スクール・ラブ党VS英明党10
夕陽が空を朱色に染め家路にを歩く学生を見守っている。
下駄箱で靴を履きかえている朝雛も今から下校する途中だった。
「俺が勝ったんだな……」
今日の決選で見事勝利した朝雛は、今更ながらその現実を実感していた。
「ここから、俺の本当の闘いが始まる!」
静かに闘志を燃やし必ず政策を実現させると奮起した。
「あ、朝雛君……」
後ろから声を掛けられ振り向くと詩織がいた。
「九坂さん!」
まさか声を掛けて来たのが、先ほどまで闘っていた詩織だったので朝雛は驚いた。
「今日はお互いに健闘しましたけど最後は朝雛さんの演説がすごかったですね」
「いえ、俺は負けるかなと思ったよ。九坂さんの演説はすごかったし」
互いに闘った二人だが終わればただの学生同士。
このように仲良く話すのは当たり前だ。
「本当に今日はありがとうございます」
「いや、俺の方こそいろいろと言い過ぎてごめん」
朝雛は頭を下げた。演説の時に詩織にいろいろと酷いことを言ったにsy財する気持ちで。
「いえ、あの時は酷いとおもいましたが、今は気にしていませんから。頭を上げてください」
詩織は慌てて胸の前で両手を振る。
頭を上げる朝雛に詩織は視線を逸らしてもじもじし始めた。
「あの~。もし……良かったら……一緒に帰りませんか……?」
勇気を振り絞って誘う詩織は緊張と不安で答えを待つ。
「よ、喜んで! 九坂さんと帰れるなら俺からお願いする勢いだよ!」
ガッツポーズをして喜びを噛みしめる朝雛。
「良かったです! ちょっと待っていてください。今、靴に履き替えますので」
すぐに上履きから靴に履き替えに行く詩織。
「おいおいおい! これはさっそくの恋イベか!? それとも勝者だけか得られるモテイベなのか!? いや、どっちにしろ俺に恋のイベントがさっそく来たんだ! ここはいっしょ決めないと!」
一人で盛り上がっている朝雛。
「お待たせしました」
「じゃあ、一緒に帰るか」
詩織が来て朝雛はバックを持ち上げ足を進める。
外に出ると部活をしている生徒たちがいた。
「本当に長い戦いだった」
「そうですよね。でも、あっという間でもありました」
「俺なんて勢いだけで行ったからな~」
「そうなのですか?」
「九坂さんみたいに考えて演説したわけではないなく、勢いと自分の思いをぶつけて決戦まで来れたんだ。今思えばよく決戦まで来れたなと」
「正直、私も決選に朝雛君が来るとは思っていませんでした」
「あっはっはっは。そうだよな?」
「あっ、でも、今は決選まで来て私に勝った理由も分かりますよ」
笑う朝雛に詩織は慌てて訂正を入れてきた。
「本当に負けるかもしれないと思ってたよ。九坂さんの演説は説得力あり政策もあの有名な予備校の講師を招くとは驚いたよ。あと、支持率も結構高かったし」
決選前に支持率投票があった。その結果は詩織の方が支持率は朝雛より大いに上回っていたのだ。




