第1回 争奪戦:まあるい「ジャンケン」
(一肆、毎日お疲れ様。よしよし、えらい子ですね。たまにはゆっくりおやすみなさい...............................)
その日、脳内で女神様の声が聞こえたかと思ったら、俺は異空間にあるロッジのまあるいふかふかなソファに深く腰を沈めていた。
「あー、最高だ……」
生前の激務とトラウマから解放された平和な時間を噛み締めていた。
しかし、その安息は唐突に破られた。
「ご主人様のお隣は、このポメの特等席っす!」
「い、いえ、私のお祈りハグの方が、一肆さんを癒やせるはずですぅ!」
光の粒子と共に実体化したナンバー1からナンバー5までの5人の女の子たちが、俺の隣の座を巡ってわちゃわちゃと押し合いへし合いを始めたのだ。
マシュリ、シフォン、ポメ、プルル、クレア。
俺の心をまあるく溶かしてくれた恩人たちだが、5人同時に迫られると流石にソファが狭い。
「もうっ、みんな落ち着くのー! こういう時は、じゃんけんで決めるでしゅ!」
スライムのプルルがぽやーっとした声で提案すると、意外にも全員がそれに賛同した。
「望むところでございます。メイドとして、ご主人様の隣は絶対に譲りません」
「負けないっすよ! それじゃあいくっすよー! 最初はグー! じゃーんけーん……」
──ぽんっ!!
元気なポメの掛け声と共に、5人は一斉に俺の目の前へ身を乗り出した。
しかし、彼女たちが突き出したのは手ではなかった。
無意識なのか本能なのか、5人全員が自分の最強の武器である双丘を、俺の顔面めがけて一斉に突き出してきたのだ。
ぽんっ!という声と同時に、布地が限界まで引き伸ばされる衣擦れの音と、修道服やメイド服のボタンが悲鳴を上げて軋む音が重なり合う。
それと同時に、マシュリから漂う甘く香ばしい焼きたてパンの匂い、シフォンのお日様のような温かい香り、ポメの健康的な日向の匂い、プルルの清涼な水とハーブの気配、そしてクレアから漂う高貴な紅茶と薔薇の香りが、俺の鼻腔で極上に混ざり合った。
「ポメのグーっす!」
「わ、私もグーですっ!」
ポメとマシュリは、両腕を胸の下からぐっと持ち上げるようにしてアピールした。
ポメの小柄ながらも健康的なCカップと、マシュリのDカップが、弾けんばかりの上向きのハリをもって、力強いグーの意思を主張している。
「ふふっ、私のチョキの前にひれ伏すのでございます」
「ええいっ、シフォンのチョキですぅ!」
クレアとシフォンは、両腕で自らの胸を左右からギュッと中央に寄せてみせた。
修道服が悲鳴を上げるシフォンのEカップと、ボタンが今にも弾け飛びそうなクレアの規格外のGカップ。
二人の暴力的な質量がぶつかり合い、どんなものでも挟み込んで抜け出せなくするような、深く甘い谷間を形成してチョキを表現している。
「プルルは、パーなのー!」
プルルはスライムの特性を最大限に活かし、上半身の力を完全に抜いて俺にのしかかってきた。
Fカップの巨大な水風船が重力に従ってとろとろに広がり、俺の視界を優しく塞いでいく。
それはすべてを飲み込み、甘く溶かしてしまうような、包み込むような広がりを持つ最強のパーだった。
「……って、あれ? みんな手を出してないっすよ!?」
ポメが素っ頓狂な声を上げる。
手でじゃんけんをするはずが、全員が俺を癒やそうとする本能を優先させた結果、見事なまでに豊満な共演となってしまったのだ。
「もう、こうなったら一肆さんに決めてもらうしかないですぅ!」
「左様でございますね。ご主人様、誰が一番魅力的であったか、どうかお選びくださいませ」
5人の女の子たちが、上向きのハリ、深い谷間、包み込むような広がりをそれぞれ維持したまま、俺の顔を覗き込んでくる。
5種類の極上の双丘が至近距離でひしめき合い、5つの芳醇な香りが脳を激しく揺さぶる。
その圧倒的な光景を前に、統計データアナリストだった俺の、脳内データ分析プロセスが限界を超えた演算を始めた。
ポメとマシュリが提示したグーの弾力係数、クレアとシフォンが構築したチョキの挟撃圧力、そしてプルルが展開するパーの包摂面積……。
C、D、E、F、Gカップ、それぞれが異なるベクトルで極限値を叩き出しており、比較計算はもはや不可能。
三すくみの均衡が崩壊し、宇宙の真理たる癒やしが今、この一点に収束していく……!
(……ああ、なにか聞こえる)
「一肆? 一肆さん?」
俺の口から答えが出ることはなかった。
誰が一番かなんて選べるはずがない。
俺はただだらしない笑顔を浮かべ、彼女たちのまあるい暴力の前に完全に自我を溶かされ、幸せそうにノックダウンしていた。










