ハーレムなんて言ってすいません、ぼすらっしゅ……!?
★月曜日 御神楽 涼音の場合
「今週が俺の命日かな?」
「大丈夫よ、気楽に行きましょう」
どうも、ハーレムクズ野郎の天野貴斗です。今日は涼音先輩のおうちにお邪魔してます、付き合って1月たってないのにお家にご招待とか正気かな?
「ムリッス、オラチキンッス」
「はいはい、なら美味しくいただくから安心しなさい」
「……」
フライドかなタンドリーかな?ナゲットかも
「待たせてすまないね」
「ごめんなさいね、主人が柄にもなく緊張しちゃって」
「おい」
やって来たのは、涼音先輩のご両親。共に黒髪の品の良さそうな夫婦だ。
「はじめまして、天野くん、私が涼音の父御神楽 清彦だ、で」
「妻の綾音です、どうぞよろしく」
「いえ、こちらこそ、平日にお時間を頂いて申し訳ありません」
「いや、此方が会いたいと思っていたんだ気にしないでくれ」
予想に反して、普通に歓迎ムード?まさかなにも聞いてない?
「その、君のことはよく聞いている、まあ、なんと言うか……色々大変だと思うが、娘が幸せなうちは、なにも言わない」
「……はい」
すこし、同情が混じったような複雑な表情でまさかの容認?ええ……?
「ところで、貴斗君」
「はい」
「知っての通り、私は今市議をやっていて、恐らく君が大学生になった頃に秘書の空きが出きると思うのだけど政治に興味は?」
「えっと?あの、そこまでしてもらう訳には……」
突然に話を切り替えられて困惑する、え?政治家秘書?だれが?
「うん?知っての通り、私は今市議をやっていて、恐らく君が大学生になった頃に秘書の空きが出きると思うのだけど政治に興味は?」
「はい!そんな貴重な機会がありましたら、是非」
まったく表情を変えずに、さっきより若干低い声で同じ勧誘をしてくる清彦さん……まじで怖いです。
「そうだね、その時が来たらよろしく頼むのとしよう。大丈夫、君はあの超老人達の巣窟、英流園で指導を受けているんだろ?」
「はい……」
うちの爺さんと婆様の住みかになんと言う名称着けてるんだ……
「じゃあ、話も一段落したところでご飯にしましょう?今日は泊まっていくのでしょう?」
「いえ、今日は……」「うん、勿論そのつもり」
綾音さんが当たり前のように提案してきたお泊まりを回避しようとしたら、さっきから黙っていた涼音先輩が割ってはいり、そのままお泊まりコースに……
涼音先輩と同じ部屋だけは固辞した……と言うか両親が勧めるなよ
……
★火曜日 桜木 マリアーナ 穂花の場合
「マリアの父の桜木 圭介だ、イタリアンのシェフをやっているよろしく」
「妻の桜木 ジュリアです」
放課後、マリアに招かれて家にいくと、優しそうだが、いかにも料理人的な雰囲気を持つ圭介さんと、マリアと同じプラチナブロンドで蒼い眼のジュリアさんがで迎えてくれた。
てか、お母さん若いなぁ、マリアと姉妹と言っても分からないや。
「あ、天野 貴斗です、ま、マリアさんには大変お世話になっております」
「あはは、君のことは聞いてるから、そう緊張しなくても大丈夫だよ、ね?ジュリア」
「ええ、聞いていた通り誠実そうな人で良かった」
「……その、なんと言って良いのか……」
その、誠実そうな人、ハーレムとか言っちゃってる上に、昨日別の女性の家にお泊まりしてるんですよ?
「ああ、大丈夫、僕もイタリアで料理修行中にオーナーの知人の貴族令嬢と半ば駆け落ちみたいな感じで帰国したし、女性関係についてどうこう言う資格無いから」
……リアクションに困る、え?貴族令嬢?なんのとは言わないけど当番の日には必ず体のどこかにマークをつけるように言ってくるこの娘が?
