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苦手な方はご注意ください。

今宵、ドーナツにハチミツとシナモンかけて

作者: コバトケイ

「悪いけど、今日はもう帰って。」


どこまでも冷たく、抑揚を伴わない涼真の声が部屋の空気を切り裂いた。


「え、え、どうして…?」


1ミリの悪気もなく、ただいつも通り会話を交わしていたつもりの素直は凍りつく。

驚いて大きく見開いた目からは、今にも涙がこぼれ落ちそうだ。


「今日はもう話したくない。帰って。」


固まったまま動かない素直に苛立ちを滲ませた涼真は諦めたようにため息をひとつ吐くと、無言で立ち上がった。

食べ終わったあとの食器を流しへ下げ、振り向きもせず浴室の方へと歩き出す。


「待って下さいっ、先輩っ!!」


慌てて立ち上がった素直は涼真の背中めがけ、力の限り抱きついた。







涼真の住む『オリーブハイツ』に素直が入り浸るようになって、半年ほど。


最寄り駅からアパートまでの道すがらにある、すっかり顔なじみになった八百屋で今日も野菜を買い、店主におまけしてもらったバナナでずっしりと重くなった買い物袋を下げて、晩ご飯を作る手順を頭の中で並べながら、素直はアパートまでの道のりを歩く。


やがて角を曲がってすぐ、オリーブ色の外壁に濃い茶色の屋根、側壁に『オリーブハイツ』というプレートがついた3階建てアパートが見えてくる。


外階段を上っていき、一番奥の部屋の前に着くと、慣れた手つきで合鍵を使って入った。


玄関を入って左手に、作り付けの小さなシューズボックスがある。

素直は靴を脱ぎながら、毎回その上に合鍵を置くことにしていた。

一度どこに鍵を置いたか分からなくなったことがあり、涼真を巻き込んで大騒ぎで探したことがあったからだ。

ここに置いておけば、帰りにそのまま持って出ればいい。


脱いだ靴の向きを直して端に寄せると、まだワックスの利いている床を、トテトテと足音をさせながらキッチンへと向かった。


今日はミートソーススパゲティとポテトサラダを作る予定の素直は、手を洗ったあと冷蔵庫をのぞき込む。

昨日のうちに涼真へ、冷凍庫から冷蔵庫へ移動させておいてと頼んでいた合い挽き肉が約束通り入っているのを確認したあと、ドアポケットから麦茶のボトルを取り出し、コップに注いでひと息で飲み、盛大にぷはぁと息を吐く。


