情勢
1940年、突如として超人的な身体能力や頭脳を保持した人間が出現。
当時の政府はそれをミュータントと呼称した。
そのミュータントは裏社会で暗躍し始めた。
1960年、ミュータントは【リベリオン】と名乗り、表社会に進出し、大量殺戮を行なった。
その結果、人類の総人口は著しく低下した。
さらに、サイバーテロによって世界各国の経済は崩壊寸前まで追い詰められた。
これを世界崩壊の危機と判断した世界の首脳陣たちは世界平和維持機構、通称WPOを設立。
WPOは同じ超人的な力を持った人間を集め、対抗集団【ミスト】を組織し、これに対抗した。
同じミュータントの集団を組織しなければならない理由として、【リベリオン】は当時では考えられないほどの技術力を有しており、特殊電磁パルス(通称SEMP)や防弾チョッキを開発していた。さらに【リベリオン】の一部の者は銃すら避けたのである。したがってWPOはミュータントにはミュータントで対抗するしか手段がなかったのである。
1980年、【ミスト】は激戦の末、見事【リベリオン】を打ち砕くことに成功。
WPOはその後もミュータント関連の事件を解決するために活動を続け、激減していた世界人口も少しずつ増えていった。
2000年、WPOの研究によって、ミュータントのメカニズムがある程度解明され、
通常なら筋肉は耐えきれず千切れてしまうほどの力を使用、そしてそれに耐えうる肉体を保持している〈バウンド〉
脳細胞が極端に多く、処理能力とIQが異常に高い〈ブレイン〉
その両方を兼ね備えた超越者だが、数はとても少ない〈トランス〉
この3種類に分けられた。
さらにWPOはミュータントを解明したことで、ある薬の開発に成功する。
それは一般人をミュータントの身体へと変貌させる人体変異薬、通称LBM。
これをWPOは2010年4月20日、世界中にばら撒いた。
これが「降誕の日」である。
だが、LBMの効果は人それぞれで、服用しても自然発生したミュータントほどの力を持つことは出来ない者が殆どだったが、それでも身体能力や頭脳機能は上昇した。
これによりWPOが【ミスト】で起用していた身体能力、頭脳などを総合的に判断したWPOランキングと言う制度を制定し、WPOは世界中の人々にもランキングを与え、それが社会的地位を表すものとなった。
また、WPOランキング1位~9位までの一桁ランキング保持者は通称〈エクシード〉と呼ばれている。
しかし、過去に一度だけ〈エクシード〉が全て入れ替わるという前代未聞の珍事件が起きた。
2010年、「降誕の日」が起きてから一月後、当時の〈エクシード〉は突如WPOから姿を消した。
理由は定かではない。
突如として消えてしまったのだ。
だが彼らを責めるものは殆どいなかった。
なぜなら、彼らは多くの功績を残していたからだ。
現在は2017年。
WPOが設立されてからは77年が経過した。
歴史は浅いが姿を消した〈エクシード〉達は歴代最強と謳われ、今尚伝説として受け継がれている。
今、彼らがどこで何をしているのかを知っている者はいない。