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蟲姦パラセクト  作者: 僕の耳から甲殻類
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プロローグ

ある夏の日、一人の少女の命と引き換えに 一匹の小さな命が生まれた。

しかしそれはあまりにも儚く、脆い命だった...

とある事件に巻き込まれ亡くなった一人の少女、黒瀬は 一匹のカブトムシのメスとして転生する事となり、

平和な人間界では知る由もない自然の厳しさ、弱肉強食を 目の当たりにしながらも、

少女は人間だった頃の記憶を頼りに、 この世界で生き抜く決意を抱く...。



これは、心を持った昆虫のお話




「はぁ...」

朝は、毎日やる気のないため息から始まる。

彼女の名は黒瀬 彩 女子高生。

容姿端麗で家庭は裕福だった

しかしその為、周りからは常に

嫉妬の目で見られ続け、

いつしか彼女は人間不信となり、

不登校となってしまっていた。


「何か面白い事起きないかなぁ」


そんな毎日が夏休みのニートのような言葉を呟いて、

昼食を買いに近くのコンビニを立ち寄った。


「昆虫ゼリー弁当下さい。」


「こちら580円となります」



こうして弁当、あとついでにお茶も買った。

コンビニからの帰り道。スマホの時計は午後一時、

今頃生徒達は 理科の中間テストを受けている所だろう。

みんなが苦しんでいる所を想像すると、

胸の底から笑いが込み上げてくる。

彼女は結構ゲスい。



そんな事を思いながら信号を待っていると、 突然他の車とは桁違いの速さの車がこちらに

向かってくる。 しかし彩はスマホを見る事に夢中になっていた為、

その車に気づくのに一足遅く、気づいた時には車は既に彩の手前まで来ていた。



その瞬間、脇腹を潰されたかのような

激痛が全身に走り、

血がとめどなく腹から吹き出ており、

朦朧(もうろう)とした意識の中で

ゆっくりとまぶたが

重くなっていくのを感じた。



私は死んだのだ。楽しみにしていた高校生活は 裕福な家庭に生まれたせいで周りからは 嫉妬の目で見られ不登校となり、 ただ何も起きない普遍の毎日を繰り返していた。



「この灰色の世界からやっと解放された。 もう死んだから何も考えなくていいんだ。ずっとゆっくりと寝ていられる。」


.....

.......




...そのはずだった。そうである筈だった。

しかし彼女は目覚めたのだ。 暖かく、静かな土の中で...。


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