流しにコップを置き、おもむろに涼真の部屋へ行くとベッドにスライディング。

数秒後。


「……ぶわぁっ!部屋、暑ぅーーいっ!」


慌ててベッドから跳ね起き、エアコンをつけた。


そうしてまた涼真のベッドへ戻ると仰向けに寝転がり、ベッドの外へ投げ出した足をぶらぶらさせながら天井を見つめる。


部屋も涼しくなり、ベッドで涼真成分を補充完了!とばかりにようやく起き上がった素直は、制服のシャツを脱いでTシャツになった上からエプロンを着けた。


「ご飯作り開始、まずはポテトサラダ~♪」

素直は楽しげにじゃがいもを買い物袋から取り出し、シンクへごろごろと転がした。




その日の昼休みのこと。


担任に呼び出されていた素直が疲れた様子で教室へ戻ってきた姿に気づき、いつも一緒に昼食を食べる野村が片手を上げた。


「おー、やっと戻ってきた。昼メシ一緒に食おうと思って待ってたぜ。……って、あれ、メシは?」


「あー…話が長引いて〜…。購買行ったらもう何も残ってなかった〜」


「マジかぁ。担任もタイミング考えろよなー。ただでさえ早川は購買の戦が苦手なのに」


「並んで順番に買えたらいいんだけどね。早い者勝ちみたいなの、どうしてもダメで」


「だよな~。……あ!良かったら俺の部活前メシ、食うか?朝コンビニで買ってきたカツサンドで良ければだけど」


「えっ、ダメだよ、部活で体力使うんだからしっかり食べておかないと。僕帰宅部だし、1食くらい食べなくても平気だよ」


「いいっていいって。遠慮すんな」


「うぅー………じゃ、じゃあ…」


空腹の目の前にカツサンドを置かれては、誘惑に勝てるはずもない。素直はちょっと迷ったものの、結局有り難くいただくことにした。


「あと、カツサンド食う時はさ、オレンジジュースがオススメ」


「えっ、そうなの?合わなそうな気がするけど…」


「それが意外に合うんだよな~。ちょっと待ってろ、買ってくる」


そういうと野村は素直の返事も待たず一目散に教室を出て行き、オレンジジュースを手にあっという間に戻ってきた。


「野村くん、早い……」


「ま、俺の脚力をもってすれば、教室と自販機の往復くらい、こんなもんだよ」


自分の分と2本、買ってきたオレンジジュースを机にポンと置いてドヤ顔をしてみせる。


「あはは…ありがとう。えっと、オレンジジュースっていくらだったっけ」


「俺のオススメだから、おごりでいいよ」


「えー、カツサンドもらってジュースまで、さすがに悪いよー」


「じゃあ今度何か飲みたくなったら言うから、その時おごってよ」


「分かった。じゃあ今回はおごってもらうね」





「……ってことがあってね。野村くんの言う通り、カツサンドとオレンジジュースって意外な組み合わせだったけど、アリでびっくりしたんだよー」


「………オレといる時より楽しそうだな、ナオ。」


途中から俯き加減に話を聞いていた涼真に気づかず、無邪気に話し続けていた素直はその声の冷たさに思わず震え上がった。



「?!……っ!!そんなっ、先輩といる方が何百倍も楽しいですよ!」


「…いいんだ、ナオの人生だからな。誰といたいかは、ナオが決めていいんだ」


「先輩といたいです!ごめんなさい、僕がまた何も考え無しに話したからっ」


「いや。オレといるより、そいつといる時間の方が長いもんな」


「ちが…っ、あー…うん、そうかもしれない、ですけど!でもっ…!」


「ホント、ナオが楽しいと思う方を選んで。オレに気ぃ遣わなくていいから」


「イヤです、僕は先輩といたいんです!そんなこと言わないでください!」


「今日は疲れてるし勉強会は無しで。もうシャワー浴びて寝るから、帰ってくれる?」


「待ってください!僕まだ先輩と一緒にいたいです!」



「………ごめん、オレが一緒にいたくない。今日はもう帰って。」



泣きながら背中に取りすがった素直に構わず、バッグを持たせて玄関まで追い立てる。

無言で外廊下へと押し出し、断ち切るようにドアを閉め、すぐにロックした。




「…クソッ、なんなんだよもう!」


追い出した勢いのままバスルーム前まで戻った涼真は、乱暴に脱いだ服を洗濯かごに叩きつけるように投げ込んだ。


疲れていたのは事実だった。

暑さのせいで眠れず、土日の疲れが取れないまま今日月曜日、バイト先でいつもならやらないような凡ミスを連発した涼真は、帰りに店長から怒られていた。


しばらく頭からシャワーを浴び続けていると、やっと少し気持ちが落ち着いてきた。


「あー…オレはナオに愚痴聞いて欲しかったのか……」


苛立ちの原因に行き着いて冷静になるにつれ、後悔の気持ちがどんどん膨れ上がる。


「今まで愚痴る相手がいなかったから、ナオに甘える気満々になってたんだろうなぁ。和にぃに愚痴ろうもんなら、『仕事ナメんな、未成年。』の一言でバッサリだったし……」


はーーーーーっ……深いため息を吐く。


「一緒にいたくないだなんて、さすがに言い過ぎた……ナオじゃなくても、泣くよなぁ…」


晩ご飯を作って待ってくれていた素直を、くだらない八つ当たりで追い出してしまった。

自己嫌悪で胸に苦いものが広がっていく。


「サイテーだ……」


涼真は唇を噛みしめた。







翌日、火曜日。

今日はお目当てのカスタードとホイップクリームがWで入っている大きなクリームパンが買えたらしく、素直は袋をバカがつくほど丁寧に開封してから一口、はむりと嬉しそうにかぶりつく。


