改装の構想を練りましょう
次にすることは「物件を探す」ことだそうですが、それは葉月さん達には必要ありません。
おばあちゃんの家は、最寄り駅へ徒歩で3分もかからないという、超優良物件です。
建物自体は古いですが…。
本には、その次は「内装工事を頼む」となっていますが、こちらにどのような店にするのかの構想がないと、工務店に伝えようがありません。
「どう改装するかの構想を固める必要があるわね~。」
お風呂から出てきた、桜色の頬っぺたの弥生さんを交えて、三人姉妹の相談が続きます。
「カイソーのコウソーだなんて、ゴロがいいわね。」
「陸っちゃん、酔ってるの?」
睦月さんはご飯の後で缶チューハイを飲んでいたので、少々ほろ酔いかげんです。
こちらの頬っぺは、赤くなっています。
葉月さんの頬は、のん気な姉たちの顔を見て、少し青くなっていました。
大丈夫かしら?
この二人。
「私は台所の隣にある四畳半の畳部屋を、作業用の場所として取り込んで、ワンルームキッチンに改装してもらったらどうかと思ってたの。」
段取り屋の弥生さんがそう言うと、睦月さんが待ったをかけました。
「それは建具を工夫したら私たちで出来るよ。そんなところにお金を使わないで、お風呂を潰してトイレを作ってもらおう。」
「「トイレ?!」」
驚きましたが、確かに睦月さんが言うのはもっともです。
お客さんが店に持つ印象の中で、トイレの存在は大きいでしょう。
「でもお金がかかるんじゃない?」
「私の貯金も供出するよ。後で工事が出来そうにないところをやってしまっておこう。今のトイレと新しく作るトイレ、二つあれば男性用と女性用ができるでしょ。お風呂の広さからすると、一部を台所に取り込んで、食器の洗い場にしてもらえばいいじゃん。」
「あ、それいい考え。業務用の食器洗浄機もつけてよ。」
「葉月~。」
弥生さんに睨まれたけど、食器洗いは大変なんですよ。
とにかくそのあたりは工務店の人に相談して、見積もりを出してもらうことになりました。
段々とお店の形が見えてきましたね。