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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
5章 ー海外交流編ー
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第91星:警報

咲夜(24?)

常に大和についている黒長髪の美女。一度は必ずしも目を奪われる美貌の持ち主で、礼儀正しい。落ち着いたただ振る舞いからは信じられい圧力を放つことも。現在、現場を離れている大和に代わり、根拠地の指揮を執っている。


斑鳩 朝陽(18)四等星

千葉根拠地に所属する少女。『グリッター』としての力を秘めており、開花に至たらないまま戦場に立ったが、大和の言葉により、『グリット』を覚醒させ、仲間の命を救う。大和から信頼され、小隊長にも任命される。


ヴィルヴァーラ・スビルコフ (20) 二等星

ロシアスルーツク支部所属。海外派遣交流により日本の千葉根拠地にやってきたロシアの『グリッター』。根拠地の『グリッター』と少しずつ交友を深めていたが…?


国館 飛鳥(18)

実兄の背後に飛び込んだ大和の実妹。最高本部の『グリッター』であり、最高司令官である護里直属の戦士でもある。その正体は日本に8人しか存在しない、護里が指名した最高の『グリッター』の称号である最年少の『シュヴァリエ』である。


新島 夕(10)

大和と咲夜をサポートする報告官を務める。『グリッター』としてこ能力を秘めているが未だに開花には至らず。それでも、自分にできることを精一杯こなす純真無垢な少女。10歳とは思えない礼儀正さを兼ね備える。

『そうか、無事データを入手したか』

「えぇ、なんとかね。これで約束は果たしたわ。私の家族に手は出さないで」



 時刻は昼時。ヴィルヴァーラは人のいない場所へ移動し、陰に隠れ自身の小型通信機でタラスと通信する。



『いや、まだ果たしてはおらん。入手だけではな。そのデータをしっかりと我が手元まで持ってくるのが貴様への《密命》だ』

「ッ…。えぇ、分かったわ…必ず送り届ける」

『フハハ、それで良い。ところでヴィルヴァーラ。貴様、何故事を急いだ?』



 先程までの雰囲気とは打って変わり、タラスの声色は暗く重いものになる。



『成功したのは良い。だがまだ期間が1週間以上もある段階において事を運べば、万が一気がつかれた際のリスクも大きくなる。何故今の段階で動いた』

「…気が付かれるようなヘマはしてないわ。証拠も残してない。はやく動いたのは、警戒されないためよ」

『ほう…?』



 ヴィルヴァーラの話を信じていないのか、タラスは疑いの意味を含んだ声で続きを促す。


 気づかれない程度に、めんどくさげなため息をこぼし、ヴィルヴァーラは答える。



「派遣交流期間の終日にデータの移行が気付かれれば、真っ先に疑われるのは私よ。ここの人達…特にサクヤはそう言った警戒心はすでに持っているはず。そうなれば、そもそもとしてデータを盗むことが難しくなるわ」

『なるほど?警戒が強くなる前に盗んだということか』

「それだけじゃないわ。私は既にデータを盗んでいて、彼女達は気付いていない。つまりこの先警戒を強めていくなかで、データを盗む素振りを見せなければ、私に疑いの眼差しはかからないのよ。そんな気配は微塵もなかった、ってね」

『フフ…フハハ…ハッハッハッハッハッハッ!!』



 タラスは通信機越しに大声で笑う。


 それは、本当に、心の底から愉快そうな笑い声であり、同時にヴィルヴァーラを深く不快にさせた。



『良いぞ…良いではないか!!貴様、相当の悪になれる素質があるぞ?その真っ直ぐな性格が故に貴様を選んだが、思いもよらない収穫だ。どうだ?派遣後も私の部下として遣えるつもりはないか?』