「そういえば、野村くんって、下の名前なんていうの?」


「……ただなお。松平忠直とおんなじ字。ってか、俺たち同じクラスでもう3年目だぞ。今さら聞かれるとは思わんかったわ。ショックー」


「えへへ、ごめん~。……ん?素直と忠直って、同じ ”直” 同士じゃない?僕たち」


「おぉ、確かにな。」


そんなん、入学当初から気づいてたっつーの。忠直は心の中で盛大に白目を剥いた。

ただ、このチャンスは利用価値大だ。時には大胆な勢いも必要、と。


「……じゃあ早川のこと、今度から素直って呼ぶわ」


どんな反応をするのか見たい。ナチュラルを装って忠直は提案した。


「んじゃあ、僕も野村くんのこと、ただなおくんって呼ぶよ~」


あーやっぱり。言葉の裏など考えない、こういうところが一緒にいて心地いいんだよな。


忠直はフッと笑うと、コーヒー牛乳の紙パックを持ち上げた。

すぐに意図を読んだ素直も飲んでいたヨーグルト風味の紙パックを持ち、コツンとぶつけ合って乾杯のまねごとをする。


『おーい、野村と早川、またイチャついてんのか~』

すぐ斜め後ろで昼食を食べていたグループがそれを見て声をかけた。


「そんなんじゃないよ~」素直が困ったような笑顔で言い返した。


『素直ちゃん、かわいいもんな~』

『野村は空手部なんだから、ヒョロっこい素直ちゃん、守ってやれよ~』

なおも楽しげにからかう声が飛ぶ。


「やめとけー。素直が困ってんじゃん」

邪魔をされたようで忠直はムッとして立ち上がりかけた。


「そうだよ、困る。だって僕、好きな人いるし」


「「『えっ!!!!!』」」


その場の全員が固まった。


「お、おい……そのっ…好きなやつ……誰………」


キーンコーンカーンコーン………


忠直が言いかけた言葉は予鈴にかき消され、素直の耳に届くことは無かった。


「あ、予鈴~。そうだ、ただなおくん。次の教科で出てた宿題、答え合わせしない?」


「……お、ぉぅ……そうだな、やっとくか…」


力なくストンと椅子に腰を落とした忠直は次の授業の教科書を取り出すも、思考は遙か彼方に飛んでいた。


恋愛から一番遠そうな素直が、好きな人いる宣言……?

まさかおかしなヤツに騙されてるとかじゃないよな?


これは心配なだけなのか、ショックなのか、意外でただビックリしてるだけなのか…。


いつもは寝ているはずの授業中もまるで寝付けず、ぼんやりと頬杖をついてやり過ごした。





「俺、バカだなー……」

部活から帰宅した格好のまま自室のベッドに倒れ込み、忠直はため息とともにつぶやいた。


好きなやつが誰かなんて、めちゃくちゃな愚問だよなぁ。


だって、からかわれたら困るって言ったんだぜ、素直は。

その時点で好きなやつが俺じゃない他の誰かって、確定してるじゃん……。


俺の声が予鈴にかき消されてくれて本当に良かった。


名前で呼び合う提案にノってきたのは、素直の天然が発動しただけで、特に深い意味は無かったんだなぁ……


がっかりしている自分に気づき、ガバっと身体を起こす。


「あれ…これ、俺……素直のこと…好き、なのか……?」


急に見たこともない場所へ足を踏み入れて、口にするのも憚られるような言葉を突然口走ってしまったかのような恥ずかしさにひとり混乱して、忠直は赤面しながら慌てて口を押さえた。


でもそう思えば、全部腑に落ちる。


高校入学の時から同じクラスで、3年になっても特進クラスで結局3年目……いつも近くにいるのが当たり前で、特に友達になろうとかってやり取りもなく今まで一緒にいたけど。


確かに素直はなんか危なっかしくて、放っておけない存在だという認識はある。

……でもそれって、そういう風に思っただけで、好きだって部類に入るのか?


まぁ……友達とは違う…ような気はする。

なんだろ、友達より、もっと踏み込んだ……ああ、もっと素直のこと知りたい、が正解か。


よくよく考えたら、素直のこと何も知らないな。


…てか、自分の話ってしないよなー、素直は。

だから今回の“好きな人いる宣言”は、素直らしくない感じがして、余計に驚いたんだろうな。


「そっか……まぁ、気づいちまったんなら、仕方ねぇ。」


またベッドへ倒れ込んだ。


空手を極めたくて入った男子校生活で、まさかこの俺が男を好きになっちまうとか……。


いや、これ男女関係ねぇわ。


天井につぶやく。


「 “素直が” 、好きなんだわ、俺。」







「ここのところ、ただなおくん、ちゃんと授業聞いてるねー」


翌日、水曜日の昼ご飯は、出遅れたのか近寄れなかったのか、購買で最後まで残る梅のおにぎりを一口かじってもぐもぐしながら、素直は訊いてきた。


「えっ!…あ、あー……うん、そうだな。…ちょっと寝られなくて…」


お前のせいだぞと思いながら、忠直はごにょごにょと言い訳をつぶやいた。


「おかげで黒板が見えにくくなったなー、って」愉しそうに素直が笑う。


クッソー、かわいい顔して笑ってくれるじゃねーか……。

意識してなかった時はただの笑った顔としか認識してなかったのに。


こんな小さなことで心がトンッと跳ね上がってしまうのを悟られまいと、空を見る振りをして窓の外へ視線を逸らす。


“好きな人の件”は蒸し返すまいと思っていたが、そんな素直を見てしまうと訊かずにおれない気持ちになり、忠直は飲んでいたコーヒー牛乳のストローから口を離したところで思わず言葉を発してしまった。


