No.8 シエル:極上の羽毛のCカップ
「一肆はアタシの胸の中で、どーんと大船に乗ったつもりでいればいいんだぞ! またいつでも呼べよな!……」
リッカのむぎゅっと鍛冶で完全に癒やされた俺は、彼女が光の粒子となって消える前の、そんな豪快で頼もしい別れの言葉の余韻に浸りながら、見晴らしの良い高台へと足を踏み入れた。
しかし、見上げるほど高く澄んだその空は、理のバグによって引き起こされた、無意味で鋭利な書類の嵐に支配されようとしていた。
ペーパー・ストーム。
空を埋め尽くすように、無数の鋭利な三角形の紙飛行機や、刃のように尖った始末書や稟議書が竜巻となって吹き荒れ、俺を切り刻もうと迫ってきたのだ。
俺の脳内のデータ分析プロセスが、少しでも動けばペーパーカットで全身を切り刻まれる鋭角な書類の吹雪を警告する。
前世で俺を精神的に追い詰めた、終わりのない書類作成や、飛び交う無意味なペーパーワーク、そして形式だけの謝罪のトラウマそのものだった。
あんな冷たくて薄っぺらい紙切れの嵐に、俺の自由な空を再び奪われてたまるか。
俺は空を埋め尽くす鋭利な紙の刃に向かって、魂の呪文を叫んだ。
「出でよっ、ぱいぱいっ! ナンバー8!」
ぼよよぉん!
高台の風を震わせ、次元の弾力境界が突破される音が響いた。
心地よい突風と共に現れたのは、背中に純白の美しい翼を生やし、ショートカットの空色の髪を揺らす有翼人の少女だった。
身軽な飛行服と風よけのゴーグルを身につけた彼女の胸元には、空気抵抗を極限まで減らしたスポーティな形でありながら、羽毛のように極上の柔らかさを秘めたふくらみがある。
Cカップ。
俺の脳内データが瞬時に弾き出す。
決して大きすぎず、空を舞うための無駄のない流線型でありながら、包み込まれるような母性を感じさせる奇跡の双丘だ。
「お呼びだね! ナンバー8、空の運び屋シエルさ! あんな紙切れのトゲトゲ、アタシの風でまあるく吹き飛ばしてあげるよ!」
シエルはフランクに自ら名乗りを上げ、俺を切り刻もうとする鋭利な書類の嵐の前に飛び立った。
無数の鋭角な紙飛行機が空から襲いかかってくる中、俺はすかさずスキルを発動する。
「万物円満!」
俺の『π=314』の力が、シエルの丸いエネルギーを百倍に増幅させる。
「いっくよー!トルネード・フェザー!」
シエルが純白の翼を大きく羽ばたかせると、百倍に増幅されたまあるい竜巻が巻き起こった。
その巨大な風の渦は、迫り来る鋭利な書類たちを次々と巻き込み、あっという間に粉砕していく。
鋭角だった紙の刃は風の力で一箇所に圧縮され、空中に浮かぶ巨大でフワフワな、球状の無重力風船、すなわち上昇気流の繭へと姿を変えた。
戦闘は一瞬で、そして空を舞う有翼人の風の魔法によって、ふんわりと丸く収まったのだ。
「あははっ! チクチクした紙切れも、フワフワのまあるいお家になったね! さあ一肆、あんな書類の山に囲まれて、さぞ息が詰まっただろう? こっちにおいでよ!」
シエルは空中に浮かぶ丸い風の繭の中に俺を引き込み、地上から完全に切り離した。
つつみこむ翼。
それはただの空中浮遊ではない、球状の風の繭の中で、Cカップのスポーティな胸と純白の翼で対象を丸く包み込み、外界の重力やしがらみを完全に遮断しながら、鳥が番にするような優しい毛づくろいで究極の癒やしを与える特技だ。
「あの鋭い書類の嵐を見たら……前世で終わりのない書類作成や、意味のない始末書に追われて、がんじがらめにされていた記憶が蘇ってきて、息ができなくなりそうだったんだ」
俺が無重力の心地よさに体を預けながら吐露すると、シエルは俺の髪を愛おしそうに梳きながら、カラカラと明るく笑い飛ばした。
「紙切れのルールなんて、空の上じゃなんの意味もないさ! そんなの、地べたを這いつくばってる連中のちっぽけな悩みだよね!」
彼女の自由奔放で風通しの良い声が、繭の中を優しく響き渡る。
「あんな薄っぺらい紙切れで一肆を縛ろうとするなんて、滑稽すぎるよ。一肆はもう、あんな狭い地面のルールなんて気にしなくていいんだからね!」
「シエル……。そっか、俺はずっと、地上に縛り付けられた無意味な紙切れに怯えていただけだったんだな……」
「そうさ! だから今は、アタシの羽根とこの胸の中で、まあるくフワフワ浮いていればいいんだよ。ほら、耳の裏も綺麗にしてあげる」
シエルは飛行服の胸元を開き、Cカップの極上の羽毛のような双丘を俺の頬にぴったりと押し当てた。
そして、彼女の温かく滑らかな指先が俺の耳元を優しく撫で、鳥の毛づくろいのように丁寧に、そして甘く触れてくる。
「んっ……シエルの指と……翼が、すごく温かい……」
「アタシの羽毛とこの丸みで……一肆の頭の中の硬い考え、全部まあるく溶かしてあげるからね……」
自由な空を舞う有翼人のスポーティな胸元と、外界を完全に遮断する純白の翼の感触。
そして何より、地上のしがらみを滑稽な遊びと笑い飛ばしてくれた彼女の言葉が、俺の心に刺さっていた書類の重圧を完全に吹き飛ばしてくれた。
「シエルの胸と……この無重力……最高すぎて、もう地上のルールなんてどうでもよくなってきた……」
「あははっ、いい顔になったね! 一肆はずっと、アタシの腕の中でまあるく堕落していればいいんだよ……」
「やはり、世界は丸いほうがいい……」
空の運び屋が与えてくれる絶対的な自由と、Cカップの極上の羽毛による毛づくろいに完全に自我を溶かされながら、俺は賢者タイム気味に平和を噛み締めていた。










