入院少女
短編です、衝動的に書きました。
こう言うのは、その場のテンションで書くのが一番かもですね。
では、どうぞ。
――――うちの名前は六ノ宮 京。
関西生まれの中学3年生で、初恋もまだな15歳の乙女(ここ重要!)です。
他は特に特筆すべきことは無い、ごくごく普通の乙女(ここ重要!)ですぅ。
ところでうちは今、ある病気……病気? うん、まぁ病気やね、病気で入院しとります。
今日は、そんな私の入院生活の一部……一部? うん、まぁ一部か、をお見せしたい思います。
何となく口寂しいかもやけれど、まぁ、何と言うか。
うちの話に付き合うてくれたら有り難いなと、そう思います。
それじゃ、どうぞよろしゅう――――お願いしますわ。
◆ ◆ ◆
――――月曜日。
一週間の最初、うちにとっては「カレンダー的には週の始まりって日曜日やない?」って思うんやけど、そこんところ世間一般の人達はどう思うとるんやろか?
いや、まぁ、どっちでもええて言われたらそこで会話切れてまうんやけどな。
入院生活も順応してしまえば大したこと無いもんで、病室の白いベッドの上で本でも読んでれば自然と時間も流れていくわ。
そんなわけで、まぁせいぜい静かに読書少女と化そうかと企んでいると。
「お前が読書少女とかマジ似合わねーし! この万年パパラッチが!!」
「いきなり来て何やのん!?」
夕方近くになって病室のドアが開いたかと思えば、何故かいきなり罵倒された。
いや、確かにうちは新聞部の副部長やけども!
でもパパラッチでは無いよ!? だってカメラ持ってスクープ探したりはせぇへんもん!
むしろ、持って来られた部員の記事をディスるのが仕事やから!
「いや、それもそれでどうかと思うけどね……京ちゃん、身体の具合はどう?」
「あ、ありがとうな友くん、普通はお見舞いってそう言う優しい言葉から始まるもんやよね」
ああ、やっぱ友くんは優しいなぁ……今、うちにお見舞いのフルーツ盛り合わせ(定番やね)を渡してくれよるんが、同じ学校で同じクラスで家が隣、いわゆる幼馴染の男の子や。
黒髪黒目、線が細いように見える長身やけど、バレー部でセッターやってるねんて。
うちがそうやって友くん相手に和んでると、妙な視線を感じた。
それは友くんの隣に立っとる男の子の物で、最初にうちを「パパラッチ」呼ばわりした方やね。
何や、こう……うちを上からじ~っと見つめる感じで。
「な、何やの?」
「いや、なんつーか」
男の子、うちはコウ君て呼んでるけど……あ、こっちも幼馴染の子ぉや。
右隣が友くんの家で、左隣りがコウ君の家やから。
子供の頃から3人一緒、小さい頃は一緒にお昼寝とか普通にしたなぁ。
まぁ、でも今はお互いに良い年やし、こう、男女差的な物もいろいろあるわけで。
そう、ジロジロと不躾な視線を向けられてまうと流石に何や気恥かしいんやけど。
うち今、水玉模様の白パジャマやし、上の下着つけてへんし。
なんで、自分の身体を抱くみたいにしながら抗議の視線を眼鏡越しに送ってみる。
「何?」
「…………いや、似合わねーなと思って。そのパジャマ」
「いきなり否定から!?」
え、何? 何やの!? 乙女のパジャマ姿見てその反応!?
いや、別にコウ君に女の子扱いしろて言うつもりはないけど……でもそれは無い、無い無い。
「友くん友くん、ちょっとそこの子をスパイクの要領でパーンと!」
「バカが! 友が俺とお前、どっちを大事に思ってるか知らずによ!」
「……えーと、頭をボールに見立てれば良いの?」
「うん」
「あれ? ひょっとして……友って俺より京の方が大事だったりするのか? はっ……そうかわかったぞ、お前は京のことがすきゅうばだいびんぐっ!?」
……何か、アホがアホなことを言いながら病室の隅に身体をバウンドさせて気絶したんやけど。
まぁ、ええか、自業自得なような気もせんでも無いし。
うちが悪く無いなら、万事オーケーや。
「えーと、それで、身体は大丈夫?」
「あ、うん、全然大丈夫」
……うん?