「なぁ……素直さん?」


「あはは、なーに?ただなおくん」


「そのー……好きなやつがいるって言ってたじゃんよ」


「ああ、うん」


「それって、この学校のやつ?」


「違うよー。バイト先で知り合った人。すごく仕事ができて、頼りがいあるんだー。あ、前に昼食で毎日パン持ってきて食べてた時あったでしょ?あのパン焼いてくれてたの、その人なんだ。なんでもできるすごい人なんだよー」


「でも、ここ半年以上ずっと、昼メシ購買じゃん」


「あー…それは、色々あって……」

素直はちょっと困った顔になって言葉を濁す。


「なに、ケンカでもした?」

そうなら良いのにと、忠直は密かに期待する。


「……うん、ケンカは…したよ」


「じゃあもう会ってないんだ」


「ううん、週に3日、部屋に行ってる」


「……部屋…。」


「うん。ひとり暮らしして、毎日遅くまでバイトしてる人なんだ。なかなかテスト勉強する時間が作れないから、一緒に勉強してほしいって言われて。だから僕が月・水・金曜に部屋でご飯作って帰りを待ってるんだ」


「ん?バイト先で会ったって言ってたから大学生か社会人かと思ってたけど、高校生?」


相変わらず要領を得ない素直との会話に、忠直の思考は迷路へ踏み入りそうになる。


「うん、高校生。……ああそうだ、会ってみる?」


「ふぁっ?!な、なんで俺がっ…!」


「ん?だって、気になるんでしょう?会った方が早くない?ただなおくんが良いなら紹介するよ?」


おいおいっ!好きな人の好きなヤツなんて会いたいわけねぇだろ!素直、天然すぎーっ!


