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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。
この連載作品は未完結のまま約3ヶ月以上の間、更新されていません。

奴隷を売らない奴隷商

作者:黒澤 硝子
ゾンビウイルスの保菌者、実験体001。
名前も付けられず、性別を奪われ、人としての最低限の尊厳さえ奪われた幼子『︎︎︎︎︎︎︎︎』は、ある日その研究所から逃げ出した。

それは記憶も曖昧な両親の元に帰るためでも、自分を実験体として切り刻んだ研究者達に対して復讐するためでもない。
自分を利用した暴力によって、自分が愛した家族を傷つけさせないため、つまりはひとえに愛のため。

替えのきかない彼自身と、人から怪物へと変えられてしまった実験体達による集団自殺。

計画は成功した。

世界を壊す怪物は世に放たれるより先に自死を選び、元凶たる幼子自身もきれいさっぱり海の藻屑となった。

世界の滅びは夢幻と消え、世は全てこともなし。

チャンチャン

と、綺麗に終わった彼の物語に待ったを掛けたのは意外にも死と殺戮を司る一柱の女神だった。

女神は言う。

『どんな願いでも叶えてやろう』

尊厳を奪われ、命乞いを無視され、悲鳴を嘲笑される事が彼の人生の全てであったなら、そこはつまり彼女の司る領域だ。

もしも、彼がただの一言でも呪いの言葉を吐けば、女神は躊躇しない。たとえそれが世界の広さを知らぬ無垢な子供の願いでも、女神の権能は容赦なく三千世界を焼き払うはらうだろう。

歴史上、多くの者が望みながらもついぞ出会うことのなかった後期の前に、しかし幼子が口に出したのはたった一言。

『何を願えばいいのかわかんない……』

人として在るための最低限さえ奪われた幼子には叶えるべき願いも、星に願うような夢もなかった。

故に、

故に、これは願いを叶えるための物語では無い。
夢を叶えるための物語でも、ましてや過去を精算するための物語でもない。

これはかつて少年であった幼子が、女神の愛娘として夢を探す旅。あるいは行くべき場所のない少女が自らの在処を決める始まりの物語。

不幸で不憫で、不快で不愉快な鬱物語の後に続く後日談。

ある1人の幼子が辿った結末の後、世界を救った幼子のその後の物語。

女神によって『アヤノ』と名付けられた少女が異世界で紡ぐ幸福と成長の物語である。







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