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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
5章 ー海外交流編ー
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第93星:合流

咲夜(24?)

常に大和についている黒長髪の美女。一度は必ずしも目を奪われる美貌の持ち主で、礼儀正しい。落ち着いたただ振る舞いからは信じられい圧力を放つことも。現在、現場を離れている大和に代わり、根拠地の指揮を執っている。


新島 夕(10)

大和と咲夜をサポートする報告官を務める。『グリッター』としてこ能力を秘めているが未だに開花には至らず。それでも、自分にできることを精一杯こなす純真無垢な少女。10歳とは思えない礼儀正さを兼ね備える。


早乙女 護進(29)

派遣交流の監査役として千葉根拠地にやってきた(というか連行)非戦闘員・専門指揮官。『軍』最高司令官である早乙女 護里の息女であるが、品行は非常に悪い。大和の戦術の師であるが、過去に重いトラウマを抱えており…?


【夜宵小隊】

私市 伊与 19歳 四等星

 年齢関係なく他者を慕う後輩系『グリッター』。近接戦闘を得意とする。


早鞆 瑠衣 18歳 四等星

 十代には見えない落ち着きを持つ、お嬢様系『グリッター』。支援を得意とする。


矢々 優弦 16歳 四等星

 幼少期を山で過ごし、『グリット』無しでも強い戦闘力を発揮する。自然の声を聞くことができる。

「騒がしいなぁ…何だよ気持ちよく寝てたってのに…」



 根拠地内に生えていた木の影に寝転び、豪快に昼寝をしていた護進は、突如鳴り響いた警報で目を覚ます。


 そのまま起き上がることなく上空を眺めていると、数名の『グリッター』が飛び去っていく姿を目にした。



「なんだ?出撃か?単なる出撃にしては重装備な気がするが…」



 護進は僅かに考えを巡らせるが、直ぐに思考(ソレ)を放り捨てた。



「ま、どーでもいいや。私には関係ねぇやな」



 そして再び眠るべく、目蓋を閉じる。


 しかし、少しずつ落ち着かない様子でソワソワし出すと、苛立ったように歯を噛みしめ、勢いよく起き上がった。



「あぁくそ!!何だかモヤモヤすんなぁ!!眠れやしねぇよ!!」



 その勢いのまま立ち上がり、護進は真っ直ぐ執務室の方へと歩いていった。






●●●






「こちら夜宵混合小隊。栃木への境に到着しました」

『了解しました。ここからは阿久津指揮官の指示に従ってください』



 咲夜に報告を入れた夜宵は、通信機のボタンを押し、回線を切り替える。



「こちら千葉根拠地所属、斑鳩 夜宵です。咲夜指揮官の指示に従い応援に来ました。ここからは阿久津指揮官の指示に従えと…」

『や、やっと来たのか救援が!!』



 通信先の男性、阿久津 大吾は、夜宵の言葉を遮るようにして大声をあげた。



『来るのが遅いんだよノロマどもが!!さっさとメナス(こいつら)をなんとかしろ!!』



 阿久津の声色と口調に、夜宵達一行は直ぐにこの指揮官がどういった人物であるのかを察した。


 通信を入れたままの夜宵を除いた面々が、一斉に顔を合わせる。



「なぁんかこの感じ久しぶりね〜。今の司令官や指揮官に慣れちゃったからシンプルにイラつくわ」



 七の言葉に、言葉と海音の二人がウンウンと頷いた。優弦や瑠衣がまぁまぁと嗜めるが、それもどこか弱々しかった。


 一方の夜宵はというと流石に冷静で、いまの言葉を受けても表情を変えずに応対を続けていた。



「了解しました。では現場の指揮は矢武雨 瑠河(やぶさめ るか)二等星が執っているということで宜しいですね?」

『そうだと言ってるだろうが!!いいからさっさと…』

「情報感謝します失礼します」



 今度は夜宵が阿久津の話を聞き終える前に通信を切った。


 やはり夜宵も相当頭にきていたのだろう。隊の面々も苦笑いを浮かべていた。


 夜宵は深呼吸を一つしたあと、再び通信機に手をかける。



「千葉根拠地所属の斑鳩 夜宵です。救援に参りました。そちらの状況を教えてください」

『救援!?助かる!!こちら栃木根拠地大隊隊長、矢武雨だ!!』



 余程緊迫した状況であったのだろう。


 実質現場を指揮している矢武雨の声には全くと言って良いほど余裕がなかった。



「こちらは二小隊8名で救援に向かっていますが戦況が分かりません。矢武雨隊長、指示をお願いします」

『8名か…いや、しかし最近名を馳せている千葉根拠地だ。十分な質を兼ね備えているだろう。こちらも戦況を十分に掴めていないのが現状だが、どうやらメナスは宇都宮近辺に集中しているようだ。どうやって出没したのかは全く不明。だがともかく数が多く、対処し切れていない』