とうとう忠直は頭を抱えてしまった。


だが、いや待てよ、と思い直す。

会ってみれば、『なんだこんなやつか、俺の勝ちだな』と思うか、完膚なきまでにふたりへ分け入る隙の無さを思い知るか…なにがしかの答えは、出る。


全くの他力本願だが、今はそれでいいような気がして忠直は腹を決めた。


「よし、素直がそこまで言うなら、会ってやる」


「うん、じゃあ都合聞いてみるね。僕も先輩に話があるし」素直はスマホを取り出した。


「ん?先輩…?って、年上なのか?それとも留年…?」


「…ううん、同い年」


「なんだそれ……ホント、わっかんねーわ、素直さんは……」忠直はまた頭を抱えた。





「先輩っ!来てくれたんですねーーっ!!」


放課後、素直は涼真の姿を見るなり、千切れんばかりに全力で尻尾を振る子犬のような高めのテンションで駆け寄っていった。


「えっ?!…あー、うん……いやまぁ、迎えにきてほしいって言われたら…」


道すがら、月曜日冷たく追い返してしまったことをなんと言って謝ろうかと考えながら来ていた涼真は、素直のテンションの意味が分からずどう合わせていいのか戸惑った。


「実は、先輩に会ってみたいって人がいたから、来てもらったんです」


「はぁーっ?!いやっ、素直が会ってみる?って訊いたから!」

遅れて追いついた忠直が、話が違うだろと慌てた。


「オレに?」涼真はチラリと忠直を見た。


「はい。こちら、前にも話した、野村くんです」


「あ、どうも…野村忠直です」

俺のどんな話をしてるんだよと一抹の不安を覚えつつ、それでも素直のペースに巻き込まれ、思わずウスッ、と頭を下げてしまった。


「そしてこちらが!僕の好きな人、柊涼真先輩でーす!」


「えっ?!…話が見えないんだけど……え、えーっと、どうも…柊…涼真です…」

よく分からないまま、涼真も軽く頭を下げた。


「野村くんはね、空手部で強くて、大学も推薦してもらえるくらい文武両道なんだよー」


「あ…はい、そんな感じっす…」


「あ、あー、そうなんだ…」


特に会話も広がらない空気の中、忠直と涼真はふたりの真ん中でニコニコしている素直に困惑し、全く同じ事を思っていた。


『『おいっ、どうすんだこの状況~!!』』





「はーーーっ。」

帰宅するなり、忠直は制服のままベッドへ崩折れるように倒れ込んだ。

親に見つかれば制服のまま寝るなとうるさく言われるが、もう知ったこっちゃない。


並んで帰って行くふたりの後ろ姿を見送ってしまったせいか部活へ戻る気にもなれず、顧問に今日は体調が悪いと言って帰宅したのだった。


心の調子はこれ以上ないほど打ちのめされて最悪だから、嘘は言っていない。


疲れたー……。

素直のやつ~、裏切りやがってー。俺は会ってみたいなんて一言も言ってねーぞ。

お前が言ったから会ったんじゃねーかよ。


「まぁでも今思えば、会う前から勝敗は決まってたなぁ……」


俺には『会ってみる?』なんて強気なこと言っておきながら、何だか妙に時間かけて文章打って、送信してた素直。


2個目の梅おにぎりを開けようか、返信が来るまで待とうか散々迷って、結局開けてる途中で返信が来て、慌てまくる素直。


返信を読んで、ぱあっと表情明るくして、『来てくれるって!』って、それはそれは嬉しそうな声の素直。


柊涼真の姿を認めた途端、子犬が喜びばらまきながら転げるように走って行く後ろ姿。

体育の時でもそんなスピードで走ったことないだろお前!って心の中でツッコんだけど。


帰る時「じゃあまた明日ね、ただなおくん!」って俺に手を振ってくれたのは嬉しかったけど、そのあと秒で柊涼真に向き直って、「今日こそはちゃんと勉強会やりますよ~先輩♪」って、ニコニコして……


「あんな百面相、目の前で展開されちゃったらさ~…」


寝返り打って、天井を仰いだ。


こんなことなら、気づかなきゃ良かった。

自分の気持ちに気づいた翌日すぐ失恋とか、なに自己完結してるんだよ俺は。

カッコ悪……。


並んで歩くふたりの後ろ姿を三度思い出す。


どう見たって友達以上の距離だろ、あれ。しかも素直が全力で恋しちゃってる感じで。

俺が素直に好きとか言える隙間なんて、ミリも見当たらなかった。


心がぎしぎしとかしいでいく。


卒業まであと半年強…友達のふりして、今までと変わらず一緒になんて…いられるだろうか。


のろけとか聞かされる可能性だってあるしな。


でも、好きだって気持ちは俺の勝手な想いで、素直は何も知らないんだし。

仕方ない、最後まで友達をやり通すしかないな。

俺が素直にしてやれる、唯一のことだろうし。


ただ……

この胸の痛みにあと半年強も耐えなきゃならないのは、正直つらい。

まったく、誰のせいだと思ってるんだよ、素直さんよ……。






「ナオ、月曜日はごめん」

校門の前で忠直と別れ、素直とふたりきりになってすぐ、涼真は頭を下げた。


「言い訳をするとだけど……土日バイトめちゃくちゃ忙しかった上に、暑くて寝不足続きでさ。それを引き摺ったまま月曜日、バイト先で凡ミスやらかしたんだ、何度も。店長に怒られて、イライラしながら帰って…あれは完全に八つ当たりだった。ホントごめんな」


「先輩が連続ミスなんて、よっぽど疲れてたんですね…。僕の方こそごめんなさい、自分のことばっかり一方的に話して。先輩が疲れてるかどうか気づけなかった僕が悪いんです」


「いやいや、オレがおかしかったんだ。いつもと同じようにナオの話を聞いてたはずなのに、あの日だけなんであんなにキレたのか、自分でも分かんないけど…」


「でも、今日迎えに来てくれて嬉しかったです。勢いでメッセージ送って良かったなって」


「え、勢いだったの?」


「はい~。先輩をただなおくんに紹介したくて、会ってみる?って訊いたら会うって言うから。今回は勢いをくれた、ただなおくんに感謝ですね~」


「……なぁ、ナオ……」


「はい」


「ふたりの会話聞いてて思ってたんだけど…もしや名前で呼び合ってんの…?」


「はい。……おかしいですか?」


「うっ、素でそう返されると…うーん、おかしくは…ない…かもだけど……あーそうじゃなくて、オレのことはずっと先輩呼びしてるのに、あいつのことは名前で呼ぶんだ〜って、なんか、違和感?みたいな…」


