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あなたの初夢

作者: 天園風太郎
掲載日:2026/01/01

今回のお話は、『黎明の魔王』や『デスタウン』とは無関係です。

不思議なお話と思って読んでいただけると嬉しいです。

 藤矢魔ユウトは憂鬱だった。

 縁起の良い初夢は見られず、親の借金を返すための手伝いでゆっくり過ごすこともできず、気づけば年始はあっという間に終わってしまった。

 今日から、また学校である。

 良い夢を見られないまま登校することになるなんて。


 「畜生!!」


 藤矢魔は苛立ちながら、親友の弍鷹コウタの家に迎えに行った。

 インターホンを鳴らして、彼は言った。


 「おーい。コウタ。学校行こうぜ!」


 しかし、返事はない。

 藤矢魔は、ハッとした。


 (やべえ。苛立ってるの伝わっちゃったか?)


 彼は深呼吸して落ち着くと、またインターホンを鳴らした。


 「コウタ。学校行こうぜ。初夢の話でもしながらさ」

 『・・・・・・ユウト、俺行けない』


 今度は返事があった。

 だが、行けないとはどういう意味だろう?


 「具合でも悪いのか?」

 『違う。だ、だけど!』

 「なら、何なんだ!?不良先生にまたネチネチ言われるぞ。あー、もう!中に入るぞ!良いか!?」


 また苛立ってしまう藤矢魔。

 すると、今度は弍鷹の母親が答えた。


 『ユウト君、入って』

 『母さん、ダメだ!』

 『ユウト君、お願い。入って、コウタの話を聴いてあげて』


 藤矢魔はうなずいた。


 「わかりました」


 弍鷹の家に入ると、藤矢魔は驚きの声を上げた。

 玄関も、廊下も、お札がびっしり貼られていたのだ。


 「お、お邪魔します」


 藤矢魔は挨拶して靴を脱いだが、弍鷹の母親は見当たらない。

 弍鷹本人も玄関にいない。

 2階の部屋に行ってしまったのだろうか?

 藤矢魔は階段を上り、弍鷹の部屋の前に立って、ノックした。


 トントンッ。


 「コウタ、いるんだろ?学校行こうぜ!」

 「ユウト、何で入った?」

 「何でって、お前のお母さんが入れてくれたんだろ?」

 「もう終わりだ・・・・・・!もう終わりなんだよ!」

 「わかるように言ってくれよ!何なんだ!?」

 「・・・・・・わかった。お前には話す。あの夢のことを」


 弍鷹は話し始めた。

 彼が見たという恐ろしい初夢について。





 弍鷹は夢の中で、自分の部屋にいた。

 彼の部屋には天窓がついているのだが、ふと上を見ると、その天窓から恐ろしい怪物が覗いていた。

 漆黒の肌。赤い目。爬虫類の頭と人間の体がくっついている。

 そんな怪物が、笑いながらヨダレを垂らして弍鷹を見つめていたのだ。

 弍鷹は怖くなり、家から逃げ出した。

 しかし、怪物は素早く、弍鷹を追ってくる。

 弍鷹は近くのショッピングモールへ逃げ込んだ。

 だが、そこには警備員どころか、客もいない。

 弍鷹は本屋の本棚に隠れ、やり過ごそうとした。

 しばらくして、怪物も窓ガラスを割って侵入してきた。

 怪物は店を回って、弍鷹を探した。

 弍鷹は息を殺して、耐えた。

 怪物はついに弍鷹がいる本屋に来た。

 弍鷹は奴が出ていくのを待った。


 何時間か経ち、弍鷹はこっそり本棚から周りを見渡した。

 怪物はいなくなっていた。

 弍鷹は胸をなで下ろしたが、その次の瞬間、彼の頭に粘ついたものが落ちてきた。

 弍鷹が恐る恐る見上げると、本棚の上にあいつがいた。

 天窓から見せていたような不気味な笑顔だった。





 弍鷹が話し終えると、藤矢魔は首をかしげた。


 「その初夢がどうしたんだ?そりゃ、気の毒だけどさ」

 「目が覚めた後も、あいつに見られてる感じがするんだ。時々枕も粘ついてるし。それで怖くなって、神社に相談に行ったら、やばいことを言われたんだ」

 「やばいこと?」

 「・・・・・・俺は、神様に好かれたんだって。人間が大好物の神様に。ごめんな、ユウト。巻き込んじまった」

 「は?」


 藤矢魔は弍鷹の話の意味がわからなかった。

 しかし、彼にまた質問しようとしたその時、突然右頬を誰かに舐められた。


 ベチョリ。


 舐められた右頬は粘ついていて、気持ち悪かった。

初夢の内容は、一部自分が実際に見た夢を参考にしました。

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