 こちらも流石は隊長と言うべきか、切羽詰まった状況下でありながらも、夜宵に必要な情報を的確に伝えていく。



「把握しました。それではこれより千葉根拠地の8名は宇都宮方面へ向かいます。宜しいですか?」

『頼む!』



 短いやり取りの中で情報を聞き出し、目的を定めた夜宵は通信を切り、後に続く椿達に指示を出す。



「目的地は宇都宮近辺。目標は無数メナス。交戦開始後は各小隊編成を優先に行動を。場合によっては撤退も考慮し、味方の救出を視野に入れておいて」

「「「了解!!!!」」」



 必要な情報を集約し、的確な指示を下す。直近の朝陽を知る面々は、朝陽とは違う夜宵のリーダーシップに士気を高めていった。






●●●






「夜宵小隊は到着したようですね。ここからだと何も出来ませんが…」



 モニターに映し出された戦闘区域の状況を眺めながら、夕は悔しそうに歯噛みしていた。


 対して咲夜は、これまで通りの表情を崩さず、夕に語りかけた。



「そんなことはありません。確かに指揮系統は栃木根拠地にありますが、私達にも状況によって出来ることは出来るはずです。まずは戦況を観察し…」

「邪魔すんぞ〜」



 その言葉を遮るように、勢いよく扉を開いて現れたのは、両手をポケットにしまったままダルそうにしている護進であった。



「おー今は随分立派なもんがあるんだなぁ」

「こ、困ります護進さん!勝手に入られては…」

「構いません、夕」



 勝手に入り込み、機材を触る護進を夕は制止しようとするが、咲夜がそれを止める。



「指揮官…でも…」

「護進さんは司令官代理です。ここに入るのも、ここで何かを触るのも、()()()()()()()、何も問題はありません」



 チロリと護進は咲夜をみるが、直ぐにそっぽを向いてしまう。


 再びモニターに視線し、しばらく観察したのちケタケタと笑い出す。



「こりゃまた、こんなド派手な戦闘は久し振りに見たよ」

「な、何がおかしいんですか!!現場では大勢の『グリッター』が命をかかて戦っているのに!」



 それが癪に触ったのであろう、夕は珍しく怒りの感情を剥き出しにし声を荒げた。


 しかし、護進は子どもの言い分だと言わんばかりに丸っ切り相手にしていなかった。



「護進さん、現在は大規模な戦闘中です。士気に関わるような言動は…」

「士気の低下に関わるようなことは控えろってんだろ?そうだなぁ、士気は大切だ。現場の人間も、指揮官にとってもな…ところで咲夜よ」



 咲夜の言葉を遮った護進は、そのまま咲夜に問い返してくる。



「士気に関わるようなことは控えろと言うお前は何をしてるんだ?」

「…え?」



 質問の意図を理解できず、咲夜は思わず聞き返してしまう。



「味方の士気の低下を控えろというのなら、お前は士気を上げるのが役目の筈だ。そのお前は何をしているんだ?」

「それは…それを今から」

「遅い。遅過ぎる。判断も指示も何もかもな」



 護進は咲夜に厳しい眼差しを向けた後、スッとモニターを指差した。



「お前は気付かないのか?このメナス達の行動の違和感に」

「違和感…?」



 咲夜は改めてモニターに映る無数のメナス達に目を向けるが、やはり直ぐには気が付かない。


 その様子に護進はがっかりした様子でため息を吐く。



「お前は頭も良いし、判断力もある。だがやっぱり現場向きだな。お前は一体大和(アイツ)から何を学んできたんだ」

「…ッ。では、護進さんは何に違和感を持たれているというんです?」



 咲夜の言葉に護進は再度ため息をこぼした後、机の上にあったペンをもち、モニターに丸を書いていった。



 途中で夕が「そ、それ油性ペン!」と儚げな言葉を溢したが、咲夜はそれを頭を撫でて慰めた。



「これで分かるか?」



 モニター上に四つの丸が描かれ、咲夜はそれを注視する。しかし、結果的に注視する必要はまるで無かった。



「これは…同じ間隔で同じ場所にメナスが移動している!?」

「はい、よく気がつけました。って、ガキでも分かるようなヒントを出したんだけどな」



 時間をかければ、咲夜もこの違和感に気がつく事が出来たかもしれない。


 しかしこの場合、恐るべくは護進の洞察力である。


 護進がここに来てモニターを見たのはほんの数十秒。たったそれだけの一瞬で、護進はメナスの特異な動きに気付いていた。



「(これが…かつて『軍』で『鬼謀の英傑』と呼ばれた女性…やはり貴方はその立ち位置がお似合いですよ)」



 根底の指摘をされた咲夜であったが、悔しさはなく、寧ろその場に立つ護進の姿に嬉しさを覚えていた。



「おい、今ので終わりだと思ってないよな?ここに映ってるものだけであと二つは分かることがあるぞ?」

「え…?」



 しかし、護進の能力は咲夜の予想のさらに上を行っていた。



「私が()()()のはここまでだ。あとはお前が自分で気付いて見つけるんだな。じゃないと…」



 咲夜は気が付いた。



「手遅れになっちまうぞ?」



 自分がいま、護進に試されているということを。

※後書き





ども、琥珀です!

いつもお読みくださりありがとうございます!!


私はPV数を気にすることが多かったのですが、最近になって考えを変えるようになりました。


勿論、PVが増えると嬉しいのですが、それ以上に嬉しいのは、毎週毎週熱い感想を頂けていることなんですよね。


多くの人に読んでいただけることを意識するのは勿論ですが、私の作品を楽しんでくださっている一読者を大事に、大切に思わないと、と考え直しました。


これからも、1話1話にしっかり想いを込めて着手しつつ、読者の皆さまに読んでいただけるような作品を目指して頑張ります!!


本日もお読み下さりありがとうございました!!

次回の更新は水曜日の朝8時を予定していますので宜しくお願いします!!


……ところで最近右手の痺れが治らn……

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― 新着の感想 ―
[気になる点] メナスが集結している? 一斉攻撃か、それともなにかが居ることを悟らせないためか。 とにかくメナス側の参謀はエデンか、それとも……? [一言] スッと今週も……。 今の情報だと、私も咲…
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