スクール・ラブ党VS英明党4
詩織に関しては勝手に自分の憧れだと言われ否定し若干距離を取った。
流石にわざとハンカチや生徒手帳を落としてまで出会いを求める行動は気持ち悪いのだろう。
「しかし! それをしても運命的な出会いは起こらない! なら、きっかけを作るのを大切です。そのために俺は出会いの場を提供するのです!」
「そのような場を作ってまで出会い本当に恋が出来るのですか?」
「恋は考えてするものではないのですよ。感じるのす。フィーリングです!」
「感じるとは具体的にどのようなことでしょうか?」
詩織には分からなかった。何せ恋とは無縁で勉強ばかりしていたために。
「九坂さん恋をしたことがないのですか?」
「し、したことがありませんよ! それがないか悪いのですか?」
馬鹿にされた気分になり逆キレみたいな形で答えた。
「いや、悪いとは言っていませんよ。それなら今から恋を始めるのはどうですか?」
「不要です! 私は勉学に励みます!」
断固拒否した詩織に朝雛は返す言葉がなかった。
「第一、無理に出会いを作ってしまえば恋は成立しないと思います!」
「それはどうしてですか?」
「その場の勢いというものがあり、相手をこともよく知らないのに、好みの人だと錯覚してしまう恐れがあると思います。それは非常に危険ででただの遊びにしかなりません!」
詩織は声を大きくして訴えた。
『そうだ。そうだ。詩織さんの言うと通りだー!』
『そんなの女性を物にしているようなものよー』
『どうせ変なことを考えているのでしょ!? さっきの発言もキモかったし!』
観客からの後押しする声が広がり、今度は朝雛が不利な状況に追い込まれた。
「おおーーっと! これは九坂詩織が観客を味方につけたぞー、さすが、優等生の九坂のカリスマ性もさることながら、朝雛は先ほどの熱すぎる出会いへの思いが裏目に出てしまったか!?」
司会者が詩織を評価し朝雛には少しばかりではあるがプレッシャーをかけてきた。
「そうですか、では、そこまで否定する九坂さんが勧める勉学の政策はどのようなもですか?教えてください」
自分の考えばかりを言っても反論されるばかりだと思い、詩織の意見を聞いてみようと説明を要求した。
発散させるのも一つの手だと朝雛は考えている。
「朝雛さんが教えてほしいと申されたので私の政策の続きをお話しします。勉強は私たちを大きく成長させます。勉強が苦手、勉強が嫌いと思う人も多くいると思いますが、それは自分自身の可能性の芽を摘んでいることと同じです」
「たしかに、自分も勉強は好きではないですね~。でも、今の九坂の言葉を聞くと確かに、もったいないことをしているように思えてきます」
詩織の言葉に司会者も納得している。
「そうです!非常にもったいないです! 私たちの可能性は、まだまだ多岐にわたると思っています。勉強が苦手な生徒の皆さん。皆さんが勉強に対して苦手意識を持つのは、単純に楽しくない、やったところで思うように点数が伸びないからではないでしょうか? 私は成績向上のため皆さんに楽しく効率の良い勉強を教えるコースをつくります」
『いいぞー! 九坂』
『私もそのコースに入ります』 詩織推進派たちがさらに盛り上がる。
「ありがとうございます。でも生徒の皆さんの中にはそんな簡単に出来るものなのかと思っている方もいるのではないでしょうか?」
確かに、九坂推進派の勉強が出来る生徒達を除き、勉強嫌いの生徒達はそんな上手い話があるのかと、あったらこんなに苦労はしてないと、思っていた。