「ふふ、大丈夫ですよ?実家とはマリアが生まれてから和解済みですから」
「あ……はい」
いえ、そこじゃないんですけど……いや、気にしない方向で。
「まあ、娘が酷い目にあって捨てられたりしたら黙ってないけどね」
「……こちらこそ、見捨てられないようにするのが精一杯です」
突然、鋭い目で威圧するよう低い声での問いかけに素直に答えるしかない。
「なら良いや、今日は泊まっていくんだろう?本場仕込みのイタリアン御馳走するよ?興味あるでしょ?味も作る方も」
そう言えば、あそこのジジババズ、和食、フレンチ、中華はいたけどイタリアンは居なかったなぁ……
「いえ、そこまで……」「うん?僕が教えるのじゃ不満かな?」
「……よろしくお願いします」
「Papà!良い考えです」
どうやら、選択権は無いらしい……
マリアさん、今週は当番無しの約束ですよ……
★水曜日 七瀬 亜果利の場合
「オッケー、よろしく」
軽っ!?
「まあ、ワタシも旦那も若い頃色々やって実家から勘当されたり、痛い目を見たもんね……」
挨拶もそこそこに、フランクに話してくるのは、亜果利の母親の七瀬 麗佳さん
「むしろ、今まで他の姉妹と比べて品行方正な方で不思議に思ってたくらいだし、ちゃんと隠さないで挨拶にくるくらいなら安心かなって、むしろ他の娘もいる?」
「ママ!?」
「いえ、もう、これ以上は……」
「そっか……残念」
いや、今普通に爆弾発言したつもりだけど特に思うことはないらしい。
「君も飲まない?」
「いえ、未成年ですので」
既にお酒を飲んで待っていた父親の朗さん。麗佳さん曰く、緊張しすぎて待てなかったらしい。ちなみに職業は美容師で、開設した動画チャンネルの広告収入だけでも生活できるくらいには有名らしい。
「そっかぁ……義息子と一杯やるのは夢だったんだけどなぁ」
「それはいずれ」
「よし、言質取ったからね、それまでに娘手放したりしたら……どうしてやろうか?」
パパさんズは皆プレッシャー掛けてくるけど普通に引き離した方が健全なのが分からないのだろうか?
「は、はい、見捨てられない限りは」
「ならよし」
「パパ……」
「よし、今日はご馳走だな、ママ」
「任せて、亜果利は客間のお布団の用意ね」
「まっかせといて」
ああ、やっぱり泊まるのか……
「ところで貴斗君は美容師には興味あるかな?」
いいえ選んでも無限ループするやつですよね?
つい最近学んだ……
★木曜日 氷室 佳澄の場合
「いや、詰んだろ流石に」
「……先輩は心配し過ぎ」
広い応接室のソファに座りながら呟くと、隣に座る佳澄が呆れたように返してきた。
だって、家じゃなくて屋敷だよ?ここ?違いはわかんけど……涼音先輩の家もデカかったけど規模が違う……
「やぁ、待たせたね」
「い、いえ」
この、背広を着たダンディなおじ様が佳澄のお父さんか……失礼だけど思ったより歳いってる?
「なに、緊張する必要はない、君のことは既に調査済みだ」
「そうですか……」
「……で?いくらだね?」
「はい?」
手切れ金かな?そんなもの受け取らなくても、認めてもらえないなら……この娘止められるかな?
「いくら払えばウチの娘を正妻にしてもらえる?」
「お父様っ!!」
「は?」
は?
は?
ナニイッテルンダコノヒト?
「いえ、いくら貰ってもと言うか、そう言うお金を受け取る事は出来ません」
「ほう……」
鋭い眼光で睨んでも殴られようとも金を積まれようともクズにだって落ちたくない一線がある。
そもそも、俺に正妻を決める権限とかあると思ってるのならリサーチ不足だ!!
