スクール・ラブ党VS英明党3
「熱い声援が止みません。これは両者がこれまで勝ち残った証ともいえましょう。さあ、どんな答弁演説が繰り広げられるでしょうか?」
司会者も興奮し議事堂は熱気を帯びていた。
「さあ、両者が答弁台の前に立ちました。皆さん。これが二人の勇姿です。見てください。この戦いに勝ち残った二人の凛々しい顔を。品行方正かつ容姿端麗で頭も良い。もう完璧と言っても過言ではない九坂詩織に、恋の文字を体現して爽やかさの中には熱きものを秘めている顔の朝雛輝貴。さあ、いよいよゴングが鳴ります。お二人準備はいいですね?」
司会者は交互に二人を見た。
「いつでもいけます!」
「自分も大丈夫です」
「では、答弁演説の始め!」
―カーン
ゴングの音が鳴り響き会場を静まりかえた。
「では、私から発言しても良いですか?」
詩織が朝雛を見て許可を求めてきた。
「ええ。どうぞ」
「ありがとうございます。皆さん。英明党に出馬した九坂詩織です。私は学校とは勉学をするためにあるものだと考えています。学生の本分は勉強だと思います。この光政学園は進学校ではありませんが、何人かは有名難関大学に合格しています。しかし、それではだめだと思います。もっと、合格者を多く輩出し多くの可能性を切り開けるようにしていきます!」
強く凛とした声がホールに響き観客は彼女の言葉に呑まれていた。
「異議あり! それでは今この高校生という時間を失います。高校生は一度しかない。でも、難関大学に行くために費やす時間はこれから多くあると思います!」
すかさず朝雛が反論した。
「いえ、今この時も漠然とした時間を過ごしている生徒の皆さんに夢をあたえているのですよ!? これは良いことではないですか?」
「たしかに、何もしない生徒もいますが、それは何をすれば良いのか分からない。または、何をしようかと迷っているだけです。なら、自分は恋することをお勧めします!」
「恋なんて……しっ、しなくていいのです!」
詩織が少しむきになった。彼女は恋には免疫がなく言葉を聞くだけで動揺をしてしまう。
「どうしてですか!? 恋は良いものです! 自分がスクール・ラブ党に入党しましたら、まず男女のが気兼ねなく話せる場を提供します!」
「そんなことして、どうするのです!? 良いですか? それは不純な関係しか生みませんよ!」
「不純な関係とは何でしょう?」
「そ、それは……か、から、身体目的とか……」
「知的でお堅い九坂さんが! そんなことを!」
「あっ、朝雛さんが質問してきたから仕方なくですよ! 私だって言いたくなかったです!」 あと、私は堅くはないです!」
朝雛の誘導尋問に引っかかった事と、自分の評価に怒って頬を膨らませた。
「危惧しているのはわかりますが、出会いは訪れてもそこで終わることが多いのです。だから、きっかけの場は必要なのです!」
「どうしてです? そのような無理やりなやり方で出会いを作れば危険ですよ」
「九坂さんが思っているドラマのような必然的な出会いには俺も憧れます。廊下でぶつっかて生まれる恋、ハンカチや生徒手帳を落として生まれる恋は良いですが、俺もそんな出会いが欲しい! 何度願ったことか? わざとハンカチ落としたりしたこともあります。もちろん生徒手帳も!」
「憧れていません! 勝手に決めないでください!」
朝雛の熱い言葉だが若干観客が引いている。




