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山育ちの逸般人、無法の探索者学園で成り上がる  作者: 海月 くらげ@書籍色々発売中


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第14話 二人目の仲間

「というわけで、今日から一緒にダンジョン探索をする仲間になった那奈敷(ななしき)來華(らいか)だ」

「仲間でありお嫁さんよ、旦那様?」


 那奈敷との決闘に勝った後。

 俺の腕に容赦なく組み付いてくる那奈敷と、それを呆れた目で見ていたシュナリアと共に寮の部屋へ帰っていた。

 そしてダンジョン探索の仲間が増えたと報告していたのだが――


「旦那様でもなんでもいいが、來華は俺たちの仲間だ」

「もちろんよ。だって、あたしたちは家族なんだもの」

「家族って……決闘に負けたにもかかわらず、無理やり淵神さんの嫁気取りってどういうことですか、那奈敷さん」


 どことなく敵意を滲ませたシュナリアの視線が那奈敷へ。

 那奈敷はどこ吹く風と流すばかりに微笑む。


「クラウノート嬢はご不満? まあでも、そうよね。あなたが先に見つけていた男だもの。大丈夫よ、独占欲とかはないから。順序もあなたが一番でいい。あたしは二番目。それでどう?」

「一番とか二番とかそういう話ではなくて。……いきなりお嫁さんって意味が分かりません。そういうのはもっと順序を踏んでから――」

「踏んだじゃない。熱烈で濃厚な一時を」

「言い方がねっとりしてますねっ!?」

「どこが? クラウノート嬢はむっつりさんなの?」

「むっつりじゃ……ない、ですけどっ! あと、クラウノート嬢ではなく、シュナリアで構いません。……淵神さんが仲間だと呼ぶなら、私とも仲間、ですから」

「なるほど、可愛いわね。今後はシュナと呼ばせてもらうわ」

「いきなり距離感が近く……っ!?」


 やいのやいのと言い合う二人は仲良さげ。

 二人も上手くやれそうで何よりだ。


 シュナリアも顔を赤くして照れている。

 那奈敷の好意に裏表がないのが伝わっているのだろう。

 素直に感情を伝えられるのはいいことだ。


「……こほんっ! 経緯はともかく、私も仲間が増えるのは望ましいと思っています。『第零』は力こそ全ての世界ですから。ですが、那奈敷さんは本当にいいんですか?」

「あたしも來華でいいわ。シュナの問いに答えると、あたしは旦那様が望むようにするつもりよ。怪しむなら今すぐにでも身体を差し出すけど……旦那様はどうする?」

「とりあえず後にしてくれ。ともかく、俺たちは仲間になった。これは素晴らしいことだ。学園生活もいっそう楽しくなるだろう」

「ねえ、シュナ。旦那様って常識に囚われない系?」

「型破りではなく形無し系です」

「なるほどね。ま、それでもいいけれど。旦那様は旦那様だから。こんなに心も体も強い男はそういないわ」

「鍛錬の賜物だな」


 心技体、どれが欠けても一流の戦士にはなり得ない。

 昔は鍛錬の傍らで精神統一をさせられたものだ。


 それにしても那奈敷は強かった。

 魔剣士と手合わせしたのは初めてだったが、あそこまで厄介とは。

 なんとか捌き切ったものの、余裕とは言い難い。

 その那奈敷が仲間になってくれるとあれば、これほど心強いことはないだろう。


「旦那様、一つ聞きたいのだけれど」

「なんだ?」

「あたしも旦那様の部屋で過ごしていいの?」

「もちろん。シュナリアも一緒だからな。パーティーで動くなら固まっていた方がやりやすい」

「私も賛成です。……仲間、ですから」

「そう言ってくれて嬉しいわ。『第零』の風紀のなさに感謝ね。年頃の男女が同じ部屋で過ごしていても何も言わない。それどころか敷地内の至る所で男女が淫行に耽っているんだもの。それなら……部屋でそういうことをするのはなんら不自然ではないと思うの。そうでしょう、シュナ?」

「……どうして私に聞いたんですか」

「したんじゃないの? 隠さなくてもいいじゃない」

「普通隠しますからね!?」

「まあ、したな。今朝も」

「淵神さんまで!?」

「どうせ後でそうなるんだ。それが普通なんだろう?」


 普通だからな、仕方ない。

 シュナリアは俺を渋い顔で睨みながら「やっぱり淵神さんは性獣です」とか不名誉なことを言っているが、年頃の男なんてこんなものだろう。

 爺も据え膳食わぬは男の恥と言っていたし。

 それにしても昨日は盛り過ぎか?

 媚薬の効果と、シュナリアが魅力的だったから仕方ないな。


「それで旦那様、今日の予定は? 午後は決闘で時間が潰れちゃったけど」

「今からダンジョンに潜っても中途半端になりそうですし、かといってお部屋でだらだらすつのは」

「それなら敷地内を案内してくれないか。まだ校舎と寮とダンジョンくらいしか見て回れていないんだ」

「つまりデートね? 望むところよ」

「どこがデートなんですか。私もいるんですけど」

「男一人に女が二人ならハーレムデート?」

「まずデートから離れてください」

「放課後デートは学生なら普通にすることよ?」

「普通なら問題ないな」

「……來華さん、淵神さんの扱いを覚えましたね?」

「なんのことかしら」


『第零』の敷地は相当広いみたいだからな。

 一人だと道を覚えるまで迷子になりそうだ。

 だから二人が案内してくれるならありがたい。

 なにより仲間と過ごす放課後という甘美な響きには抗えない。


 青春は学園生活につきものだ。


「武器とか防具も売ってるんだろうか」

「売っているし、素材を持っていけば一から作ってくれる工房もあるわ」

「生活必需品や食材なんかを売っているお店の方が多いですけど」

「服も欲しいわね。制服と運動着だけじゃあ味気ないし。夜もセクシーな格好の方が旦那様も燃えるでしょう?」

「そうだな」

「淵神さん……?」

「ああいや、すまない。着衣も全裸もそれぞれの魅力があると俺は思う。昨日はシュナリアの身体に見蕩れてしまったからな」

「淵神さんっ!?」

「シュナも清楚な雰囲気を出しておいて旦那様を魅了してるじゃない。だったら今日は着衣も試してみる? 制服プレイもいいと思うの。学生らしくて、ね?」

「來華までっ!? このパーティーにストッパーは存在しないんですかっ!? 私にこれを止めろと!? 無理ですよ無理! 一夜にして風紀が乱れる……っ!」

「爛れた生活もいいじゃない。あ、性活かしら?」


 夜は寝かさないぞ、とか言ってみてもいいんだろうか。

 爺曰く、人生で一度は言ってみたいセリフらしいからな。

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