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黄泉の力は蜜の味  作者: ゆくりぷ
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開花編③

ああ、終わった。手が鋭くこちらに向かって伸びてくる。色々な思い出が駆けめぐる。そうか。これが走馬灯ってやつか。短い人生だったな。特になんもしてこなかった。彼女だって出来てないし、まだ旅行だってちょっとしか行ってないし。ああ、もう行けないのか。俺はそっと目を閉じた。

 その時、目まぐるしく変わる走馬灯の中に、パッとある風景が脳の中で映し出されゆっくりと流れる。それは、俺がまだ3歳の頃、もう顔もほぼ覚えていない、おじいちゃんとの思い出だった。

「護や。お前もいつか運命を知る時がくるじゃろう。人間誰しも変化が訪れる時が来るんじゃ。それは護にとって大変苦しいものじゃろう。そんな時に、いいおまじないがあるんじゃ。苦しくて、困ってどうしようもない時には使ってみるといい。そのおまじないはー」

頭の中でおじいちゃんの言葉が発せられる。そんなことも言っていたな。

 気がつくと藁にもすがる思いからか、そっとそのおまじないを口に出していた。

      いかづちのおほかみ

「黄昏より宿りし火雷大神よ。我に力をば与へ給へ」

その瞬間、パンッとそいつの手がすさまじく弾かれる。

「うぉ…お…のおォぉォおオオおぉお!!!」

 今度は両手から触手が伸びてき、さらには口からもその触手らしきものが伸びてくる。

 すると突然、ぶちっと何かが破れる音がする。気がつくと、お守りが目の前に浮いて青く静かに燃えている。そして外の袋が破れていった。中には、たたみ込まれたお札が入っていた。そのお札が広がり、突如正面に青いオーラをまとった盾のように結界を張る。真ん中には大きく「火」と書いてあり、そのまわりには若、黒、鳴、折、土、伏、大、土が書いてある。

 そいつの触手が結界の盾にあたる、しかし驚くほどに結界は微動だにせず触手はあたったところが灰と化していた。

 突然頭がかち割れるような痛みに襲われる。

「ぁああ…」

あまりの痛みに悶える。頭の中で何かが響くように、がーんがーんと音が鳴る。そして頭の中である言葉が鳴り響く。それは呪文なのだろうか。まるで唱えろと言わんばかりにずっと響き続ける。気がつくと、俺は口に出していた。

「恐れ多き火雷神よ。落ちて周りを燃えつくし賜わらん。」

その瞬間、結界が紅く輝きを放つ。そしてその中央から激しく力強い稲妻がそいつにめがけて飛び出す。

「ぐはぁ…あ…ア…」

気がつくとそいつはもういなかった。いや正確にはただの火だるまとなっていた。稲妻によって体は燃えていったのだろう。灰となってパラパラっと散った。。

 俺は意識を失いその場に倒れた。

 


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