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スクール・ラブ党VS英明党11

「これも政策の一環です。強力なバックアップを付けるのも作戦の一つですよ」

「俺はそうゆう考えが回らなかった。これが華麗なる一族の九坂難が出来る技!」

「その~、華麗なる一族はやめてほしいですね~」

 苦笑いを浮べ詩織は朝雛に言った。

「おっと、これはごめん。あまりにも両親やお姉さんたちがすごくて」

「たしかに両親と姉たちは私でもすごいと思っています」

「でも、家族も勉強だけしてきたわけではないのだなと今更ながら思いました」

「まぁ、いろいろしていたとは思うよ。演説の時も言ったけど恋もしていたと思う」

詩織は己の愚かさを反省していた。

「そうですよね。私決めました!」

「ん?」

 立ち止まって詩織は朝雛を見た。

「私は勉強を一生懸命に頑張ります! でも、自分もいろんなことに挑戦してみようと思います。勉学だけでは学べないことをたくさん学ぶため」

「おっ! 九坂さん恋に目覚めたか!?」

「いえ……その~……」

 言葉を濁らせ頬を染める詩織。

「まぁ、そのほうがいいと思うぞ。勉強も大事だけど今を楽しまないと! それには恋だ! 恋をすれば学園生活がバラ色に!」

 熱く語る朝雛に詩織は微笑ましく見ていた。

「まぁ、それに九坂さんならモテるからすぐ恋人ができるよ!」

「そそそ、そんな……こと……ないです……」

 詩織は胸の前で両手をふり否定する。

「そうかな~? 演説の時もけっこうファンいたじゃん!」

 たしかに、詩織のファンは多くいた。比較的に男性が多いが女性もいる。

「それはモテるとは違うような気がします?」

「でも、好みの人がいて、九坂さんが声を掛けたらすぐだと思うぞ?」

 歩幅を合わせ歩く二人。

「そうゆう方がいないんですよね」

「そうか。でも、すぐに現れると思うぞ九坂さんが心ときめく人が」

「……もういます……私の……隣に」

「なんか言った?」

 少し俯き小さな声で詩織は言葉を発したが、朝雛には何を言っているのか聞こえなかった。

「何でもありませんよ」

「ん?」

 笑顔で答える詩織に朝雛は頭を傾け不思議そうにした。

「政策頑張ってくださいね。何かお手伝いできることがあれば言ってください。お手伝いします」

「ありがとう。じゃあ、その時になったらお願いするよ」

「はい!」

 弾んだ声に朝雛は詩織の中で何かが変わったと知った。

 それが、自分の演説を聞いてかわったのだと知る由はない。

「じゃあ、私こっちですので」

「ああ。じゃあね」

「朝雛君……」

「どうした?」

 分かれ道で立ち止まる二人。少しの間だけ沈黙が続いた。

「いえ、何でもありません。では」

「ああ」

 二人は別れそれぞれの家路を歩いていく。

 詩織は振り向き朝雛の遠ざかる背中を見ている。

「私……頑張ります……あなたに見てもらえるように……」

 詩織は小さく呟いたがその決意は大きなものであった。

 朝雛のおかげで変われた詩織は恋心を抱き始めていた。

 小さな恋心と朝雛の政策。二つは共に実るかは誰にも分からない。

 でも、希望はあるだろう。

 なぜなら、詩織の春と学園の春は始まったばかりだから。


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