「……すまなかった」
「だから言ったでしょう?」
「へ?」
突然、お父さんが、つむじが見えるくらい頭を下げると同時に後ろから女性の声がする。
「……お母様?」
「へ?へ?」
後ろから現れたのは佳澄と同じ金髪の、若い女性だった……
「改めて、私は氷室 佳寿、一応氷室グループの会長をしている」
「妻の瞳子です、主人が失礼しました」
「い、いえ」
「見ての通り、年の差婚な上、この娘が生まれるのが遅かったから愛情の注ぎ方が分からないみたいで……」
「本当に申し訳無い」
「はぁ」
何がなんだか分からないです。
「うん、試させて貰って悪かったが、君は誠実な人間のようだ」
「試したんじゃなくて暴走したんでしょうが」
その、誠実そうな人間、ハーレムとか言っちゃってる上に、昨日別の女性の家にお泊まりしてるんですよ?(しかも日替わりで)
「困った事があったら何でも相談してくれ」
「はぁ……」
急に態度が変わり困惑するしかない、と言うか良いのか?
「じゃあ私達は客室の用意を指示してくるから、行くわよ、佳澄」
「はい」
「ところで貴斗くん」
「はい」
「会社経営に興味はないかい?」
「いえ、無いです」
「会社経営だよ?興味ない?」
「無いです」
「会社経営のお手伝いだよ?」
「……貴重な経験になりそうなので、機会があれば」
「うむ、楽しみにしてくれ」
わーい、今後のスケジュールどうなんだろう?
★金曜日 仲澤 叶の場合
「ん?孫の名前かい?すまんね、娘の名前が漢字一文字だと混ぜにくいって気付いたの最近なんだ」
「いえ、そうじゃなくて……」
「まさか、先に別の娘孕ませたからお詫びに?それは授かり物だから仕方ないよ?」
開口一番にそんなことを口走るのは叶の父親の仲澤 悠斗さん。幼稚園からの付き合いだけど、相変わらずだ。
「今日は泊まっていくんでしょ、一緒にご飯作る?」
「お母さん、私が手伝うから」
叶と母親の和美さんは仲良く台所で料理を作り始める。
「最近大分、モテてるみたいだね」
「……なんかすいません」
「まあ、不満はあの娘だけ出遅れたことだけだから、気にしないでよ」
「……はい」
「ただし、ポイは駄目だよ?」
当たり前のように釘を刺してくる悠斗さん、真剣だと分かるがプレッシャーとかもか無く、逆にそれが怖い。
「……勿論です」
「貴斗君は叶の部屋で良い?」
「……客間でお願いします」
「孫はまだ先かな」
大学卒業するまで出来ないです……
とりあえず、全員に挨拶?は終わったし、少しは平和になりますように……
★日曜日 天野 貴斗の場合
「こんっっっのバカちんがぁぁぁぁ!!」
「がっ」
親父に思いっきり殴られる。なんでかとは言わないけど腰がいたくて踏ん張りが効かないから余計痛い……
うん、彼女と言って5人紹介したらキレるよね!
「彼女と会わすからってドキマギしてたら、5人!?うちのジジイの戯言を現実にする奴があるかっ!!うらやまけしからん!!」
「ちょっと、あなた、落ち着いて」
「あーうん、その常識的リアクション安心するわ」
本当にね、今までがあれだったから……まさかうちが一番まともだとは誰が思うか?……うん、思わない。
「と言うか、君達もそれでいいのかい?これだよ?」
「はい」
「当然です」
「愚問でーす」
「何が駄目なんでしょう?」
「何を今更」
「「即答!?」」
父上とハモってしまうが、既に全員親のお墨付きでした……
「馬鹿息子……どうすんだこれ?」
「もう、手遅れみたいだから……」
「おい、何で、そんな遠い眼をしてるんだ?何があったんだ!?」
親父の声が遠くに聞こえる……昨日は1日…………だったから……徹夜明けで……意識が遠く
死んでないです(笑)
同時に思い付いて平行して書いたら倍以上時間がかかりました。
各挨拶を肉付けすれば連載で10~15話は稼げるんじゃないかな?と思ったり思わなかったり……
シリーズとして楽しんでいただけたら幸いです。