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廣島  作者: 火村虎太郎
18/37

鎖で繋がった・・


「まぁ、色々あったんじゃ本部で」水沢

「少し程度の噂話なら小耳に挟みました」ジュリナ


数日前の共黒会で・・


今は何でもかんでも金じゃ・・・


「こちらで、おじさん方に動いていただきたく・・」大刀

「自分もこちらで・・」壬生

「まだ自分たちでは所轄は抑えられませんので・・」水沢


先のゴタゴタで詫びを入れることになった次の世代達。


「おう。これで丸ぅ治めたろ」本家幹部


組織や警察などへの配慮という名の謝罪金・・

まぁそのほとんどの金は執行部で分配だ。


大刀、壬生、水沢それぞれが共黒会へ1憶。

そして自分の組の親分にも詫びとして1億。


これには水沢も自身のそのほとんどの体力を奪われる。

そして大刀達もだ。


そして一人だけ・・


「スッ・・」


「これ・・」天野

「・・・ああ」本家幹部


明らかにつまらぬ顔の本家執行部達


ただ一人指を詰めて来た天野。


「お騒がせ致しました・・」天野


くそっ!誰もワシの方を見もせんじゃないか!

くそっ!ワシだけ・・


「おお、そうじゃそうじゃ・・」本家幹部


組織からの新しい提案・・

さまざまな事情を知らない執行部の方から・・


「本当壬生はよう貢献してくれるわ。表に出んと辛抱よく。」


ここまで共黒会に貢献している壬生を、

そろそろプラチナ(直参)にはと・・

正式に壬生を共黒会の幹部にと・・


「はい。ありがたきお言葉です。」壬生


さらに執行部からの提案が・・

「『鎖』付を2億の供託金でどうじゃ?」・・・と。


「鎖ですか!?」壬生

「鎖!?」天野

「・・・・・」大刀


ヤクザのバッチにも種類がある。

組員はただの金メッキのバッチ。幹部で金バッチ。

直系の親分や、本家の親分から盃をもらった者がプラチナだ。

さらに本家の最高幹部クラスが付けるのが、

チェーン(鎖)付きのプラチナバッチだ。


執行部にやたら評価の高い壬生。

これには大刀と天野も心穏やかにいれるわけがない。

だが本音は少し違う・・


(まだ銭蓄えるつもりかこんなら・・)天野

(そろそろ引退考えとるな、こりゃ・・)大刀


まぁ、簡単に言えば共黒会の直系の最高幹部バッチ2億か。

だがもう身内に押し売り、恐喝してるようなもんだ。

壬生が銭ようけ持っとると思うてから・・


「2億ですか・・」壬生


これに心揺れる壬生。そして・・


『・・じゃあもし自分も2億出せば鎖ですか?』大刀



「ふむ・・次の世代はよう貢献してくれとるしの」

「大刀に天野、水沢・・ええ若衆じゃ」

「ええんじゃないか。みな実力もあるし。独立しても。」


そうじゃ・・

順番を待つことなく・・


色気の出る話だ。

役割分担してたはずが、ゴールが近くなったら邪魔になってきた。


自分の組を継がなくても親分になれる・・

武闘(天野)が今必要か?

あと少し手を伸ばせばゴールがある・・

誰よりも先に鎖に上がれば、後の貫目が出来る。


今は4人が五分でも・・

先に大刀にでも上がられたら・・


(大刀のおじさん・・って言わんといけんのか・・)水沢


そしてこの呪縛は長く引きずりそうだ。先輩という呪縛が。


すんなり壬生が断って既存通り3者共闘で行くならええが・・


「いったん持ち帰らせてください。この話は」壬生

「そうですね。自分も」大刀


くくく・・じゃがもう全員体力(金)がないぞ。俺もじゃ。


でもまぁ、割れるじゃろうのぅ・・この3人は。



「ありがとうございました」ジュリナ

「もう帰られるんですか?水沢さんっ」黒服

「また近いうちに来るけん」水沢



ジュリナの店から自分の組に帰ってきた水沢は・・


「・・『社長』に直接お会いできるか聞いといてくれや」水沢


ようジュリナに聞けんやったわ・・


「はいっわかりました」若衆

「まだ謎の通称社長ですね。」若衆


強狂も流川(天野)もやたら騒がしく強引に稼ぎ出しとるみたいじゃが、

そんな小銭稼いだくらいじゃ追いつかんぞ。

結局ヤクザはシノギも大事やけど、

もっと大事なのは、でかいパトロンや。


みなそれぞれ建築会社や夜の店の社長のパトロンは持ってるが、

ここ一発でバンっと金出せる奴が必要だ・・


早い者勝ちみたいになったのぅ・・


「ジュリナおるかぁ?」大刀

「あっ!いらっしゃいませ大刀さん!」黒服


まずは抑えるはやはりジュリナ・・・

下手したらこいつが・・


「ジュリナぁ・・」大刀

「はいっ。」ジュリナ


2憶持っとるか・・・


「2億はさすがにもっておりません・・」ジュリナ


たとえランボルギーニを売ったとしても、

私が用意できるのはせいぜい6000万くらい。


「劣勢なのですか?」ジュリナ

「そうじゃのぅ・・」大刀


普通に考えて有利なのは大刀さん・・

だがこの人は廣島ではない・・

私もただの駒に使われた・・

最初から強狂の出来レースだった・・


でも一番この人がかっこいい・・

今どきの経済ヤクザで今どきの恐いヤクザ。

スピード、策略、行動力、共に申し分ない。


「・・・『社長』に会えるか?」大刀

「・・・・・・・・・・・」ジュリナ


ふっ・・


そうよね・・。

まるで私が走ってるつもりだった・・


結局・・・


大刀さんも水沢さんも・・


所詮、今のヤクザは誰かの犬になるしかない・・・


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