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虹と黒の系譜 【打ち切り】  作者: 草犬尾茶
第1章 人格侵食
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第六話 前編 小賢しく醜悪にして、

 

 研究所に残っていた残りの魔導人形(マギドール)の部品は食った。

 結果、身体の中で作れる事が判明しているため、人形ちゃんが怪我をしても大丈夫である。


 産まれた頃からずっと使ってるこの身体操作……『身体絶対制御』というスキルだと判明したのだがやはり便利だ。


 自分の身体の定義なんて血液かけたり、粘膜接触やらをすれば変えれるためとても使える。

 脳弄って洗脳とかもできるしな。


 地球にいた頃に「お前の触れた後ってなんでそんなに綺麗になるんだ?」とか、

 孤児院に入れられそうだったのでお姉ちゃんが戸籍情報を作ったときにも使ったらしい。


 お姉ちゃん基本力押しだからな……

 私いなかったら社会不適合者丸出しだから……

 絶対ヤバいじゃん。


 私以外どうでもいいって感じだし、人間不信っていうよりも目にすら入れないし。

 さらには時間にルーズすぎる。


 一度あったのが私はクラブの準備があったから先に出たんだけど、

 お姉ちゃん学校に来なかった上に3日戻って来なかったし。


 後で話を聞いてみれば「森林浴してたよ?」と一切悪びれなく言うのだ。


 授業も空見てるだけで一切聞いてないし、

 先生は洗脳されてて違和感持てないしで、

 本当にヤバいのだ。



 まあつまりは、心配だなぁ……



「白樹さま、……白樹さま?外に着きましたよ?」

「ん?あぁごめん、考え事してて気づいてなかった」

「私のような魔導人形(マギドール)に謝ってはいけません」

「親しき仲にも礼儀ありと言う諺もある。ちゃんと謝罪はしないといけないよ」

「わかりました。白樹さま」


 親しいと言っていいのかわからない上に少々使い方を間違っている気がしなくもないが。


「それじゃあこのまま進むぞ、眼の調子は良いか?」

「大丈夫です」


 なぜ聞くのかと言うと、

 研究所を出てすぐに人形ちゃんが

「白樹さま、視界の状態が危険です。光源を用意しますか?」

 と言ってきたので眼を弄った。

 そしたら

「光源が確認されました。視界状態良好」

 と、すっごい機械的な事を言っていた。

 それはそれで面白いのだがあまり好きではない。


 ……仕方ないのだろうけど。




「多数の魔力反応を確認。第2警戒状態に移行」

「敵がいるのか?」

「はい、白樹さま。ゴブリンと思われる反応が10体」

「避けれるか?」

「敵に捕捉されています。可能性は限りなく低いです」

「……ゴブリンって強いか?」

「白樹さまの魔力反応からすると、負ける可能性はとても低いと考えられます」


 なら、やってみようか。

 人形ちゃんに倒させてみたい。

 その数で負ける可能性が低いとなると一体一体はすごく弱いのだろうし。

 それなら捕まえたりして殺さずに過ぎることもできるだろう。


「やろっか、じゃあ案内して」

「わかりました、白樹さま」


 人形ちゃんは渡してあった、

 研究所の鉄っぽい変なので作った剣を抜刀。

 人形ちゃんが言うには魔断鋼(真鉄)という魔力遮断の鉄らしい。

 見ただけだと鉄なのでおっさん知識でもわからなかったのだ。


 こっちは黒い魔力、その中でも重力の色、

 紫黒にも見える色へと循環させて切り替えていく。


 見えた。緑色の醜い小人。

 ギョロ目を向き歪んで長い耳を持ち、

 ヒョロっとしている。


 ……普通の日本人でも殺せそうだな。

 今は関係ないか。



「私が魔法で抑えつけるから、その間にやれ」

「わかりました。白樹さま」


 人形ちゃんに簡単な指示を出して、

 魔力を放出、ゴブリン供の元まで伸ばさなきゃならないが、これも『魔力制御』のおかげかかなり速い。


「キョー!キョクキャー!」

「「「「「チョーキャー!」」」」」


 見つかってることに気づいたらしい。遅くね?

