無いものを追っていた・・
「ジュリナこれ前日に水沢さんに」花元
「はい」ジュリナ
日々撮影で忙しいので早めに2億をジュリナに渡しておく事に。
「・・・この・・」ジュリナ
一つだけブロック(帯付き)じゃない1000万は何なの?
全部で2億なのだが、一つだけ1000万の新札の束じゃないのがある。
「誠意・・」花元
「なるほど・・」ジュリナ
不憫ではあるが一つだけまとまってない札束は、相手への誠意。
これは右から左に簡単に動かしたお金じゃない・・
自分の身の回りからかき集めた金だと。
確かにこれだけで、ぐっと重みのある金に変わる。
「水沢さん今まだ多分沖縄だぞ。いいなぁ。」花元
「へー・・」ジュリナ
なるほど・・それは勝つためなのか、負けた時のためなのか・・
沖縄のヤクザ組織の独自性は異様だ。
特によそ者を寄せ付けない。多団体との親戚付き合いもしない。
固い結束で圧倒的防御力。武器・薬も独自のルート。
やはり切れる。水沢さんは。
花元はただのバカンスだと思ってるがジュリナの考えは違う。
もし共黒と沖縄が繋がったら・・
ヤクザで出世するために大事なのは金、地盤、組のネームバリューもあるが、
一番強いのが、多団体の次を見据える人間との盃だ。
企業でもそうだが、一番他社から目をかけられるのが、
次や、次の次を狙えるポストの人間だ。
落ち目や引退間際の人間と親しくても何の意味もない・・
ジュリナはやはり裏の住民だ。この沖縄行きをよく理解している。
幹部会まであと少し・・
色々と警戒しなければ・・
慌ただしく動くヤクザ達。
届いてくる情報・・
まず壬生、天野組はもうバッターアウト。まず金が集まらない。
色々な付き合いある団体に声は掛けるが、ヤクザも時世を読む。
広島で次がありそうなのは、大刀か水沢・・
つまらない馬券は買わない。
そしてまだノブオは見つからない・・
ジュリは変わらずカカシ・・
田平は明確に大刀さんに媚びだした。
水沢さんは沖縄から帰ってきて・・
「どうじゃ?動きあったか?」水沢
大刀の・・
関東がバックに付くと思うが、どこだ?
水沢が恐れているのは関東の2団体が大刀に付くことだ。
日本のヤクザ組織トップ3のうちの2つがある関東・・
「いえ・・多少車でウロウロしてる位です。」若衆
車で日帰りなので東京に出向いた感じは無し。
「・・・・・・・・・」水沢
「明日ですが・・連絡ないですねジュリナから・・」若衆
もう金が届いてもいい頃だが・・
「・・なんぼか用意しとけ」水沢
「もしかして金出さんのですか?」若衆
花元が・・もしそうならメンツが丸つぶれ・・
「・・その時は走ります」若衆
拳銃持って・・。ヤクザはメンツが大事だ。
ましてや素人のクソガキにメンツ潰されたらこの世界じゃ生きていけない
きっちりカタ取ってこそ威厳が保てる。
「・・タダイマデンワニデラレマセン・・」
「繋がらんのぅ・・」水沢
ジュリナに花元の携帯も。
「くっ!銭かき集めます!」若衆
くそっ!かき集めたって2億は無理じゃぞ!
それでも誠意を見せれるくらいの額を集めんと・・
「そっちで来たか・・」水沢
大刀よぅ・・武力じゃなく策力で・・
ノブオ使って撃つのはジュリナの方か?
水沢がこの状況で悩むのは沖縄を出すかどうかだ・・
一応広島には連れてきてるが・・
「兄弟に護衛回しとけ」水沢
明日の幹部会で沖縄との盃の了承を得るつもりだったが、
これも狙われるかも。
沖縄組織の若頭補佐との正式な盃も殺されたら意味もない・・
奴ならやりかねん・・一撃必殺の偽装破門がいる・・
あと一日・・何を優先すればいい?・・
花元か?ジュリナか?
