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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
1章 ー朝陽覚醒編ー
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第八星:混戦

※後書きに今後の更新時間等のお知らせがあります<(_ _)>


国舘 大和(24)

朝陽が出会ったぶつかった青年。纏っている服装から『軍』の将校であると思われるが正体は不明。優しい笑みを浮かべるなど心優しそうな青年。しかしてその正体は…


斑鳩 朝陽(18)

千葉根拠地に所属する少女。『グリッター』としての力を秘めているが、開花に至っておらず、現在は指揮官の報告官を務めている。戦えないことに引け目を感じている。


斑鳩夜宵(22)

千葉根拠地に所属する女性。根拠地にいる『グリッター』を束ねる部隊の隊長。責任感が強く、仲間たちから信頼されているが、妹の朝陽が絡むとポンコツ化する。


樹神 三咲 (22)

 千葉支部所属。夜宵の率いる『輝く戦士グリッター』部隊の副隊長を務めている。生真面目な性格で、少し緩い隊長に変わって隊を締める右腕。


塚間義一(35)

千葉根拠地における指揮官で階級は少佐。『グリッター』に対する差別意識が強く、彼女達を平気や道具のように思い扱っている。

 戦いは激戦が続いた。


 基本的なスペックで上回る脅威(メナス)達がその圧倒的な身体能力で夜宵達を翻弄するも、夜宵達はそれを抜群の連携で乗り切る。


 しかし、最初こそ夜宵の闇を恐れ動きが鈍っていたメナス達も、次第に距離を取るようにして戦うことで対応しだし、夜宵達は攻め手を欠くようになっていく。



「(ちっ、面倒ね。以前はもっと短絡的に突っ込んできたのに、今はいちいちこっちの動きに対応してくる…)」



 夜宵が戦場に出るようになってから6年が経つ。


 ベテランの域ではないが、それでもこれまで戦い抜いてきた経験から、メナス達の変化に気が付いていた。



「(私の闇の射程範囲はせいぜい5m…それに展開してからの闇を操っても動きが遅いからあまり意味がない)」



 夜宵の『闇夜の月輪ダークネス・エクリプセ』は攻守ともに万能な非常に強力な能力であるものの、それはどちらも闇に触れた場合に限定されている。


 攻撃範囲は決して広くはなく、その速度は鈍い。


 先程の閃光弾のように工夫を凝らすことで多彩性をもたらすことも可能だが、繰り返していれば必ず警戒される。


 ここぞ、という場面に使う必要があった。


 更に言えば夜宵達の根拠地は資源がかなり枯渇している。閃光弾一つにしても貴重な資源であり、悪戯に無駄使いは出来ない。



「隊長、どうしますか?」

「陣形を正面側から円陣型にして各個撃破に変えよう。個人のリスクは高くなるけど、()()()()()()()()()()()



 夜宵は手を顔の高さまで上がると、一度拳を作り、直ぐに開く。


 それだけでメンバーに指示が通り、夜宵が意図した通りの円陣型が出来上がった。



「全員正面の敵を各個撃破。背中は味方に預けなさい」

「メナスは数が多い。仕留めるよりも近づかせないことを意識して攻撃を」

「「「了解」」」



 夜宵が指示し、三咲がそれを補足する。それに2人が応じ、攻撃を開始する。


 『グリット』に目覚めても、必ずしも戦闘向きの能力であるとは限らない。


 三咲のように支援向きの能力を持った『グリッター』も少なからず存在している。


 そういったグリッターには、通常の戦闘補具(バトル・マシナリー)とは異なる武器が支給される。


 身体能力が大幅に向上しているグリッターならば、通常なら制御不可能な出力でも対応できる(現在つけているホバーが例だ)。


 そこで支給されることが多いのが、対脅威遠距離戦闘補具、通称『輝線銃グリットガン』である。


 身体的に劣る『グリッター』が距離を保ったまま攻撃できるよう作られた、現在最も多く量産されている汎用型の銃だ。


 『グリッター』には輝力(エナジー)と呼ばれるエネルギーが体内に存在していることが判明している。


 この『エナジー』については未だ不明なことも多いものの、科学者達はこれをエネルギーに変換し、運用することが可能であることを発見し、攻撃手段として利用する術を見出していた。


