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006 プリクラで誘惑

「とにかく、100枚の景品が落ちたんだからプリ、撮りに行くわよ!」

「へーへー、なんだか知らんが敗者に口なしだ」


 プリとやらはマジで何なのか不明だが、リリアが積極的になるところを見るに楽しいものなのだろう。

 てっきり他の店に行くのかと思ったらゲーセンの奥の方へと連れて行かれた。


「なんだぁ? これ」

「これがプリクラ。見たことないの?」

「ねぇな。何をするものなんだ?」

「まぁアンタの極小脳みそにわかりやすく伝えるとしたら、可愛い写真を撮るだけの機械ね」

「……なんで今俺のことディスったの?」


 こう見えて繊細な心を持っているんだからやめて欲しいぜ。

 にしてもこのプリクラってやつ、どーも色が白ピンクで目がチカチカしやがるな。ゲーセンは男社会だが、ここのコーナーだけは女ばっかりだ。


「驚いたでしょ? 実はプリクラコーナーは男だけで入っちゃダメなのよ」

「そうなのか? 何でだ、差別か?」

「犯罪抑止。半個室なのをいいことに性犯罪に走るやつがいるのよ」

「なるほど、クズ隔離か」

「でもそれ、私には逆利用できるのよね」

「あ? どういう……」


 俺が聞き返し終わる前にリリアにプリクラの機械に連れ込まれた。意外に力強いんだな。

 壁ドン……というにはいささかリリアの高さが足りていないが、まぁ形的には壁ドンスタイルだろう。俺の脇下辺りにリリアの腕を感じ取れた。


「逆性犯罪ができるってわけ」

「なるほどな。お前はここで俺を落としに来たわけだ」

「ホテルなら警戒されるけど、まさかゲームセンターでこうなるなんて思ってもいなかったでしょ?」

「まったくだ」


 これはまずいな。ただでさえ可愛いリリアだが、こんな至近距離に顔があるとその可愛らしさがより一層伝わってくる。

 半個室だからか、甘い香りもまた鼻をくすぐってきやがった。理性が徐々に溶けていく感覚に襲われる。


「ふふ、もう我慢できないんじゃない?」

「馬鹿にするな。こう見えて理性は強い方だ」

「本当かなー?」

「……なにっ!?」


 リリアは俺の制服の上から的確に乳首を当て、指で突き始めた。男の乳首なんかいじって何が楽しいのかはわからんが、リリアは勝利を確信したような笑顔になっている。

 くすぐってぇ……けどなんだかだんだんと暑くなってきやがった。刺激そのものというより、半個室でリリアみたいな美少女から乳首をいじられているという事実に興奮しているんだな。


「ふふ、吐く息が熱くなってるわよ?」

「ちっ……あまり調子に乗んな!」


 俺はリリアの両肩を掴み、少し力を入れて押し退けた。

 最初からこうすればよかったのだが、これはこれで俺の弱点であると白状するようなものである。できれば強引な手は使いたくなかった。


「そうかそうかー。みんなが怖がる賭崎くんは乳首が弱点か」

「うるせぇ」

「もし今からホテルに行くなら……特別に舐めてあげてもいいわよ?」

「ぐっ……さっさと写真撮るぞ!」

「ちぇー」


 危ねぇ。今のはもう少しで陥落するところだったぜ。ただまぁなんとか耐えきった。陥落寸前だろうと耐えれば俺の勝ちだ。


「っておい! 500円って何だよ!」

「えー? あぁ、100円値上がりしているわね」

「そうじゃねぇ。写真撮るのに500円!? 馬鹿か!」

「うるさいわねぇ。私が払ってあげるわよ」

「……200円は出す」

「せこ」


 全額奢られるのも癪だからな。

 500円を投入するとプリクラとやらは水を得た魚のようにやかましくなりやがった。


「こんにちは! 背景を選んでね!」

「なんだ背景って」

「そのまま緑色の背景じゃ味気ないでしょ? 可愛い背景を合成してくれるのよ」

「はぁん。色々あるんだな」


 まったくわからん世界だ。もうここはリリアに任せておこう。


「どれがいい? 遊園地っぽい背景とか、レインボーブリッジっぽい背景とか」

「お前に任せる」

「何それ、淡白な彼氏は嫌われるわよ?」

「……んじゃあ遊園地で」

「はいはい」


 リリアに嫌われるかもと思った瞬間、体が勝手に動いてしまった。


「それじゃあ撮るよー、はい笑ってー!」

「うるせぇ機械だな」

「そういうものなのよ」


 パシャりと写真を撮られ、出来上がったものが画面に表示された。

 身長160センチくらいのリリアとはかなり大きな差になってしまっている。少し屈めば良かったか。


「うん、アンタ次は屈んでくれる?」

「あぁ? また500円とか冗談じゃねぇぞ!?」

「違うわよ。プリクラは何度か撮れるの」

「そ、そうなのか」


 またケチなところを見せただけになってしまった。くそ、なんで空回るんだ。

 要望通り屈んで、できるだけリリアと高さを合わせた。次に取られた写真は凹凸感が抑えられていて、素人の俺から見てもいい感じの写真に思えた。


「これで良さそうね」

「ふぅ、やっと終わったか。なんか知らんが疲れたぜ」

「え? まだ終わってないわよ」

「は? もう写真撮ったじゃねぇか」

「ここからがプリクラの本番なの! 写真の加工があるんだから。盛れるだけ盛るわよ!」

「んだよそれぇ!」


 盛るってなんだ、どんぶりか? わからんものに頭を使うのは疲れるぜ……。

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