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よろしくお願いします。

 『怖いよねー。そんなの私だって怖いよ。どうなっちゃうんだろう…!?』



 今はこのちょっと大きくなった身体とか、この後大きくなるとどんな変化が起こるのかとか、大きくなると………。

 ――――「大きくなる」でループを始めた。


 ………

 ………

 ………


 悶々としていた…。


 そんな中、あーちゃん作「ちょっと小さいドラゴンのねぐら」は完成した。


 ねぐらはリビングで対面キッチンの前方、カラーボックスを並べ、対面キッチンと高さが同じになるようにカウンターを作り、カラーボックスとカウンターの隙間を利用した。

 その場所からテーブルの定位置に座るあーちゃんの後ろ姿が見える。


 「ちょっと小さいドラゴンのねぐら」の使い勝手も良かった。

 場所は優秀なハンター達がめったに通らない所で、あまり視界に入らず見付けにくい。

 ねぐらの中にハンカチが何枚も重ねて敷き詰められ、寝心地良くしてある。

 出入り口も狭くしてあり、見付かってもここに直ぐに逃げ込める様になっている。奥行きもあるので爪も届かないだろう。

 

 「どうぞ。」と声をかけれ、入ってみる。居心地は最高に良かった。

 そしてこれから起こるかもしれない事をあれこれを想像した。想像したけど、今は気づいて貰うことが当面の目標なんで、無理矢理とにかくそれだけを考えるようにした。

 

 「イタッ。起きてる?」と覗き込まれる。すっかり夕方になっていた。

 「起きてるじゃん。夕食は何が良い?」


 『正体が分からなくったって、取りあえず寝る所と食べる事を心配してくれる人がいるんだし、当面は良いんじゃないか…。』

 何となく、気持ちが落ち着いてきた。


 

 ………………

 


 今日はうどん肉入り。

 うどんが大好きで、毎日でも3食でも良いそうで…。


人間だった頃、風邪を引いた時位しかうどんを食べてこなかったので、うどん愛の凄さには引いてしまっていた。


そんなあーちゃんの作るうどんは美味しい。

そしてすっかり馴染んでしまった小皿に取り分けてもらいうどんを食べた。


 あーちゃんから「新しい寝場所はどう? 何か不満はない?」と話しかけられていた。

 何だか泣きたくなったが、笑って頷いた。 


 笑顔で話を聞き、時折頷いたりして、会話になっているのかいないのか…。


 そして 新しいねぐらでぐっすり眠る。



  ◇ ◆ ◇



 暫く経ち。

  忌引き休暇が終わる頃、子供達があーちゃんの様子を見に来た。


 「ちょっと小さなドラゴンのねぐら」で、既にカナブンからカブトムシ位の大きさになっていた。


 あーちゃんは子供達にいつ話を切り出そうかと迷っている様子だ。


 「そんでその後どうなの? 会社とかちゃんと行ってるの?」

 あー。これは懐かしい、たくちゃんの声だ~。


 「ああ、勿論行ってるよ。お茶飲むだろ? 何が良い?」


 「じゃ、コーヒーで。」

 このぶっきらぼうな感じ、ゆうちゃんだ~。


 「おとーちゃん、良いよ。自分でやる。」

 ああ、しんちゃんだ。

 子供は男の子ばかり三人。成人してそれぞれ独立している。


 お互いの近況報告やら、子供達がどれだけ心配しているのか。と言う話を聞いている中、どう話そうかと思いあぐねているようだ。

 

 その様子を見て。

 ―――何だっ。聞いてんのかよっ! とちょっとキレ気味に言われた時。


 不思議な生き物の撮影に成功した。と話を切り出した。そしてその時は未だ「極小ドラゴン」だった時の写真をテレビで見せた。


 へぇー何これ?

 なんか、ドラゴンっぽくない?

 ゴ○ラとか…?

 イグアナとか…?


 三人三様の感想が出る。


 それでこの写真どこで撮ったの?

 と、まぁ。当然の質問が出た。


 ここで。と答えた。


 ――――!

 ――――!

 ――――!



 じゃあ、これって今でもここに居るの?


 ああ。と言ってちょっと小さいドラゴンのねぐらを開けた。


 ――――!

 ――――!

 ――――!


 なにこれ。

 写真より大きくなってるじゃん。

 テレビに投稿したら?

 とまぁ。興奮状態は暫く続いた。



 …………………



 ようやく収まった頃。

 名前を付けた。と言った。


 イタルボランテ


 なにそれ?


 ハンドルのメーカー。と拓也が言い、そう言えば「ナルディー」もそうだったな…。と思い出したようだ。


 なげぇなぁ。


 と声がして。「イタッ」と呼んでる。と照れるように言った。


 『そこ照れるところ?』


 カブトムシぐらいの大きさになったドラゴンを囲みそれぞれが勝手にしゃべっている。


 写真で見たのより大きくなってないか?

 そう。最初はハエぐらいで、その後コガネムシぐらいになって今はカブトムシぐらいになった。と言った。


 そのこれイタルボランテだっけ? これはしゃべるのか?

 いやぁ~。しゃべったのは聞いたことはないけど鳴くよ。

 って言ってこっちを見たので。


 『ぼぇ~。』と鳴いてみた。

 大きくなったので、幾分声は太くなった。


 !!!


 なに、こっちの言ってること分かるのか!?

 大体は分かるらしい…。


 ちょっと火、噴いてみ。

『ぼぉー。』と噴いた。


 こりゃ。なによ!?

 すげぇなー。


 これって。特定外来種生物じゃないの?

 危険生物的な?


『あっ、上手いこと言う! 受けたね!』



 ――――

 ――――

 ――――



 それで今分かっている事は、成長してる事、成長と共に火を噴く威力が大きくなっている事。

 取りあえず、こちらの言う事は分かっているらしい事。と淡々話す。


 食べ物は? 何食べてるの?


 キャットフードとか食べないんだよね-。だから人間の食べているものかなー。最近は量も増えたね。



 ……………



 急にお手。と言われたので手を出した。お代わり。と言われたので反対の手を出した。

 賢いじゃん。と言われた。

 『あほの子みたいだ。』


 追加サービスで肩まで飛んで座ってあげると、ちょー可愛い。と声が聞こえたので、それぞれの肩まで飛んで座った。


 まぁ。よくね? とか。

 名前付けちゃって情が移ってるよね~。とか

 飼えなくなって、どっかに捨てて野良ドラゴンなんてしゃれにならない。とか。

 だけどそのテの研究施設かなんかで実験動物にされても目覚めが悪い。

 とかとか。みんなで話してたけど、結局「しばらくは一緒に。どっかに捨てないように。捨てるぐらいなら動物園に。」などの結論に至ったようだ。


 「あちこちで火を噴いたらダメだよ」と念を押されたので、ヘッドバンキング並に頷いた。


 分かってんじゃん。


 イタルボランテだっけ? イタッかぁ。けったいな名前付けられて可愛そうだけど、よろしく頼むね。


 ヘッドバンキングで頷いた。


 こいつ面白いれぇなぁ~。とみんな賑やかになった。



 その後なんでも無いことを話している間、みんなの間を飛び回ったりして「可愛いでしょう。」アピールをした。


 その甲斐あってかどうかはわからないが、

 「イタッ」の事はSNSで知らせてよ。写真付きで。

 そうだね~。

 と言う事になった。


 

 ………………



 みんなが帰った後、どっと疲れた。

 何しろ、そのテの研究機関や動物園やテレビに売られないように必死だった。 

 まぁ。正体も分からないからねー。


 ―――しゃべれるようにならないかなー。と心から思った。



ありがとうございました。

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