心なしか友くんの顔が赤い気がするけど、まぁ気のせいかなぁ。
友くん、中学入った頃くらいから良くうち見て顔を赤ぁするようになったし。
特に病気でも無いなら、大丈夫やろー。
「あ……」
「何?」
「えっと……髪に埃が」
「ええっ? どこー?」
「ここ」
友くんがそっと手を伸ばして、うちの横髪についてた埃を指先で払ってくれた。
うちの髪、黒いから埃目立つんかな、あと長いから余計に……。
ほっぺに友くんの手が当たってくすぐったかったけど、でもやっぱ友くんは優しいなぁ。
バレー部部長やし、学校の女子とかにモテるのもわかる気が。
パシャッ。
フラッシュとシャッター音、それが病室の隅から響いた。
見れば、寝転がったままのコウ君がどっから出したんかインスタントカメラ構えとった。
そして、ウチらの方にぐっと親指を立ててから立ち上がって。
「写真部に、高く売れる……!」
「アンタの方がパパラッチやないの!?」
いや、別にやましい事は何も……って速!? 足、速!?
コウ君はそのままどっか言ってしもうた、ええぇ~……。
「ど、どないしょ……」
「大丈夫!」
すると、友くんが真剣な顔で同じように親指を立てとった。
おお、何や友くんが「大丈夫」て言ったら気持ちが軽く。
「バックアタックしてくるから!」
「ばっくあたっく!?」
そのまま、2人は戻ってきぃひんかった。
……何があったんかは、うちはよー知らんけど。
まぁ、仲がええならええと思う、うん。
そんな感じ。
◆ ◆ ◆
――――火曜日、今日は学校のお友達がお見舞いに来てくれた。
うん、来てくれたんはええんやけど……。
「なぁ……」
「うんー?」
うちが声をかけると、ベッド脇のパイプ椅子に座ったその子はうちの方を見た。
ふわふわした長い薄茶色の髪に、おっとりした笑顔。
ちっちゃくて、でも何か最近どんどんスタイル良くなって……ここ半年で二回も下着を買い替えるくらいにスタイルが急成長した女の子、桜ちゃん。
友くん達みたいに幼馴染って程じゃないけど、中学2年の時から急に仲良くなった子や。
何やっけ……どっかの会社の御令嬢とかやった気がするけど、2年生に上がった頃にいきなり「友達から始めてください」て言われて、まぁええかて思ってそのままお友達になった。
「そのケーキ、うちのやよな?」
「……? 違うよ?」
「違うの!?」
プラスチックのフォークでショートケーキをハグハグ食べるその姿は可愛えけど、でも憎らしい。
だってうち、今何も食べれへんから。
だから持って来てくれた時は「ごめんなぁ」て謝ったんやけど、それとは関係無しに自分用やったやと……何この子、恐ろしいわ……!
「……食べたい?」
「そら食べたいよ……そのケーキ、開店5分で売り切れるて評判の店のやんか……!」
「食べる?」
「食べれへんの!」
うぅ~食べたい~食べたいよぉ~……!
お腹は鳴るけど、まだアレがナニしたばっかやから、あんま刺激物を食べたあかんて。
こんな恨めしい気持ちは初めてやわ……!
と、うちが唸ってると、桜ちゃんがうちに人差し指を向けて来た。
その指先には、ちょっと、ほんまにちょぉっとの白いクリームがついとった。
……何? そんな感じで見ると、桜ちゃんはほんのり笑って首を傾げながら。
「舐めるー?」
「う?」
「舐めるだけなら、おっけー?」
ダメやと思う、けど。
ま、まぁほんのちょっとならええんかなー……とうちが誘惑に揺れとったら、ぷに、って唇に指先を押し付けられた。
あー、ここまで来たら一緒かなー。
「うふふ、みやちゃんの唇ってちっちゃくてプニプニで可愛いねー」
「皆一緒やと思うけど……」
「思わずちゅうしちゃいたいくらい」
「女同士やん……」
ツッコミを入れながら、ぱくっと桜ちゃんの人差し指の先を咥える。
すると、ほんのちょっぴり仄かな甘みが舌先に広がって来た。
ああ、甘いわ~。
「……っ……○◆△×ッ!?」
……ところで、何で桜ちゃんは片手でほっぺ押さえながらクネクネしとるんやろか?
いつものことやけど、面白い娘ぉやなぁ。
◆ ◆ ◆
――――水曜日。
今日は誰も来ぉへんのかなーて思ってたら、そうでも無かった。
まぁ、入院客として見舞客が途絶えへん言うのは嬉しいことやと思うべきかな。
「……何や、大久保くんか」
「ええっ、だ、誰だと思ったんですか……?」
「いや、誰って言うか……はは、ええから入っといでよ」
うちが苦笑を作った先には、新聞部の後輩……1年生の大久保くんがおった。
入部してきた時に記事の書き方とか教えてあげたんやけど、うちの教え方が不味いんかあんま覚え早く無くて、他の子ぉより随分長く面倒見てた気がするわ。
男の子にしては小柄やなぁて感じるのは、まだ1年生やからかな。
何と言うかこう、ようやく小学生らしさが抜けて来た感じ。
うちからすると、何か懐かしさを覚えてしまうような初々しさが可愛ぇんよねぇ。
まぁ、相手は男の子やけど。
「今日はどないしたん?」
「え、ええと、お見舞いです。下級生代表で、皆が行けって……」
「そっかぁ、ごめんなぁ。面倒やったやろ?」
「そ、そんなこと無いです! むしろ僕が自分で言い出したんですから!」
あれ、今行けって言われたて言って無かった?