 もう既に魔力が辿り着いた。

 空が落ちて、地面に抑えつけられるイメージ。


 暗黒と称すべきほどの黒い魔力が完全に可視化する。


「「「「「グーキョー!?」」」」」

「行きます」


 変な叫び声(・・・)を上げてゴブリンが地面に縛り付けられると同時に人形ちゃんが黒く長い髪を靡かせ突撃。

 無表情で首を断つ、断つ、断つ。

 機械的に、作業的に殺害を犯した清楚ロリメイドが振り返り、


「終わりました。白樹さま」

「うん、ご苦労様。じゃあ少し離れてて」


 解体が面倒なので『捕食手』で食べて魔石だけ吐き出す。

 味はわからないけど恐らく不味いのでちゃんと食べたくはない。


「人形ちゃん、こっちおいで」

「浄化完了。わかりました、白樹さま」


 なんか返り血消えてる。何やったの。


 おっさん知識から見ると、白い魔力か黒い魔力をただ単に放出すると浄化、異物を消去する力になるんだとか。


 邪素という放射線物質みたいな危険物もほんの少しだが消せるらしい。


 消え去れビームは消去の方に重点をおいた力になっちゃってるっぽい。

 なんかスキルの『祖神の守護』とやらに邪素侵食無効とかあったので私は気にしなくてもいいか。


 人形ちゃんは気にしないとダメかな?


 考察は後にしよう。

 まずはここでぽけ〜っと私の顔を無表情で眺めている人形ちゃんに魔石をつけて上げねば。





「よし、できた。魔力の血管的なアレに異常は?」

「魔力回路でしょうか?でしたら異常……外部操作によって循環状態が維持されています。抗いますか?」

「抗わなくていいです。それ以外に異常は?」

「特にありません」


 魔力回路であってた。自分でつけた名前なのに。

 あと抗いますか?ってなに。

 もう少し聞き方なかったの?

 バカっぽくていいけど。


 それはそれとして、私の記憶は増えなかった。

 これなら大丈夫だろう。


 エルフの領地まで行ったら対処法が見つかるかも知れない訳だし。

 スキルの封印とかできないかな。



「白樹さま、大量の魔力反応を検知。軌道はこちらに向かっています」

「はい?いや何それは」

「ゴブリンだと思われます」

「……逃げれる?」

「既に囲まれています。逃げれる可能性は低いと思われます」

「……数は?」

「300は確実かと」


 ……めちゃくちゃ多いじゃん!

 でもこの弱さだったら大丈夫か?


「大きな魔力反応を確認。ゴブリンの上位種であると判断、危険度が高いです」

「……そいつに絡まれずに逃げれる?」

「わかりません、ゴブリンの魔法制御力によります」


 魔法制御力ってことは……魔法使ってくる可能性が高いって事か。

 危なそうだなぁ……

 そいつ一匹は倒す覚悟しておくか。

 ほかのゴブリンは重力とかでどうとでもなるし。



#ゴブリン

種別:魔物(妖精模範種)


 魔物全ての特徴として、エルフ領に近いほど、「星の楔」と呼ばれる場所に近いほど力が強く、魔力が高い。


 身長は100cmほどで、全体的にガリガリで、緑の肌を持ち、ギョロ目を剥き、歪んだ長い耳を持つ。


 力は弱く、知能も低い。

 稀にいる大きなゴブリンをリーダーとして行動する事もある。

 群れを作る場合、30〜100程度が限界。それを超える群れの場合、エルダーゴブリン、リトルベルゼブブと呼ばれる種がいる可能性が高い。


 エルダーゴブリンはヒゲの生えた老人のようで、知能が非常に高いが、戦闘能力は皆無。

 ただ単に長く生きたゴブリンである。


 リトルベルゼブブはゴブリン系の邪神の配下だと言われる。

 力は非常に強く、不老であるが、知能はあまり高く無い。

 見た目は二足歩行する巨大なハエ。

 色は緑が最も弱く、爛れたような灰色が最も強いとされる。


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