「ふざけるな。例え今はこのような行為に及ぼうとも、私は貴様のような外道に落ちるつもりはない」



 冷静で静か、しかし明確な怒りを以て、ヴィルヴァーラは返した。



『フフフ…そうか、それは残念だ』



 そんな様子は微塵も感じさせず、タラスは答える。



『ヴィルヴァーラ、良い事を教えてやる』

「……お前に教わることなど…」



 直ぐにでも通話を切りたかったヴィルヴァーラだったが、タラスはそれを知った上で言葉を重ねた。



『一度悪事に手を染めたものは、どれだけ善行に手を出そうと無意味だ。美しいワインに一滴でも毒が入れば無価値なようにな。貴様はもう、かつてのようには戻れんよ』

「〜〜〜!!その毒を私に含ませたのは一体誰だと……!!!!」



 ヴィルヴァーラの答えなど聞く間もなく、タラスは一方的に通信を切った。



「|Чёрт возьми《ちくしょう》!!」



 行き場のない怒りを口に出して、ヴィルヴァーラは気を沈めようと試みる。



「ヴィ、ヴィルヴァーラさん?」

「ッ!?」



 背後から声がし、ヴィルヴァーラは咄嗟に振り返る。


 そこには恐る恐るこちらを覗き込む朝陽と飛鳥の姿があった。



「(いつからそこに会話を聞かれた問い正すいや余計な疑いをかけるだけ素知らぬフリをするいや叫んでる声を聞かれてるから無意味怪しまれる)」



 ヴィルヴァーラは思考をまとめ、一つの結論に至る。



「(口を封じる(ころす)しかない)」



 ヴィルヴァーラが僅かに動き出そうとした瞬間であった。


 根拠地内に、警報が鳴り響く。






●●●






ーーー5分程前、関東総司令部執務室にて



「そうか。()()()()()()()()()()()()

『はい。巧妙に隠されてはいましたが、いくつかのデータに移行された跡がありました』



 執務の途中で休息を入れ、大和は根拠地の様子を確認すべく、咲夜に連絡をとっていた。



「成る程…まだ警戒が薄い時に動くことで、疑われる懸念を逸らそうとしたわけか。なかなか頭がキレるね」



 大和はどこかおかしそうな口調で答える。モニター付きの通信機であるため、その様子を見ていた咲夜はやや呆れた様子であった。



『笑い事ではありませんよ大和。『軍事機密』のファイルは、全根拠地及び最高本部に関する個人のプロファイルや『軍』全体の情報が保存されています。流石にこのまま見過ごすわけには行かないかと思います。処置をされるのであれば今すぐ動き始めますが…』



 咲夜は大和の考えに逆らうつもりは全くない。大和が静観しろと言えば、このまま見過ごすことも考えていた。



「いや、それはボクが決めることじゃないよ、咲夜」

『…え?』



 しかし、大和の返答は、咲夜のどの予想とも異なるものであった。



「ボクはそこを出る前、咲夜に【基本的に好きにさせて良い】って言ったよね?あれは、文字通り彼女に好きなようにさせて良いという意味もある。けれど、それ以上に、君達自身に彼女のことを見て欲しかったからなんだ」

『私達自身が…彼女を…』



 モニター越しに大和は頷き、話を続ける。



「ハッキリ言ってしまえば、ボクは彼女のことを知らない。けれど君達は彼女を見てきた。この2週間ずっとね。その君からして、彼女はどうすると思う?盗んだデータを扱い、日本を貶めるような行為に及ぶと思うかい?」



 大和の言葉を受け、咲夜はこれまでのヴィルヴァーラの事を思い出していく。そして、ゆっくりと首を横に振った。



『いいえ、思いません。データを盗んだことは事実ですが、彼女自身から悪意のようなものは一切感じられませんでした。彼女が…()()()()()悪用するために盗みを働いたとは考えられません』

「なら()()()()()()()、咲夜。君が見て、そう感じたのであれば、それを信じるんだ。ヴィルヴァーラ君が、良き心の持ち主であるという事をね」

『…はい』



 咲夜は自分が大和の考えを汲み取れ切れていないことに悔しさを感じながらも、自分を信頼して任されていた事を知り、気持ちを新たにする。



「残り1週間。ボクが帰るまで根拠地を頼んだよ咲夜」

『はい、お任せください大和。()()()()()()()()()()()()()



