No.3 ポメ:元気なCカップ
「一肆さまのトゲトゲ、全部なくなってよかったですぅ……またいつでも、私を呼んでギューってさせてくださいねぇ……」
シフォンの極上のお祈りハグで完全に癒やされた俺は、彼女が光の粒子となって消える前の、そんな甘く涙ぐんだ別れの言葉の余韻に浸りながら、荒野を抜け、鬱蒼とした森へと足を踏み入れた。
しかし、そこはただの森ではなかった。
視界を埋め尽くすのは、凶悪なトゲが無数に生え揃った茨の壁だ。
尖刺の迷宮。
道は鋭角に折れ曲がり、少しでも気を抜けば服も肌も無残に引き裂かれるだろう。
俺の脳内のデータ分析プロセスが、この森の構造データをマッピングしていく。
皮膚を突き破り、肉をえぐることに特化した殺意に満ちた鋭角の集合体だ。
前世で俺を追い詰めた、あの冷酷なノルマ達成グラフの折れ線そっくりで、見ているだけで精神がすり減っていく。
安全で、心安らぐ丸いルートを開拓しなければ。
俺は天に向かって魂の呪文を叫んだ。
「出でよっ、ぱいぱいっ! ナンバー3!」
ぼよよぉん!
次元の弾力境界が突破される音が茨の森に響き渡る。
光の中から飛び出してきたのは、茶色い犬耳をピンと立てた、ショートヘアの快活な少女だった。
そして何より、動きやすい軽装から覗く小柄な体型に対して、十分すぎるほどの存在感を主張する双丘。
Cカップ。
俺の脳内データが瞬時に弾き出す。
スポーティで上向きな、若々しい弾力を感じさせる美しい半球だ。
「お呼びっすか、ご主人様! ナンバー3、斥候のポメっす! あんなトゲトゲの迷宮、ポメが全部丸くしてやるだワン!」
ポメは千切れんばかりに尻尾を振り、自ら名乗りを上げて茨の壁の前に飛び出した。
鋭利なトゲが四方から彼女を串刺しにしようと襲いかかってくるのに対し、俺はすかさずスキルを発動する。
「万物円満!」
俺の『π=314』の力が、ポメの丸いエネルギーを100倍に増幅させる。
「よーっしいっくぞー、ぐるぐるアタックだワン!」
ポメが自身の体を球体のように丸めると、増幅された圧倒的な弾力と回転力を持つ無敵の質量兵器と化した。
弾丸のような速度で突撃する彼女の体が、鋭利な茨の壁を次々と粉砕していく。
鋭く尖っていたトゲは彼女の回転に巻き込まれてすべて丸く削り取られ、ただの無害なマスカットの房のような形状へと強制的に書き換えられてしまった。
あっという間に、見晴らしの良い、美しい曲線を描く安全な道が開通する。
戦闘は一瞬で、そして快活に丸く収まったのだ。
「ご主人様! 道ができたっすよ! ポメ、すっごく頑張ったっす!」
ポメは満面の笑みで駆け戻ってくると、そのままの勢いで俺の胸に飛び込んできた。
もふもふダイブ。
ドンッ、と心地よい衝撃と共に、若々しく張りのあるCカップの双丘が俺の胸板に押し付けられる。
小柄だからこそ、俺の腕の中にすっぽりと収まるそのフィット感は、対象の心を丸くする極上の甘やかし特技だ。
「偉いぞ、ポメ。おかげで助かった。あの鋭角な茨、前世の冷酷なグラフみたいで心がすり減りそうだったんだ」
俺が彼女の背中に腕を回して抱き止めると、ポメは犬耳をピクピクと動かして俺の胸に顔を擦り寄せてきた。
「ご主人様をいじめるトゲトゲは、ポメが全部噛み砕いて丸くするっす! だから、ポメのこといっぱいいっぱい、よしよししてほしいっす!」
「ああ、すごく柔らかい耳だ。ポメの元気な声を聞いてると、嫌なことも吹き飛ぶよ」
俺がもふもふの耳を指の腹で優しく揉み込むと、彼女は目を細めて気持ちよさそうに身をよじる。
そのたびに、胸に押し当てられたCカップが形を変え、俺の体に極上の弾力を伝えてくる。
ポメの体からは、お日様の光をたっぷりと浴びた野草のような、元気で香ばしい匂いがした。
「んぅ……ご主人様の手、あったかくて最高だワン……。ポメの頭、もっと、もーっと撫でてほしいっす……」
「もちろんだ。ポメが頑張ってくれたおかげで、俺の心のトゲトゲもすっかり丸くなったからな」
「えへへっ、嬉しいっす! ご主人様の心音、すごく優しくて落ち着くっす。ポメ、このままご主人様とずっとくっついてたいワン!」
ポメは背中に回した俺の腕に、ふわふわの尻尾をバシバシと当てて喜びを表現している。
視覚、触覚、嗅覚、聴覚。
全身の全細胞が、彼女の元気いっぱいな愛情と、丸みを帯びた温もりに包まれて甘やかされていく。
俺はポメの健康的な太ももの弾力を確かめるようにそっと抱き寄せ、さらに深く彼女の温もりに沈み込んだ。
「やはり、世界は丸いほうがいい……」
もふもふの忠犬からの熱烈な愛情表現を受けながら、俺は賢者タイム気味に平和を噛み締めていた。










