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スクール・ラブ党VS英明党9

「おっーーと、ここで朝雛の爆弾発言だーーー! 気になりますねーどういった恋だったのですか?」

「他のクラスで話す機会は少なかったのですが、それでも彼女に恋焦がれていました。たまに話しをする機会があり、その時は彼女の好みを訊いたり、他愛もない話をしたりと楽しかったです。特に彼女の笑顔が魅力的でずっと眺めていたかったほどです」

「淡い恋ですね~。いやー、その光景が目に浮かぶ」

 司会者が想像し始めている。

「そして、どうすれば自分を見てくれるか悩み友達にも相談しました。それでも、自分の納得いく答えは簡単には出てきませんでした。今すぐにでも気持ちを伝えたいと思いましたが、身体は動きませんでした。それは、フラれる怖さや今の自分では無理だと様々な感情が邪魔していからだと思います」

「朝雛さん……」

 自身の昔話をしている朝雛の横顔を見ていた詩織は切ない表情で見ている。

「友達の協力を得て女の子に好感を持たれる髪型にしてみたり、言葉や仕草など雑誌を見て自分なりまなびました。また、彼女の好きなキャラクターのぬいぐるみをプレゼントしようと計画もしました。しかし……」

 一瞬だけ眼を閉じ朝雛は気持ちを落ち着かせた。

 過去の苦い恋の経験を語るのは辛いものがある。それもこのような舞台の中で。

それでも朝雛が語る事ができるのは、観客に伝えたいことがあるという強い覚悟があるから。

「告白をする前に俺は身を引きました。彼女は別の男性と付き合ったのです。その時、自分はただの独り相撲をしていたのだと痛感しました。悲しい気持ちはありましたが、それよりも、笑えましたよ。最初から彼女は俺を見てもいなかったのだなと。馬鹿な自分を今でも思い出します」

 手を胸に当て語る朝雛に観客は引き込まれていた。

「それでも、自分は多くのモノを得られ成長させてくれました。だから、皆さんもここから恋を始めましょう」

 先ほどまでの静かな声音から明るく強い声音に変わった。

「自分もまた恋を始めていきます。一緒に恋をしていきましょう。全力で皆さんの恋を応援し背中を押します。自分は恋する皆さんの味方ですから」

「さあ、九坂さんも一緒に恋をしてみましょう。俺は全力で応援しますよ! きっと良い恋が出来るはずです」

「もう…恋はしちゃったかもです……」

 小さな声で嬉しそうに言った。

「はい。がんばってみます!」

最初の言葉は朝雛には聞こえなかったが、次の言葉ははっきりと聞こえた。

「さあ! 皆で恋をして学園生活を楽しみましょうーーー!」

 朝雛は高々と両手を広げ叫んだ。

 その姿に観客は沈黙した。だが、すぐに拍手が一つまた一つとなり始める。

 拍手の音は次第に大きくなりもうホール中が拍手の音で支配され、観客はいつの間にか立ち上がって拍手をしていたのだ。

 観客は朝雛の演説に賛同した証拠でもあった。

「ありがとうございます。本当にありがとうございます!」

 深々と頭を下げ感謝の意を述べる朝雛の耳に流れる拍手。

 その音色を全身で浴びつつスクール・ラブ党での活動に全力を注ぐと誓った。


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