「・・・・全力でノブオ探せ!」水沢
「はいっ!」若衆
かならず動く・・動くなら今夜・・
ノブオを追えば金にも当たるはず。
花元を探し出せば、もう一度2億くらい用意できただろうが、
水沢は花元を探さない。あの男がつまらない留守電かます男じゃない。
何か電話に出られない理由がある。
きっともう大刀に押さえられてるはずだ・・
花元が電話に出れなくなったのは先日だ・・
数日前に自分のツイッターに・・
「おっDMでかわいいファンの子から・・」花元
えっろい写真送られてきてるなぁ
今度遊んでくれませんか?
マジかわいいやん。何か他の写真もあるぅ?
って返信すれば・・
「おわっ!ヤバ!もろやん!」花元
さらに過激な写真でアピール。
これ楽勝ワンチャンあるな。
そんなやりとりがあった後に・・
「広島県警っ児童ポルノ禁止法違反容疑ね」
「はぁ!!?」花元
自宅に警察が来て・・
「はい、スマホも全部出して」
「ちょっと先に連絡させてください!」花元
「ダメダメ!触らないで!」
こんなやり取りがあって・・
「ヤフーニュース出てます花元!」若衆
「・・・嵌められたか・・」水沢
小銭狙いのチンピラかもしれんが、
このタイミングだと大刀の仕業だろう。
これで花元から再度の2億の目は消えた・・
水沢の考えは間違いではないが仕掛けたのは・・
「・・・お前は何でいつも勝手に動くんじゃ天野の時でも!」大刀
その頃大刀が借りている隠れ家で・・
「これが最善かと思って・・」ジュリナ
仕掛けたのはジュリナだ。
そんなつまらん事せんでも・・
「メンツ潰されたヤクザは花元殺しに行くわい!」大刀
「ごめんなさい」ジュリナ
(こっわ・・)堂島
ジュリナに強く当たらんで良かったわぁ・・
こいつ最初から・・
「まだ付かず離れずの演技しとれや」大刀
「はい・・」ジュリナ
大刀さんの女じゃないか。
俺まで騙されたわ・・
悪党のキレが違う・・
なんちゅうシナリオじゃ・・
縦文字から仕掛けてドラマはもう最終局面・・
大刀さんが次期広島のトップに・・
「・・・・『物』、移動しますが確認しますか?」堂島
「ほうじゃのぅ・・」大刀
事務所に置かれた謎の大きな袋・・
「ジュリナぁ・・」大刀
「はい。」ジュリナ
なんだろ?見てみぃ・・って
まぁおみやげじゃワシの兄弟分達から・・
ワシの廣島のトップ就任の・・
ええ土産持ってくるわ・・
「わっ!・・あ・・・あははははは。」ジュリナ
「心配かけたの」大刀
「・・・流してきます。」堂島
なるべく時間差がないように早く・・
てか笑うか?
怖い怖い・・
堂島は子分を連れて市内から少し離れた海辺の倉庫街へ・・
「ほれ流すぞ氷も一緒に」堂島
「はい」
物を海に・・
「ウォン・・」
遠くに見える海沿いの橋に響く単車音
「ジュリじゃの・・」堂島
「よくこの辺り流しとるみたいですね」
なんかせつないのぅ・・ジュリかぁ・・
「絶対裏切れませんよね・・こんなの見たら」
「あんな怖い人裏切られんじゃろ」堂島
まぁ、意地になったとこあるんじゃろ・・
「行くぞっ」堂島
「はい」
タイミング的に今日でええのかな?
まぁ大刀さんがそう考えるならそうなんじゃろ・・
次の日の幹部会の朝・・
広島の海にノブオが浮かんだ・・・
やさしく・・風波に揺られ・・・