うちがそうやって首を傾げてると、大久保くんは何かアワアワと慌て始めた。
……何やろこの可愛ぇ子、うちをどないしたいんやろか。
「…………」
「…………あの!」
沈黙が続くんで、何か病院ネタで話題を作ろかなて思い始めた時、大久保くんが叫び気味に行動を起こした。
具体的には、一枚の髪をうちに出して来て。
「げ、原稿チェック、お願いします!」
「……編集の子ぉに出せばええんちゃうん?」
「せ、先輩が良いんです!」
次の学生新聞の記事かな、それを見てくれて言われた。
まぁ、大久保くんの最初期の頃はうちが手伝いながらやったから、大久保くん的にはうちの太鼓判があれば安心できるてことかな。
それくらいなら、まぁ、先輩として副部長として力になったげんと。
あとどうでもええけど大久保くんの「先輩」って呼び方、下級生で一番な気がする、意味不明やけど。
それで、さっそく大久保くんの記事を読む。
ふむ、学校の七不思議かー……って、古いなネタが。
しかもアレや、何と言うかこう。
「大久保くん」
「はい」
「これ、初稿?」
「い、いえ、3回目くらいです」
……第3稿で、これか。
え、何これ……ネタ古い上にバックナンバーにこんなコマ割あったような気がするんやけど、参考にした物の影響受けやすいんは感受性の強さを強調でもしとるん? はっ、草食系が流行るんはもう過去の話やっちゅうの、今からはロールキャベツやろキャベツ。文法と字の移動がおかしいのは写真の切り方が半端やから? あと感じ間違ってるんやけど第3稿やのに、編集の子ぉはどこに目ぇつけてるん……?
「……大久保くん」
「は、はいっ」
「正座」
「はい……?」
「そこに、正座」
パイプ椅子の上で慌てて正座する大久保くんに、うちはにっこりと笑いかける。
するとこれから起こることに恐怖したのか――期待してるように見えるんは、気のせいやろ――顔を紅潮させて身を固くした。
うちはそんな素直な大久保くんに笑みを深くしてから、ゆっくりと息を吸った。
さて、修正の時間や。
◆ ◆ ◆
――――木曜日。
今日はお見舞いの人はおらんかったけど、代わりにお客さんが来てくれた。
どう違うんて? そりゃ何と言うか……。
「たのもー」
「おお、いらっしゃ~い」
同じ病院の入院仲間やから、見舞いて言うのはちょっと違う気がするやろ?
そんなこんなで、うちの病室に入って来たんは小学生の男の子や。
何や足の骨が折れたとかで、車椅子+右足にゴツいギプスや。
ツンツン黒髪のやんちゃ盛りって感じの子、名前は歩くん。
車椅子の膝の上には友達の寄せ書きが入ったサッカーボールと、あとポータブルな将棋盤。
お互い入院生活が暇やってんで、まぁ暇潰しで。
つっても、2日くらい前に会ったばっかやけど。
「また来てくれたんやなぁ、ありがとなぁ」
「おねーさんが将棋弱すぎなんだよ、小4に負けるとかザコすぎ」
「酷いなぁ」
まぁ、この時期の子ぉて大体口悪いもんな、しゃーないわ。
コウ君も小学校高学年の頃から口悪くなって……今も直ってへんのやけど、まぁええか。
とりあえずうちのベッドに車椅子を寄せて、ベッドの上にマグネットの将棋盤を広げる。
「ハンデは?」
「うちは年上のお姉さんやから、別にそんなんいらんよ?」
「俺がつまんないんだもん」
と、年上の威厳が……!
ま、まぁ、実際にうちの将棋の腕はヘボ以下なわけで。
結局の所、6枚落ちでやってもらうことになった。
見るだけに、「ハンデ貰ってます」感が半端ないなぁ。
まぁ、小4の子ぉとお遊びでやってるんやから、別に何でもええけどな。
……年上の威厳、ボロボロやけど。
「それにしても、うちは構って貰えて嬉しいからええけど……歩くんはええの? 退屈やない?」
「別に……暇だし。あとおねーさん将棋弱いし」
「将棋弱いんわ別に……あ、ちょっとゴメンな」
枕元の携帯電話が震えて、メール着信を知らせた。
開いてみれば、本文は空。
代わりにバレー部でバックアタックをコウ君に決めたらしい友くんがVサインしとる写真が添付されとった、セッターってバックアタック出来るっけ……?
