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目が覚めるとそこは
ゴトゴトと揺れる違和感と、息苦しさで目を覚ます。そこはいつもの見慣れた天井ではなく、檻の中であった。
檻の中には自分以外にも複数の人々が閉じ込められており、そこにいる全員が今の現状を理解できていない様子だった。
鉄の隙間から見える景色は見知らぬ土地、空は暗く、そのことから今は夜なんだと認識をする。
「ここは…どこだ?どこに向かっている?」
"向かっている"そう感じたのはこの慣れ親しんだゴトゴトと揺れる感覚、目覚めて一番始めに気づいたことがこれだ。
職業柄か、この揺れが馬車に乗っている時のそれだとハッキリ認識できた。
「さ、さぁな…ワシも、ここにいる誰もがどこへ連れて行かれるのかわからないんだ…」
僕の発言に答えてくれたのは1人の老人だった、その声は弱々しく、酷く怯えている様子が見て取れる。