ベリル・異国からの手紙(完)
パルへ
君が「探さないで」と手紙を残して去ったとき、俺はきっと君なりの理由があったんだと思ったけれど、それでも……ひどくショックを受けたんだ。
一緒にこの国へ来ることを夢見ていたから。思いもかけないことだった。
俺は子どもだったから、何か足りないところもあったのかな。
何度か君の家があった場所にも行ったけれど、すでに新しい人の手に渡っていた。その後の探し方も分からないまま、出発の日が来てしまったんだ。
だから、この手紙が届くかどうかも分からない。
それでも、書かずにはいられなかった。
俺の心は、今もずっと君を探している。
この国に来て、三か月。
勉強をしながら、動植物の採取に明け暮れる日々だ。
ようやく生活にも慣れてきたよ。周囲の人はみんな陽気で親切だから、楽しく過ごせている。
隣国は、君が言っていた通り、見たこともない色であふれているよ。
タンライトより温暖なせいか、植物も生物も大きなものが多いんだ。男の俺でも驚くほど大きなカエルもいて、「さすがにこれは君も逃げ出すだろうな」なんて思ったりもした。
珍しいものを見るたび、君に見せたいと思ってしまう。
今日、ラルマニに似た赤い実を見つけて、あの北高地のことを思い出したよ。
ちょっと味見してみようかとも思ったけれど、君に怒られそうでやめた。あの日みたいに、また君と一緒に、緑の中を歩きたい。
最近、夜にしか咲かない『銀月花』という花を見つけたんだ。
月の光を浴びて、白く細い花びらが噴水のように広がり、甘い香りがして……とてもきれいなんだ。
男女で見ると「永遠に結ばれる」という噂があるらしい。
君と一緒に見られたらいいのに。
パル、君は今、どこでどんな空を見ている?
俺がもっと強くなって、立派に爵位を継いだら、君を迎えに行ってもいいかな。
……「待っていてほしい」なんて、言う資格はないのかな。
あと三年、この国で勉強してタンライトに帰る予定だ。
王立動植物園の総監にならないかという話も出ている。両親はぜひ受けてほしいみたいだけれど、どうなるかな。
帰国までにたくさん薬草を収集して、いつか君の役に立ちたいと思っている。
どうか、どこかで笑っていて。
俺の先生で、愛する人。
ベリル・クロサイトより