「何?」
「あ、ちょっとな、学校の友達からメール来てん。バレー部の男の子なんやけど……ちょ、歩くん? 何でうちの飛車とるん!? 待って待って、今の待ったって!」
「余所見する方が悪いんじゃないのー?」
え、何で? 何かちょっと機嫌悪なってない?
やっぱこの年頃の子ぉは意味わからんなぁ、ポイントが掴めんわ。
んー、まぁ、しゃーないな、うちお姉さんやし。
うんうんと頷きながら1人で納得したら、次で角もとられた。
え、何これ、中盤ですでにボロボロな気配なんですけど。
いや、まだや、まだうちには序盤で取った駒がある……!
「おねーさん、それ二歩」
「え、二歩って何?」
「…………はぁ」
「え、ちょ、何その目! やめてや、めっちゃ情けなくなってくるやんか……!」
「あはは」
将棋してる内に、いつの間にか歩くんの機嫌が直っとった。
ようわからんけど、楽しんでくれたならええわ。
何しろ、うち、もうすぐ……。
◆ ◆ ◆
――――そんなこんなで、金曜日。
いやぁ、今週もなかなかヘヴィな一週間やったような気がする。
まだ土日残ってるけど、まぁ入院が先週の土曜からやから事実上の7日かな。
日常って、意外とハードやよね。
そんなわけで、今日は誰も来ないから休日かなーと思ってたら、面会時間ギリに来た。
仕事帰りなのかスーツで、うちの大好きな人が。
その人が病室のドアを開けてすぐ、うちは笑顔で言った。
「パパ!」
「うむ、私だ」
「何それー」
あはは、と笑って迎えると、パパは大きな紙袋をうちに押し付けて来た。
何かと思って中から出すと、抱っこすると丁度ええ感じのクマのぬいぐるみやった。
柔らか素材タイプで、細長い感じの。
「うわぁ、可愛えなぁ……ありがとな、パパ!」
「うん……」
パパは子供みたいにはしゃぐうちの様子にちょっと笑うと、そのままパイプ椅子に座った。
で、そのままだんまり。
うちのパパ、あんま口数多くないんよね。
でも可愛がって貰とる自覚はあるから、うちはパパのこと好きやよ。
世界で一番かな、今の所……うち、ママおらんしね。
ただ……誕生日とかクリスマスとか、ことあるごとにちゃんとプレゼントくれるんは嬉しいんやけど、全部ぬいぐるみなんよね。
しかも、クマさんオンリー。
たぶんうちが幼稚園の頃に言った「クマさんすきー」を未だに覚えてるんや思う、おかげでうちの部屋はクマさんのぬいぐるみだらけです、はい。
「身体の調子は、大丈夫か?」
「大丈夫やよ、と言うかそんな心配せんでも、だって……」
皆、大げさやわぁ本当。
そんなお見舞いとか、嬉しいけど、わざわざって思わんでも無い。
だって。
「うち、明日退院やで? ただの盲腸やし」
いや、お腹痛ぁなった時は本当に死ぬか思うたんやけど。
土曜日で、パパがおる時で良かったわー……せやないと、パパが帰ってくるまでリビングでうんうん唸りっぱなしやったもんね。
……あれかな、その時に思わず「パパ、今までありがと。大好きやよ」って言葉で心配になっとるんかな。
うん、今思い出したら物凄く恥ずかしい、パパは冷静やったから余計に恥ずかしい……!
「明日、迎えに来る」
「うん、待ってる」
それでも、パパがどことなく喜んでくれとるのがわかるから。
まぁ、病院には歩くん訪ねにまた来るかもしれんけど。
とにかく、うちの入院生活はこれで終わりや。
盲腸にしては、ちょっと長かったかなー?
日曜日にうちで休んで様子見て、はよ学校行けるようにならんと。
皆に心配かけてしもたかもやし……。
こうして休んでみると、学校て大事な場所何やなぁて思えるわ。
本当、健康が一番やねぇ。
◆ ◆ ◆
――――これで、うちの入院生活はおしまいです。
流石に1週間全部は無理やから、お見舞いの時とかだけやね。
何と言うか、平凡な日常って意外と劇的やなぁと思いますわ。
こんなうちの話に付き合うてくれて、本当に有り難うな。
ほな、また会えるんかどうかはわからんけど……うちは、学校に戻りますわ。
何せうちの学校、やたら濃い方やから。
うん? どんな学校かて?
そうやなぁ、興味があれば、一度見にきてください。
たぶんやけど、まぁ、ええとこやから。
うちの母校、私立東央学園は。
それでは皆さん、さようにゃ…………さ、さようならや、うん!
さようなら!
私立東央学園:
以前私が書いた「私立東央学園風紀委員会」と言う短編に登場する学校ですね。こう言うのも、宣伝の内に入るのでしょうか。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
久しぶりに長い一人称を書きました、懐かしさも感じます。
それでは、またどこかで。