「僕としては、先輩って呼ぶのは、尊敬してる証なんです」


「でもなんか…オレ的にはあんま気ぃ良くないっていうか…モヤモヤするんだけど」


「うう、そうですか……じゃあ、先輩の前では野村くんって呼ぶことにします」


「んんー……」

そうじゃない、そうじゃないんだよなぁ…涼真は的確な言葉が見つからず詰まる。


…こうなったら、この数日考えていたこと、ナオに提案してみるか。


「……あのさ。」


「はい」


「オレの部屋、一緒に住む?」


「………!……いいんですかっっ?!!!」


「あ、ああ。ちょっと条件つけてもいいなら」


「なんですか?先輩と住めるなら、なんでもやりますよ?」


「その、先輩って呼び方と、ついでに敬語も禁止で」


「えっ……ちょっとそれは…譲れないかも、です…」


「いやいやいや、なんで?オレは先輩って呼ばれるのも敬語使われるのも、距離置かれてるみたいでイヤなんだけど」


「じゃ、じゃあ…なんて呼んだらいいんですか…」


「え、普通に名前で」


「ひぇぇ、名前っ?………り…り…りょ、りょ、りょ………ぅま…さん……?」


「あ~もう、さん付けとかもっと悪い~!せめて『くん』付け希望」


「くん…?…りょ……ぅま、くん…うあ~っ!無理っ!無理ですーーーっっ!!」


ひゃあぁぁ……!と叫びながら素直は顔を覆ってしゃがみ込んだ。


「じゃあ今のは練習ってことで、一緒に住んだらよろしくね」


「うう……がんばります……一緒に住みたいですし…」

涙目でそう言った素直の頭を、涼真はたまらずワシワシと撫でた。


やっぱ、かわいい。

どんなナオも、オレが一番たくさん知っていたい。


ナオは天然だから、誰にでも可愛さをダダ漏れさせるのは仕方ないとしても、野村ってヤツはオレの知らないナオを見る機会がオレより絶対的に多いわけで…。

名前で呼び合ってるのだって、友達以上の気持ちがある可能性が高い気するし…やり過ぎってくらい牽制しておかないとな。


結論として、ナオと一緒に住むくらいしか、あいつに対抗できる方法が無いんだよなぁ……


そう思って、ふと気づく。


「しまった、うちからだとナオの通学が大変になるんだった!早起きとか乗り換えとか、ナオの負担増えすぎるよな……前に駅で倒れたことだってあったし…!」


「大丈夫ですよ~、先輩といられるならそんなの気にしません!それに、前よりちゃんと食べてるから、少しは体力も増えてます」


「う、うーん……じゃあ、朝食と昼の弁当はオレが作るよ。前みたいに」


「わぁ~!また先輩の作ったお弁当が食べられるんですね、嬉しいです!!」


「そっか、そんなに喜んでくれるなら作りがいあるなぁ」


素直はきっと気づかない、涼真のその言葉の裏にある本音。


ナオはきっと『また先輩にお弁当作ってもらえるようになったんだよ~』とか、普通に話題のひとつとして野村へ話すに違いない。


それは充分すぎる牽制になるだろうな。そう思うと、自然と笑顔になってしまう。


そもそも月曜日のもめ事は、野村とナオの昼食の話が発端なんだし。


ナオのことはオレが一生かけて守ってやるって決めてるんだ。

他のヤツに横取りされるなんてあり得ない。断固阻止だ。


「先輩?晩ご飯何にしますか?」素直の声で、我に返る。


「お、そうだな……あー、この前のミートソーススパゲティ、オレのせいで味わって食べられなかったから、もう一回一緒に食べたいかな」


「あ、それなら残ったソース冷凍してあります!パスタだけ買っていけば大丈夫です」


「お~、さすが!じゃあお詫びにメロンか何か、スーパーでナオの好きなもの買うよ。一緒に食べよう?」


「ホントですか?!じゃあお店で見てから決めます!やった〜♪」




        ********




「今日はすっごい楽しかったね~!」


五十嵐薙人から合格祝いがしたいと声がかかり、久しぶりにバー アストラリーストへ出かけた帰り道、素直はそう言って涼真の隣で何度かめの思い出し笑いをした。


「薙人さんの言葉遣いがオッサンみたいになってたの、何度思い出しても笑えてきちゃう」


「あはは、まだ言うか。まぁでもオレと住み始めたあとカウンセリングも行ってないから、ナオは薙人さんと1年近く会ってないんじゃない?オレは11月に一度アストロビルで会ってるから、半年ぶりくらいだったけど」


「あれ、そっか、もう1年ぶりくらいになるんだっけ。……大人って年取るの早いんだね~」


「……前から思ってたけどさ、たまに素で辛辣な時あるよな、ナオって」


「そうかな?どの辺り?」


「んん~……ナオは発言する前に、一瞬考えるクセ付けた方がいいとオレは思うよ。ナオが怖いもん知らずでツッコミやら直球質問やらするから、横でめちゃくちゃハラハラしたし」


「だって、薙人さんと和真さんの間の空気感!あれっ?って、リョウくんだって思ったでしょう?」


「まぁ確かに、薙人さんがいきなり振った下ネタを和にぃが軽く受け流してるの見て、びっくりしたけどさ」


「うん。なんだか和真さん、前より柔らかくなってたよね」


「ああ。薙人さんもな。お酒飲んでたとはいえ、あんな感じの人だと思わなかった。和にぃに対する愚痴かと思って聞いてたら、途中からただのノロケ話になるパターン多すぎだしー」


「あっはは、ホントにねー。いつもピシッとスーツ着て、頼りがいある大人ってイメージしかなかったのに。和真さんの前ではあんなふにゃふにゃな子どもみたいになるの、ギャップすごかった〜」