 その一つがこの『グリットガン』である。


 銃のグリップの部分でエナジーを吸収し、トリガーを引くことで、それを直接的なダメージを与えるエネルギーへと変換し放つ仕組みになっている。


 更に形状、種類が豊富で、実弾を扱う銃類と同様の数が存在している。


 拳銃、マシンガン、最近ではミサイルにも応用されている。


 更に等星が高い『グリッター』には特注のカスタマイズされたモノも存在し、より『グリット』の利点を活かした高度な戦いを可能にすることが出来る。


 通常の銃と異なる点を挙げるとしたらリロードだろう。


 弾薬を必要とする銃は一定数撃てばマガジンを代えるリロードを必要とするが、『グリットガン』の場合は、握っている間は常にエナジーを吸収し続けるため、リロードの必要はない(一部例外はあるが…)。


 更に、使用者のエナジーが切れない限りは弾切れを起こすこともない。正に『グリッター』のための武器とも言えるだろう。


 夜宵隊が使用しているのは、拳銃型のガン。


 使い勝手が良く小回りの効く量産型の銃だが、威力は高くなく、また連射性も高くないため、あまり使用率は高くない。


 何故これを使っているのかと問われれば、夜宵達の手元にはこれしか支給されていないから、としか言いようがない。



「このぉ!!」

「当たって!!」



 しかし、彼女達も伊達に生き延びていない。


 ガンの持つ利点と性能をフルに発揮し、『メナス』の猛攻を凌いでいく。


 距離が取ららればガンで、レーザーを放たれれば盾で。両者の戦いは現時点では全くの互角だ。


 しかし…



「くっ!隊長!【耐熱反射鏡ゲドゥルト・シュピゲール】の耐久限界値が70%を突破しました!もう何発も持ちません!!」

「こっちもです!強力なのが来たら大破しかねません!!」



 先に限界が来たのは夜宵隊の方であった。


 要所で夜宵の『グリット』によってカバーしてきたものの、それでも全てをカバーできるわけではない。


 その部分を、隊員達は『バトル・マシナリー』で補ってきたが、それも限界だ。



「あと少しよ!真っ正面からではなく傾斜角を利用して少しでも保たせて!」



 夜宵もそれではいずれ限界が来ることは分かっていてた。突破口を開くなら今が最後の機会だろう。


 しかし夜宵はその手をとらなかった。



「(あと少し…あと少しで整うはず…!!)」



 それはある状態になるのを待っているからだ。正面から戦闘を仕掛け、自分達を取り囲むような陣形を取ったのも、全ては仕込み。


 そしてその仕込みが遂に発揮される。



「撃てぇ!!」



 どこからともなく響いた怒号とともに、夜宵達を囲んでいた『メナス』達を一斉放火による攻撃が襲いかかった。


 訳も分からないまま、ただ攻撃を受けるわけにもいかず、『メナス』達は回避行動に移る。


 しかしその攻撃は『メナス』を囲うようにして放たれており、逃げ場など殆ど無い。


 そしてようやく『メナス』達は、自分達は追い詰めていたのではなく、追い詰められていたのだということに気が付く。


 今夜宵達の周りには、夜宵達を囲むメナス達よりさらに大きな円を作る形で、最初に分散した『グリッター』達が『メナス』を囲んでいた。


 初めから夜宵達の狙いは注意を自分達に向け、ほかの『グリッター』達の準備が整うまで耐えることだった。


 更に陣形を円形且つコンパクトにすることで、メナス達の活動範囲を自分達の周囲に限定させることに成功。


 これにより、いち早く包囲網を完成させることが出来たのである。



『夜宵ちゃん、お待たせ〜。生きてるかな〜?』

「遅いわよ椿ちゃん。危うく蒸発しちゃうところだったわ」



 耳につけられた小型の通信機から聞こえる、佐久間(さくま) 椿(つばき)の軽い声に、夜宵はやれやれといった様子で答える。


