スクール・ラブ党VS英明党8
「ここまで来れたからです! 自分もここまで来るには努力はしましたが九坂さんほどではないです。運が良かっただけかもしれない。でも、九坂さんは違います」
「九坂さんは努力に努力を重ねて来たのだと思っています。一緒に戦ってきて分かりました。そして、今ここでそれが確信に変わりました。だから、九坂さんは恋をしても難関大学に合格出来る!」
「あさ……ひな……さん」
自分を見ていてくれた驚きと喜びで言葉が上手く言えなかった。ただ、朝雛と言っただけ。
また、何の保証もないのに朝雛が出来ると言った言葉が、詩織の中で大きな自信にもなっていた。
「だから、恋もしてみましょう! 九坂さんなら良い恋人が出来る。そして、お姉さんたちに自慢しやりましょう。私の恋人はかっこよく良い人だってね」
朝雛の言葉に詩織の心は軽くなっていく。
「何なら俺とどうです?」
朝雛はグーサインを自分に向けてアピールする。
「そ、それはないです……かも……」
すぐにお断りした詩織だが、誰にも聞こえない小さな声では少し朝雛を意識していると告げた。
「フラれてしまったーーー! あっさりとおと断りと言われた朝雛。これは重い一撃だーー!」
司会者が大声で朝雛がフラれたと叫んだ。
『九坂さんは高根の花だぞ。朝雛にはとれるわけないだろうーーー』
『速効にフラれたぞー!』
野次や笑いがホールに巻き起こった。
「フラれちゃいましたー。やっぱ、俺なんかよりかっこいい人が良いですよね?」
「い、いえ……そんな……ことは……ないです」
詩織は少し頬を染め小さな声で否定した。
「きっと、良い人が現れます。九坂さんに」
微笑む朝雛に何も言い出せず見惚れていた詩織。
「さて、ここから自分の政策についてお話していきます」
朝雛は観客の方に向き直る。
「自分は皆さんが恋をして欲しいという願いで出会いの場を提供していこうと考えています」
「先ほども言っていた出会いの場とは? 具体的にどのようなものでしょう?」
司会者が興味津々に訊いてきた。
「その出会いの場とは『ラブラブ・コンパ』略して『ラブコン』です」
「ほぉ~、『ラブコン』政策とは何でしょうか?」
「コンパを学年毎に行い出会いの場を設けるのです。クラスは関係ありません。それぞれ、好みの人と話したり、連絡先を交換したりと自由です」
両手を広げ声高らかに演説する姿に詩織は何も言えずにいた。
「恋は誰しも抱くものです。叶う恋や叶わない恋もあるかもしれません」
「自分は一度叶わぬ恋を経験しました」