 その言葉を最後に、通信は終了する。大和はふぅっと息を吐き、椅子の背もたれにもたれかかった。



「案外無責任なんだね、司令官。根拠地のことを丸投げしちゃうなんてさ」



 同じく執務室で事務をこなしていた佐々波 桐恵が、淡々とした口調で大和に話しかける。



「無責任…確かにな。けれど君が言ったんだよ桐恵?『ここにいる時はここの姿でいて』ってね」

「そりゃまぁ…そうは言ったけどさ…何だかんだで司令官は根拠地の司令官でもあるわけだし…」



 自分で言った言葉をそっくり返され、桐恵は拗ねたように唇を尖らせていた。



「大丈夫。何の問題もないよ。根拠地には優秀な『グリッター』がいるし、スタッフもいる。何より今は咲夜がトップを務めてるんだ。何も起きないよ」

「随分と信頼してるのね。どうせ私は頼りになりませんよ〜だ」

「頼りにならない者を副総司令官に任命するわけないだろ。君のことは本当に信頼しているよ、桐恵」



 大和にそう告げられ、桐恵は頬を赤くし、照れ隠しからソッポを向いてしまう。


 しかし、直ぐに平静さを取り戻し、再び大和に話しかける。



「まぁ私も咲夜ちゃんのことは知ってるし、司令官の話を聞く限り根拠地の面々と良い人ばっかだから心配はしてないんだけどさ。けれど、咲夜ちゃんて『グリッター』だから、意外と脳筋みたいなところがあるじゃない?」

「脳筋は違くないか?」

「だからもし、また『知性』を持ったメナスが現れたら、対応し切れない場面があるんじゃないかなって、思うんだけど」

「普通に無視か…まぁそこも問題はないよ。咲夜は考えて動くタイプだし、それをこなせる知性もある。それに…」



 大和は机の上に飾ってある一枚の写真に目を向ける。そこには、幼き頃の大和、咲夜、飛鳥、望生、そしてもう一人、護進の5人が写っていた。



「あそこには、ボクの戦術における師匠がいるからね」

「師匠?それって…」



 桐恵の言葉は最後まで話すことは出来なかった。緊急通信の音が鳴り響き、桐恵は表情を一変させ、対応する。



「こちら関東総司令部執務室…えぇ、副総司令官(ワタシ)よ」



 通信を聞いていた桐恵の表情が次第に険しいものとなっていく。事態の深刻さを理解した大和は、手元にあった書類を退けていく。



「…分かった。総司令官に話して直ぐに対応を行うわ」



 そう言って桐恵は通信をきった。やはりその表情は険しいままであった。



「内容は?」

「メナスの襲撃です。襲撃箇所は栃木の宇都宮近辺」



 内容が『軍』対応のものとなったため、桐恵の話口調が副総司令官のモノとなっていく。



「ここに連絡が来たということは、普通の襲撃じゃないね」

「はい。現在各支部と群馬根拠地が対応にあたっていますが、敵勢力(メナスの数)が多く、対処し切れていないそうです」

「対処し切れない…?メナスの数は?」



 大和の問いに、珍しく桐恵は言葉につまりつつも、ゆっくりと口を開き、その数を告げた。



「正確には把握できていませんが…1()0()0()()()()()()()()()()()()()

※後書きというか最早ブログ…?






ども、琥珀でございます!

私は基本的に外出が嫌いで、お酒が飲めない兼ね合いもあり飲み会とかにも参加しないのです。

まぁつまりは…外交がない笑


ただ、ちょこっと散歩したりするのが好きで、散歩しながら音楽を聴くことが私の小説の作品を形作ってくれますね笑


故に、雨の日は天敵という…←


本日もお読みいただきありがとうございます!次回の更新は金曜日の朝6時ごろを予定していますので宜しくお願いします!!

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