【特別版】なろう大附属病院横いちご動物病院日誌
「あの……、すみません。どちらに行かれるんでしょう?」
なろう大附属病院の総合受付で、その一行は声をかけられた。
ただ事ではなさそうで、男性(?)が一人、そこに女性(?)が3人。しかも、引きずられて来ているというのは、少なくとも普通の患者としては違う。
「うちのSHINを診て欲しいんですが。絶対に病院には行かないと駄々をこねるので、こうして引きずってでも来ないとならないのです」
「はい……」
「い……
いやだ!
私はまだ元気だ!」
どこッ!
ここは病院ということも関係ないのか、その男性は頭を殴られている。
殴ったのは、引きずってきた一人の、猫耳の魔法使いらしき女性だった。
「いいですか!
あなたのそれは、「空元気」です!
過労です!」
「重職?」
「「家老」にゃ。」
付き添っている、ツナギの猫耳女性が言った。
「いいかSHIN。
あなたは、無理しすぎだ。
根を詰めてし執筆しているだけでなく、本職でストレスをため…
挙句の果てに、「フードコート」では、「SHIN猫」で風呂で流されているではないか!」
「まだだ!まだやれる!
ミリアム!
ナキ!
アルナス!
帰るぞ!」
SHINは、三人に言った。
「「猫耳のおっさん」の姿じゃ、説得力ないにゃ。」
「あの……。申し訳ありません。上の者とも話したのですが、当院では診察を承ることは出来なさそうでして……」
「何故です!?」
「こちらで、皆様のような猫耳をお付けになられている患者さまというのを診察をして、正しく診断出来るものがいなさそうだということになりまして。お隣に、いちご動物病院さんがありまして、そちらでしたら大丈夫だと言ってくださってますので」
「病院ならどこでも構わない。とにかくこのSHINをおとなしくさせておくなら、場所は問いません!」
「おぃ、まさかの動物病院か!?」
「うるさい! 受け入れてもらえるというなら、どんな病院でも構わないじゃないか!」
「な、なにを根拠にそんなことを……」
その声が最後まで終わる前に、一行は受付ロビーを出ていった。
そして、今度は隣にあるいちご動物病院でも、同じようなやり取りが繰り返される。
受付に座っていたのは、獣看護師のよつ葉。
「よつ葉さん! このアホ、診て頂きたいにゃ!」
いきなりのことに何事かと思いつつ、用件を聞いてみて、「ふ~ん、なるほどですね」とひと息ついてみる。
「先生に診察していただかなければなりませんが、過労でしたら、しばらく療養になるかもしれませんね。お呼びしますので、しばらくお待ちくださいね」
そして、診察室での会話の結果でよつ葉がお医者様から指示されたことは……。
「うん、これは数日病院でお預かりして、休養と栄養管理だね。よつ葉さん、ケージ室の用意お願いできますか?」
「はい。一番大きいケージ室ですよね?」
「ケ、ケージだと?! なんでそんなところに!?」
「うちは動物病院ですから。中で横になれるマットは厚めで用意しておきますから、こちらのなかでごゆっくりされてくださいね。お食事はお持ちしますし、トイレのときはナースコールを押していただければ参ります」
よつ葉がお部屋の扉を開けて、最初に入ってきたのと同じように、引きずられて部屋に連れてこられる。
「だめですよ、無理しちゃ。
後、また行ったときに、「SHIN猫」ちゃん・・・お願いしますね。」
よつ葉は扉の鍵を閉めて、にっこりと笑った。
「入院嫌だーッ!」
SHINの声が、響き渡った・・・・・・。
「へっ……? よつ葉なにして……」
気がつくと、そこはよつ葉のお部屋。
机の上のパソコンの画面には「小説家になろう」のページが開かれている。
「そっか……、お仕事から帰ってきて……。いただいたメッセージを読みながら考えていたんだっけ……。夢だったのね……」
まだ慣れない新人看護師という立場では、まだまだ1日が終わると、本当に疲れが溜っているのがわかる。こうやって、パソコンを開いて画面を見ていながらウトウトしてしまうこと、そのまま眠り込んでしまうことも多くなってしまった。
「学生時代にはこういうこと少なかったのになぁ」
頂いたメッセージにあるリクエストには、さっきの夢の中のお話を書いてみよう。
「うーん、まさかよつ葉が獣看護師になるとは思わなかったなぁ」
そうね、なろう大附属病院というなら、こういう患者さんも来る可能性があるわけで……。
よつ葉もまだまだ見習いの身。夢と現実には大きな差があることも分かってきたけれど、ちょっとだけでも現実逃避をしたかったのかしら?
「さて、おやすみなさぁい」
よつ葉の1日は今日もこうして更けていったのでした。




