スクール・ラブ党VS英明党5
「安心してください。政策の目玉の一つとして、あの有名予備校の森先生を特別講師としてお呼びしたいと思っています」
『まじかよ!あのテレビに出てる!?』
『そういえば、テレビで紹介されてた先生の授業すごく楽しそうだったよ』
『よっしゃーそれなら勉強するぞー』
『九坂さーん素敵で―す!』
男女も推進派も関係なく応援と賛同の声が飛び交った。
「皆さん。ありがとうございます。他にもいろいろな政策を用意しています。皆で勉学に勤しみましょう」
その声に詩織は微笑み深々と頭を下げた。
「すばらしい! 実にすばらしい。さすが、学年ナンバーワンの成績を誇る九坂さん。感動しましたよ。勉強苦手な自分も魅力的なコースだと思いました」
「ありがとうございます。なら、ぜひ」
「ですが。勝ち負けを決めるのはまだ早いです。もう一度、俺の話を聞いてからにしてくれますか?」
人差し指を立て朝雛は攻勢に出始める。
「いいですよ。どちらが勝つか決まったも同然ですけど」
詩織は余裕の笑みを浮かべる。
「九坂さんの素晴らしいスピーチの後ですが、ぜひ、聞いていただきたい。―ゴホン」
一つ咳払いをし朝雛は自分の準備を整えた。
「皆さん。頭の勉強は出来てもそれでは人生の勉強はどうするのですか?」
「人生の勉強は大人になってからすればできると思いますが?」
「たしかにできると思います。しかし、それでは遅いです! 人生経験を豊かにし多くのことを学べるのは恋なのです! 人を想う気持ち、人を大切にする気持ち、尽くす気持ちなどかけがえのないものばかり」
「それは恋をしなくても学べます!」
「どう学ぶのですか? まさか家族とか友達と言うのですか?」
「そ、その通りです……」
朝雛は呆れて静かに溜息を零した。
「あっはっはっは! これは傑作です」
朝雛は大きく笑い出す。
「な、何がおかしいのですか! というか、そこまで笑わなくてもいいでしょう!」
笑い出した朝雛に詩織は頬を赤くして怒った。
「良いですか? それは恋とは別なものであり自然と身に付くのです。言うなれば家族なら家族愛、友達なら友情、大切ではありますがこれではないのです! 九坂さんは少しお子様みたいな考えですね」
「おこ! お子様って! 私はお子様じゃありません! それに家族愛や友情が大切ならこれだけで良いのではないですか! 無理に恋をするなんて違うと思いますよ。そ、そんな恋はいらないのではないです!」
「無理に恋なんてするわけないではですか。何かしら自分の心を動かすものが相手にあるあから恋が始まるのです! そこからもう止まらないのです恋のメリーゴーランドは!」
「あっ、でも、恋をしたことのない九坂さんには分かりませんか?」
「むぅぅ~~~」
詩織はプルプルと身体を振るわせ怒っている。
こんな大勢の前で馬鹿にされているなら誰だって怒るだろう。
だが、すぐに朝雛の言葉に異を唱える。




