廣島を餌に廣島を討つ・・
「12代目ジェイフォージェイ参上だぁこの野郎!」
誰に言ってる?
ジュリナよ・・
怖いのか?救ってほしいのか?自力で切り裂くのか?
「・・・頭っ、どうかなさいましたか?」若衆
「・・いや・・今日もガキが騒がしいのぅ」水沢
広島のど真ん中にある八王組の組事務所。
すべての、いくつもの時代の争乱をここで聞いてきた。
「・・・頭っ、状(破門状)回ってきてます」若衆
「見せろ」水沢
この破門状を見て・・
「・・・偽装か・・」水沢
「たぶん・・・」若衆
偽装破門・・
わざと破門処分として、組織と関係のない体を装い、
あくまで『個人』の恨みのヒットマンとして飛ばす・・
そしてほとぼりがさめてから、
復縁をさせるなど、組織防衛に利用する・・
これなら御法度もお構いなしに飛んでくる・・
この男は今日で破門いたしました。
当組織とは一切関りがございません。
「通称・ノブオ。紙江田組若衆・・か。」水沢
「子飼い中の子飼いじゃないですか。」若衆
大刀の筆頭子分だ。
破門理由は組織利のない暴力事件の多々によりと・・
確かにガキの争乱の渦にはいたが、破門になるようなほどじゃない。
飛ばしてきた・・大刀が分かりやすく・・
ヒットマンを・・
「・・・狙いは俺か?」水沢
「今夜から自分等がずっとガードで付きますので」若衆
だが俺を殺すにも理由がいるぞ・・
後々このノブオを復帰さすのにも・・
拳銃打ち込んだ疑惑くらいで殺したら、そっちの目がなくなるぞ。
分からん・・太刀の考えが・・
それにガキ共もそろそろ気づきだしてるはずだ。
大刀・天野・壬生は外様で、この強狂の堂嶋との関係性も・・
「ジュリナ頑張ってくれんかのぅ」水沢
「おかしなもんですね・・」若衆
地場の不良チーム(強狂)が勝てばウチが利権を総取りなのに・・
とはいっても、ジュリナが勝っても、ジュリナは大刀・・
いや・・
「ジュリナって大刀さんが外様なの気づいたんですかね?」
「気づいたから強狂に対抗しとるんだろ・・」
奴は廣島を取ったか・・・
外様に付いていけばその後の利権も人気も取れるのにのぅ・・
「パーーン!!」
「なっ!」
「おわっ!」
乾いた音が八丁に響いた。
「なんじゃ!ウチか!?」水沢
「いえっ!どこも割れてません!」若衆
また響いた拳銃の音・・しかもど真ん中八丁で・・
「ジュリナが撃たれた!」
「救急車!」
「ほぅ・・。」水沢
「おわぁっノブオじゃ!!頭っノブオが撃ちやがった!」若衆
罵声悲鳴が交錯する中に少し甲高い声が聞こえた
「意味分からんのじゃ!」
ありゃ確か紙屋町のブスのガキか・・
意味?簡単じゃろうが・・
ジュリナへの脅しじゃ。強力な・・大刀のな・・
「ほんっと・・クソ外道が・・」水沢
「頭っ!出て行ったらダメです!」
「罠かもしれんです!おびき出す為の!」
そうじゃの・・熱くなる必要はない・・
出て行ったワシも撃って言い訳は、
破門されて何もかんも嫌になってしもうて・・って筋書きもあるか
じゃがこれで強狂が抜けたか?
ジュリナも撃たれたら戦意もなくなるじゃろうのぅ・・。
だが筋書きがややこしいのぅ・・
今、どうなっとんじゃ・・
「えっと・・」若衆
大刀、天野、壬生が広島取るのに、後必要なのは・・
いや、邪魔なのが・・
「水沢の頭とジュリナなんですか?」若衆
「・・・そうじゃの・・」水沢
廣島じゃ・・要らんのは・・
すごい絵じゃの・・廣島を餌に廣島を討つ・・
「・・・最後の火(廣島)が消えんかったらええのぅ・・」水沢
「・・はい・・。」
ジュリナのことだ。
まだ可能性があるならこのジュリナがひっくり返す事。
「大刀ぇ・・」
ヤクザがヤクザでおれん時代に、うまくヤクザしよるのぅ・・
手の出せん相手に、自分だけ手を出して・・
ワシは広島の新時代じゃあ言われても、
古いヤクザじゃけえ王道しか走れんわい・・
この件でしばらく広島が静かになる。
ガキも大人も自粛ムードだ。
これ以上騒いで組織を警察に潰されたらたまったもんじゃない。
ジュリナもかすっただけの軽傷で早々に仕事に復帰。
田平も縄張りは小さくなったが以前のように流川で仕事に戻る。
各々がまるでもう抗争はなかったかのように・・
少し変わったのは紙屋町と流川に強狂が溢れている事。
ジュリが八丁に根城を移した事。
俺が久しぶりにジュリナの店に行った事・・
そして大きく筋書きが変わったのは・・
「・・・・久しぶりじゃの」水沢
「とても・・・」ジュリナ
ふふ・・全力でご機嫌斜めじゃの。
「・・・少しは広島に関心を持って頂ければ・・」ジュリナ
「・・・そうじゃの・・」水沢
いつからだっただろう・・
この人が広島の夜の街に来なくなったのは・・
「いらっしゃいませ。お久しぶりです水沢さん」黒服
「おうっ」
もう1年近く広島で飲み歩いてないような・・
「・・・・ああ、そうそう・・」水沢
「・・・なんでしょうか?」ジュリナ
ふっ・・
近いうちに大刀が来るぞ・・
「・・・少し合わせる顔がございません。」ジュリナ
「じゃろうな。」水沢
じゃが来るぞ。脅しに甘えに何でも有りで・・。
「2億借りに・・」水沢
「・・っ・・・・。」ジュリナ
くく・・恐ろしいじゃろ?ヤクザいうのは。
お前も分かっとるじゃろうが。
まだノブオが捕まっとらんのも。
もうワンチャンあるぞこのガキも・・。