「けど、薙人さんのおかげで和にぃが話しやすい雰囲気になっててくれて助かったよ。将来はアストラリーストを手伝っていきたいなんて、昔の和にぃに言ったら光の速さで即却下されてただろうし」


「うん、前の和真さんならね。誰に対しても、ぴしりと閉じたドアの向こうとこちらで会話してる感じだったもんね」


「そーそー。それにオレ、嫌われてたからなぁ。いや、今でも嫌われてはいると思うけど」


「ううん、大丈夫。リョウくんが今の製菓学校卒業する頃には、きっとふたりであのお店を盛り上げていけるようになってるよ。……あ、薙人さんとの関係次第かもだけど…」


「あー、それはあるかも。…って待て待て、怖いこと言うなよー!オレの将来かかってるんだからさ~!」


あっはははは…!とふたりは声を上げて笑った。


「あー笑った〜。…んー、何か飲む?」


ちょうど自販機の前を通りがかり、涼真は目に入った自販機専売のメロンソーダが飲みたくなって素直にも訊いた。


「あ!じゃあ僕はジンジャーエールで」


「オッケー」


「あのね、僕……リョウくんのお母さんに、なりたくて…」


ガコン!と自販機が吐き出したジンジャーエールを取り出す格好のまま、涼真は素直の方へ顔だけ向けた。


「……え?どういうこと?」


全く意味わからんという顔になりながら、素直にペットボトルを手渡す。


「あっ、そのままだと意味不明だった……えっとー…」

ちょっとキョロキョロすると、最終バスもとうに終わったバス停のベンチが目に入り、素直は指さした。


「あそこに座って話そ?」


言って素直は駆けていき、先に腰掛けた。


「はいはい…唐突に話が始まるのはいつものことだし、慣れてるよー」


メロンソーダのペットボトルを手に笑う涼真が隣に座るのを待って、素直は話し始めた。


「僕が今行ってる小料理屋でバイト始めたきっかけは、いつも寄る近所の八百屋さんと話してて、簡単な手伝いが出来る人を募集してるんだけど行ってみない?って言われたからだった、って話はしたよね?」


「うん。割と突然だったから、大丈夫かなと思ったの覚えてる」


「あはは…そこはほら、『オステリア コーダ』でリョウくんにウェイターのコツを色々教えてもらった経験があったから、何とかなるかなって、あんまり心配しないで行ったんだ。カウンセリングも行かなくなって時間もあったし、軽い気持ちで」


「まぁ、難しそうなら辞めたらいいと思ってたし、ナオのがんばりたいところまで応援しようと思ってた」


「ありがとう、見守っててくれて。お店の人もお客さんもみんな優しかったから、今でも何とか続いてるよ」


「あー、まぁ…『オステリア コーダ』にいた連中は、特に性格キツイのが多かったからなぁ…」


「だねー」素直が苦笑いの顔になる。


「僕、今のお店で働き始めて、大将と女将さんが二人三脚で仲良くお店をやっているところとか、素朴だけど丁寧な料理や定食を食べに来てるお客さんとのやり取りとか見てたらね、ふたりで作っていく信頼みたいなものって、『最強の普通』で、でもそれはあのふたりでしか作れないものなんだなぁって思ったの」


「へえぇ、そんな雰囲気いい店なんだ。それは今度バイト休んででも食べ行かないとな」


「来て来て!僕の働いてるとこも見に来て!」


「それいいな。たまにはオレがナオのバイト先に行って、ナオの働いてるとこ見ながらメシ食って、帰りは一緒に帰るってのも」


「うん、楽しみにしてる!」


笑顔で頷いて、ジンジャーエールを一口飲んだ。


「それでね…なんていうか、上手く言えないけど、リョウくんと僕も、大将と女将さんみたいな、『信頼』って言うのかなぁ…を、重ねていきたいなって思うようになったんだ」


「んー…オレたちだけの『最強の普通』みたいなやつ?」


「うん、そんな感じ。今日の薙人さんと和真さんを見て、ああやっぱり、幸せってああいう感じなんだなって再確認したんだ。僕は女将さんを見習って、リョウくんの本物のお母さんにはなれなくても、お母さんの代わりくらいの存在を目指したいなって」


「…ありがとな~。オレもナオを一生守るって、あの日助けに行った時から思ってるけど、ナオの優しさにはまだまだ負けてるなぁ」

涼真は素直のふわふわの髪を撫でる。

えへへ…とくすぐったそうに笑った素直の背中に涼真は手を回し、ふたりは寄り添った。


「……あのね、この話、本当はするの迷ってたんだ。リョウくんにお母さんの話は…って。でも今日、和真さんにお母さんの話をしてるリョウくんはすごく楽しそうだった。だから、今なら話しても大丈夫かなって…」


