ジャーマンポテト
第六十章~ドイツ料理店顔負けの見栄えの巻
三十分ほどが経過しただろうか。露草氏が大振りの皿を持って戻ってきた。
「間に合わせやけど、まあ食べえや」
皿には大盛りのジャーマンポテトが乗っていた。ファミレス、いや、ドイツ料理店顔負けの見栄えだった。
「うわ! 凄いですね!」
僕は思わず口に出した。
対する大道少尉は、
「どれ、このウィンナーを一口……ん! 美味であるぞ! でかした露草よ!」
「せやから、ありものを切って湯がいて炒めて盛り付けただけやて。まあ旨いんやったらなによりやわ」
にんにくがほのかに効いたベーコンがまた旨い。僕と大道少尉は夢中になってジャーマンポテトと格闘する。
大盛りだったが、大道少尉の勢いはそこいらのフードファイター顔負けなので、皿は五分とかからずで空になった。
「ごちそうさま――」
「露草よ! ビールはあるか?」
全く、この人には遠慮という言葉がない。対して露草氏。
「バドやったらうちのが冷えとる、ああ、だんなのウィスキーもあるけど、どないする?」
ふふふ、となにやら不気味な笑いは大道少尉から。
「私立探偵と言えばバーボンかウィスキーと相場が決まっておる。ウィスキーを貰おう」
「たしかこの棚に……あったわ。オールド・グランダッドとか言う銘柄やけど、ええな?」
「む、よ、良かろう。ストレートで貰おう」
「アホ言うなや。これ、冷たい水で割るウィスキーやてダンナが言うてたわ。そうするで?」
「……任せる」
私立探偵がバーボンだかウィスキーだかは小説の中の話だろうに、と思った僕は、そうとは言わず『フォートギルド』を再開する。
残念ながらケンタ氏とやらのスコアは遥か上で、とても無課金では届かないものだったが、それでもいい調子でゲームを進める僕であった。
「げふげふ!」
大道少尉の咳が聞こえるが、敢{あ}えて無視した。
どうせオールド・グランダッドとやらでむせているのだろうから。




