隊が手中にある。
圧倒的トップダウン集金システム。
ヤクザが変わる・・本当に・・・
なんちゅうマジックじゃ・・・
今、表向きの組員数は、
共黒会が150人長州が70人北九州が380人合計で600人
だがこれは主な実働部隊の若い準構成員は入れてない人数だ。
今ヤクザは名簿を載せてる者よりも載せてない者の方が多い。
名簿の600人から半分は参加して300・・
そして名簿に載ってない若者がそのほとんどが参加するだろう。
その数おおよそ600・・合わせて900・・・
(神戸、東京、熱海、淡路、三州・・)水沢
一気に日本第5の勢力か・・
こりゃ・・ワンチャンあるぞ・・
「兄弟ぃ・・」沖縄
「ああ・・行こう。」水沢
もう長居も必要ない。俺は俺で敗戦処理で忙しい。
昔の廣島ヤクザは見え張って立ったまま腹の斬り傷縫ったとか・・
古臭い場末の医院に行って・・
「麻酔なんてせんでええぞ」水沢
「そんな!無理やど!」医者
指の治療・・
だが突っ張って・・
「むふぅ!っ!!」水沢
「なんちゅう極道じゃ!今時ながら!」医者
削る骨・・つなぎ合わせる皮膚・・
ふふ・・
「沖縄の水沢じゃ。」水沢
「沖縄かぁアンタ!廣島かと思ったでぇ!」医者
ふふ・・
廣島かぁ・・
そして事務所で自分の親分に挨拶なども交わして、
自分の事務所兼自宅に戻れば・・
「水沢さんっ!すみませんでした!」花元
「いや、とばっちり食ったなそっちも・・」水沢
金を積んで示談で逃げた花元が事務所に。
そして・・
「ゴトっ!」
「二億です!」花元
花元が二億をテーブルに置き・・
「おいおい・・」水沢
もう終わったんや・・。もうその金は必要ないんじゃ・・
「違うんです!」花元
この金は・・
もう何もかも分かってます。水沢さんが沖縄に行くことも・・
でも最後にこの金で・・
「殺してください!」花元
絶対に許さん・・
「ジュリナを!」花元
あのガキ!まんまと嵌められた!
いや、結局キャバ穣と太客の関係だっただけか・・