「あー…ナオに気ぃ遣わせてばっかりで、ホントごめん。オレ、全然ダメダメだ〜」


がっくりと頭を下げた涼真に「大丈夫だよ~、気にしないで」素直は涼真の指にそっと自分の指を絡めた。


「オレがひとり暮らし始めた時さ、ナオとは完全に終わったって諦めてた。でもナオの方から勇気を出して会いに来てくれたから、今こうしてまた一緒にいられるんだよな」


「あれは僕が全部悪かったから、僕が謝りに行くのは当たり前。リョウくんは気にしなくていいの」


「……オレはさ、バイト先で初めて声掛けた時から、いつでもナオにただ笑っててほしいと思っててさ。あの時はオレがいることでナオをイライラさせるなら、離れてしまおうって…」


「……ねぇリョウくん。これからはどんなにケンカしても、何回でも仲直りしよう?あんなに仲良さそうに見える大将と女将さんも、きっと見えないところでケンカいっぱいして、今があるって思うんだ。それにリョウくんてば、自分のことはさっさか決めちゃうくせに、僕のことになるとすぐ『ナオが決めて』とかって逃げるの、ずるいよ?」


「う…まぁ…それは確かに…おっしゃる通りで…」


「…僕のお父さんとお母さんの場合は、仲直りのためじゃないケンカになっちゃったから、一緒にいるのを止めることになったんだと思ってて。僕とリョウくんがそんな風になっちゃうのは絶対イヤだから」


「うーん…ケンカは…あんまりしたくないな、平和主義だし…」


「僕だってケンカなんてないのが一番だってことは分かってるよ。でも、僕たちってまだまだお互いにどこか遠慮してる部分があって、結局ケンカになるまで言わないってとこ、あるでしょ?だからなるべく早い段階で言いたいことを言ってケンカ回避すればいいと思うんだ。僕はそうやってずっとリョウくんといたい。ひとりぼっちはもうイヤだし…」


「オレだって、この先ナオをひとりぼっちにさせるつもりはないけど…」


「僕ね、リョウくんが合鍵くれて部屋で待つようになって、僕のお母さんが出ていって、お父さんも家にほとんど帰ってこなくて、ひとりきりで広いマンションにいた時と同じ気持ちになってた。リョウくんはこの部屋で、ひとりでご飯食べて、ひとりきりで寝るんだって。そう思ったらなんか胸がギューッってなって、リョウくんがひとりきりになる時間を僕ができるだけ短くしようって、勝手に“ご飯作って帰りを待つお母さん”みたいな存在になろうって決めたんだ」


「……そうか、だからナオはオレがどんなに遅く帰っても一緒にご飯食べてくれてたのか。あー、それなのに終電の時間のことばっかり言って、なんか毎回追い立てるみたいにアストロビルへ帰してたよな。うわぁ、オレすげぇ自分勝手じゃん。ナオはそこまで考えてくれてたってのに…」


涼真はまたぐんにゃりと身体を押し曲げて落ち込む。


「ううん。気づいてほしくてやってたわけじゃないから。でもこれからは僕もリョウくんに思ってることをもっとちゃんと話すね。野村くんの話ばっかりして怒らせた時に反省した。お手軽に狭い世界の話をして僕だけが満足してちゃ、ダメだって」


「おっ、すごい。じゃあ今後はもっと広くたくさん、ナオの世界の話が聞けるんだな」


「うん、期待してて!……あ、あのね。僕と同じ学科の、えっと…有馬くんて人がいるんだけど、妙に慣れ慣れしくて、すぐ肩とか髪とか触ってこようとするの。だから僕、はっきり言ってやったんだ。『僕の身体を触っていいのは恋人のリョウくんだけ!それ以外の人は気持ち悪いから触らないで!』って!」


「え、えぇ~~……」

涼真はへなへなとベンチから崩れ落ちた。


「また、他のヤツの話……」


「……あっ!」


「……学習して……頼むから学習して、ナオ……」


「ご…ごめんなさい…」


「そういうの、ちゃんと報告してくれるのは助かるけど。……さて、そいつには何かお菓子をお見舞いしてやろうかねぇ……」


「甘い物が苦手って言ってた、聞いてもないのに」


「……よし、タバスコ入りのクッキーでも焼こうか」


「リョウくん…それ、多分焼いてる時から目がしみて、大ブーメラン食らう予感がするよ…」


「うーん…じゃあまたナオを迎えに行く戦法になるかー。ありきたりだけど」


「来て来て!今度こそ『僕の恋人です!』ってリョウくんのこと紹介できるの、楽しみ!」


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