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廣島  作者: 火村虎太郎
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仁義・・

 

田平が叫んだのが最後の反撃だった。

ヤクザに手出しは出来ない・・


「わりゃこらl!」堂島

「がはぁ!」田平


ただヤキ食らうだけ。兵隊も黙って見てるだけしかできない。

そして大刀はジュリナとも一言も話さない。

軽くジュリの頭を撫でて流川方面に消えてゆく。


「ヤクザなめんなよコラぁ!」堂島


「プシューーーッ!」ジュリ


何か・・変なタイミングで、変な声?音を出したジュリ。


「・・・・・・・ジュリなんなら?」堂島

「・・・・・・・っ!」ジュリ


息を止めた・・・

そしてその息が我慢できずに吐き出した音だった。


我慢・・・

感情は出せない・・声も・・虚しさ・・悔しさ・・

吠えない・・


「・・・まぁええ・・ワシもヤクザなって忙しい」堂島


そういって堂島は大刀の後を小走りで追って行く。


「・・・悪い・・」田平

「いや、こっちも助けれずゴメン」ジュリナ


悔しさ・・

だが誰よりも悔しそうだったのがジュリ。

まだまともな呼吸もせずただ息を止め堪えてる。


ジュリはカカシだ・・

ここで新しい反勢力の若者が現れないように・・

適材適所といえばそうだが非情すぎる・・


そして田平とジュリナはこれで終わり。不良少年、少女としては。


「・・・ジュリ・・廣島頼むな・・」田平

「・・・・・・・・・・・」ジュリナ


私は何て声をかければいいんだろう・・

やばい・・

私今、高いとこに居たら飛びそう・・

やばい・・

この感情は・・多分飛ぶ人って今のこの感情の時だ


「・・・どうせもうびびっとるんやろ?ええタイミングやん」ジュリ


ジュリナの不良引退の・・


「・・・・」ジュリナ


一回、大刀さんに撃たれとるしのぅって・・

今日も場面作りじゃろ?引退の・・って。


「違うっ!あれはきっとノブオさんが!」ジュリナ


勝手にジュリナ狙った?


「あはははは」ジュリ

「・・・・・」田平


そうだよな・・そんなわけない。

きっと大刀さんの指示。

てか素人のキャバ嬢ヤクザが拳銃で弾くかぁ?

よく考えたらジュリナも勇気あるよな・・撃たれたのに・・


だが・・

なぜまだ大刀さんの気持ちが切れてない?

反抗する姿勢は見せているが、

直接はそれほど敵意を表さないというか・・

今は水沢さん寄りだとは思うだが・・


「・・仁義って言葉は可笑しいかもしれないけど・・」ジュリナ


キャバ穣が仁義語るのはおかしいけど・・

やはり今まで面倒を見てもらった縁というか・・

またいつか・・これからもお世話になるかもしれないというか・・


「まだ大刀さんと水沢さん天秤かけとるんか!?」ジュリ

「・・・・・・・・・」ジュリナ


違う・・・

だって勝つのはきっと・・


「いや・・俺も問題あった・・。」田平


感情で動いてはダメだ・・

この広島で生きていくのなら、やはりいい地位のヤクザに付くべき。

水沢さんや天野さんに付いても、

この二人が負ければこっちのシノギも細くなってしまう・・

まだ上の戦いは分からないが・・


「明日、大刀さんに詫び入れに行ってくるわ・・」田平

「そうね・・」ジュリナ


そして宣言しよう。不良少年たちの抗争は終了と。


いつの時代もそうだが、不良の抗争はいつもふわっと終わる。

始まった頃の情熱など誰ももう持ち合わせていない。


そしてジュリナは・・


「マネジャーちょっと・・」ジュリナ


お店でマネジャーと黒服を集め・・


「あと数か月で引退しようと思う」ジュリナ


いい潮時だと思う・・少しお客の懐具合も細くなってきてるし・・


「・・うん。ジュリナがそう考えてるなら。」


と、マネージャーは言うが・・


「電卓弾いてるでしょ?」ジュリナ

「あはは。バレました?」マネージャー


これはこれでイベントなので売り上げは大きく動く。

まず引退の噂で客を呼び、引退までの期間を伝えイベントにし・・


「その後のジュリナのポスト争奪戦みたいな感じで・・」


新人発掘というか、お客の推しの娘のナンバー決めも動きそうだ。


「ハナトラさんも呼べますか?」


ここでまた動画を撮ってもらって・・


「ふふ・・何本かボツになってるからね。」ジュリナ

「お声がけお願いします」マネージャー


それを後ろのほうで聞いている黒服達が・・


そうだよなぁ・・


「ハナトラさんって結構重要度高いよな?」黒服

「そうだな。」黒服


この広島の夜の街で・・


「他所の組織が、ぼったくりバー流川で出した時も・・」

「ああ・・動画公開して潰したもんな・・」

「あれ、共黒会から謝礼出たらしいよ」


よくあるぼったくりバーへの潜入動画だ。


(ふっ・・気づいた?)ジュリナ


そう・・ハナトラほどの存在はまさに希有だ。

正面から喧嘩売って喧嘩は買わない守られるというチートだ

ハナトラに何かすれば多くの目に晒される・・

全国的知名度・・フォロワー数・・

これが現代の最強武器かもしれない。


「まぁハナトラさんが人気の夜の街で動画撮れるのも・・」


共黒会の了承あってのものだ。

ハナトラの人気動画は夜の店潜入しました系だ。

純粋にキャバクラや食事を楽しむものやドッキリなど・・


「結構動画見て遠くから来ましたってあるもんな」

「今はユーチューバーが最強の広告だよな」

「広島愛も持ってるしな」


そのハナトラが水沢と会う・・


廣島の男が、廣島の男と・・


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