 後方拡散部隊の指揮を執っていたのはこの椿と呼ばれた女性。


 優れた戦術眼と慧眼を持つ女性で、夜宵と同僚でもあることから信頼関係も厚い。


 実際、仕掛けるタイミングも抜群だった。タイミングが早くとも遅くともメナス達はこの包囲網から逃げ出していただろう。


 正に夜宵と雪の完璧な意思疎通が図れていたから出来た芸当である。



『ごめんね〜。でもこれで包囲網は出来上がったわけだし〜…』

「えぇ、一網打尽にしてやりましょう!」



 再び攻撃が始まる。今度は外の包囲網からだけでなく、内側にいる夜宵達も一斉に攻撃をしかける。


 エナジー切れのリスク無視。今持てる全ての火力を持ってメナスを攻撃する完璧な包囲網。


 如何に高い身体能力と特異な能力を有しているメナスも、これではひとたまりもない。


 そう、()()()()()()()()()()()



「…!?ちょ、待っ!?」



 真っ先に気が付いたのは、攻撃をしながらも『対敵生命体感知エクスタミネーター』で周囲を警戒していた三咲。


 その異変を伝えようとするが間に合わない。


 夜宵達を取り囲んでいたメナス達よりもやや外側。


 その部分から、()()()()()()()()()()()()



「なっ!?」



 驚きを表情に滲ませながらも、夜宵の行動は的確だった。


 自身にひり出せる最高速度で『闇夜の月輪ダークネス・エクリプセ』を展開し、周りの隊員達を最優先にしてレーザーを塞いだ。



「っ!!隊長!!」



 しかしそれは同時に、自身の周りに展開していた闇が薄くなることを意味する。



「…うっ…ッ!!」



 纏っていた闇を貫通したレーザーが、夜宵の服と肌を焼け焦がす。


 自分達を庇ってくれたことに気が付いた二人の隊員達が駆け寄り、夜宵は心配ないことを伝えるため無理して笑顔を作る。



「だ、大丈夫。致命傷でもなんでもないわ。それより三咲、これは…」

「メナスが…()()()()()()()()()()()…私の『グリット』から逃れるためか、この包囲網を打ち破るためか…ともかくこのメナス達は初めから、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」



 事態は深刻だ。


 海面から現れたメナスの数は20以上。数でも戦力でも完全に上回れた。


 不意を突かれたことで内外部両方の隊員達も動揺している。これ以上深刻な事態に陥る前に、夜宵は撤退を考えた。


 しかし、激しい戦闘音と同様のせいで指示が通らない。


 このままではそう時間がかからないうちに全滅する。そう考えた夜宵は一か八かの博打に出ようとするが…



「爆ぜろ!機槍!!」



 聞き覚えのある声に、その意識を割かれる。


※最後に更新時間等のお知らせがあります



ども琥珀です!!本日も【Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―】をお読み下さりありがとうございます!!


書いてるときはそう思っていなかったのですが、やや展開早すぎですかね…最後の展開は次の話のラストくらいでもよかったかも…とか思ってます…


というのは夜宵の活躍場面が少なすぎたかな、と。ネタバレというか先の展開になっちゃうのでこれ以上は何も語れませんが、この一話くらい夜宵を活躍させてあげればよかったなぁ…ゴメンね夜宵


【今後の更新時間について】

四月に入ってから現在の10~11時代の更新が難しくなってきました。

そのため、更新する時間を早朝、お昼、夕飯時の三つの中から不定期に更新することになりそうです。

可能な限り早朝の時間帯に更新するように努めますのでご了承ください。


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