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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
5章 ー海外交流編ー
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第74星:ヴィルヴァーラ・スビルコフ

国舘 大和(24)

再び根拠地に現れた青年。『軍』関東総司令部より『特級』の階級を与えられ、新司令官として正式に根拠地に着任した。右腕でもある咲夜とともに早速指揮にとりかかり、朝陽の『グリット』覚醒を促した。『グリッター』とのぶつかり合いを経て信頼を勝ち得た。


咲夜(24?)

常に大和についている黒長髪の美女。一度は必ずしも目を奪われる美貌の持ち主で、礼儀正しい。落ち着いたただ振る舞いからは信じられい圧力を放つことも。指揮官として司令官である大和を補佐する。並外れた戦闘能力でグリッター達の信頼を集め、彼女達に戦う術を伝える。


斑鳩 朝陽(18)四等星

千葉根拠地に所属する少女。『グリッター』としての力を秘めており、開花に至たらないまま戦場に立ったが、大和の言葉により、『グリット』を覚醒させ、仲間の命を救う。大和から信頼され、小隊長にも任命される。


斑鳩夜宵(22)三等星

千葉根拠地に所属する女性。所属している根拠地における『グリッター』達を束ねる部隊の元隊長。実力さながら面倒見の良い性格で、仲間からの信頼は厚い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は『夜宵小隊』の小隊長。


樹神 三咲 (22) 三等星

千葉支部所属。夜宵の率いる『グリッター』部隊の副隊長を務めている。生真面目な性格で、少し緩い隊長に変わって隊を締める右腕。戦場全体を見渡せる『グリット』で戦況を見渡す。大和方針に反対している。『三咲小隊』小隊長。


佐久間 椿(22) 三等星

千葉支部所属。夜宵率いる『グリッター』部隊メンバー。包囲陣形の時には後方隊の指揮を任せられる。洞察力に優れ、物体を還元して透明な罠を作る『グリット』を効率よく扱う。おっとりした口調が特徴。『椿小隊』小隊長。


ヴィルヴァーラ・スビルコフ (20) 二等星

ロシアスルーツク支部所属。海外派遣交流により日本の千葉根拠地にやってきたロシアの『グリッター』。当初より根拠地の『グリッター』をあしらうような姿勢を見せるが…?

Очень(はじめ) приятно(まして)、ロシアのヤクーツクから来た、ヴィルヴァーラ・スビルコフよ」



 3日後の昼。大和の話通り、ここ千葉根拠地にロシアから派遣された『グリッター』、ヴィルヴァーラ・スビルコフが到着した。


 淡いブランド色の髪に、青い瞳などから美しさを感じさせながらも、その眼光は鋭く、どこか威圧的な感じを持たせていた。



「初めましてヴィルヴァーラ二等星。派遣期間の間、貴方の専任指揮官を務める咲夜です。宜しくお願いします」

Спасибо(宜しく) большое (お願い)、サクヤ」



 別国ではあるものの、咲夜は一応上司にあたる。見たところ年齢も咲夜よりは下だろう。


 それでも、ヴィルヴァーラはどこか見下したような目で咲夜を見ており、それは朝陽達にも伝わっていた。


 一同があまり良くない感情を持つ中、当の本人である咲夜はあまり気にした様子もなくヴィルヴァーラと握手を交わす。


 瞬間、ヴィルヴァーラの目つきが変わり、驚きの目を咲夜に向けていた。



Интересно(インチェレースナ)…アナタ…とても興味深いわね、サクヤ」

「それは光栄です、ヴィルヴァーラ二等星。ですが、ここでは私が上官です。例え異国と言えど、最低限の礼儀は学んでくださいね」



 咲夜の言葉こそ柔らかいものであったが、その口調には言い表せないような圧が放たれていた。



Да (はい)командир(指揮官)。アナタに従います」



 今の短いやり取りの中で、ヴィルヴァーラは咲夜の実力を汲み取り、一転にして素直に従うようになる。


 その豹変ぶりに、三咲達の不満はますます大きくなる。



「ところで指揮官サクヤ、教えていただきたいことがあるのですが」

「はい、なんでしょうか?」



 握手をしていた手を離し、ヴィルヴァーラは咲夜に質問する。



「日本の各支部には、指揮官よりも上の階級、司令官がいると聞いています。アナタほどの方が付き従う方…私も是非お会いしたいのですが」



 咲夜は「あぁ…」と納得したあと、申し訳なさそうな表情を浮かべて答えた。



「残念ながら正式な司令官はいま留守にしています。ヴィルヴァーラ二等星の派遣期間に戻ってくる可能性はありますが、あまり期待しない方が宜しいでしょう」

「そうですか…非常に優秀な司令官と聞いていたので…」



 咲夜の言葉に、ヴィルヴァーラは素直に残念そうな表情を浮かべていた。



「ですが、その代わりの司令官が近々臨時着任される予定です。現任の司令官が自身よりも優秀だと言われている方ですので、貴方も不満は感じないかと思いますよ」

「それは…成る程、楽しみです」



 派遣先で派遣されてくる司令官の指示に従うのに違和感を感じたのか、ヴィルヴァーラは複雑そうな表情を浮かべていたが、その不満を咲夜に言うことはなかった。



Япония(にほん)では、兵を分散化させていると聞いています。私もその編成に組み込まれるのでしょうか」

「小隊化のことですね。日本の…と言うより私達のスタイルを学んで頂くための派遣ですので、小隊には入っていただきます。ただ、派遣日数は長くないので、一小隊か、二小隊にだけに入っていただきます」

「… Да (はい)。了解しました」



 返答の前に、明らかな沈黙があり、その振る舞いは三咲達と行動をともにするのを嫌悪しているようにも見えた。



「せっかく日本にまで来たんです。同じ『グリッター』として学ぶことも、学ばせることもあるでしょう。分からないことがあれば何でも聞いてください。有意義な派遣期間を、ヴィルヴァーラ二等星」

Спасибо(ありがとう) большое (ございます)、指揮官サクヤ」



 礼儀正しそうな振る舞いではあるが、三咲達はどこかヴィルヴァーラを食えない様子で見つめていた。



「あぁそうでした。それから皆さんにもお伝えすることがありました」



 咲夜の言葉に、その視線がヴィルヴァーラから咲夜へと集まる。



「今回の派遣を経て、本部から観察とサポートの意味を兼ねて、本部から人員が配属されることになりました」

「え!本部(エリート)からですか!!」

「えぇ、本部(エリート)からです」



 丁寧に当て字まで重ねて返してくる咲夜に、朝陽は緊張の面持ちを見せる。



「本部の都合で到着が遅れていますが、本日の午後から合流する予定です。その際にまた集合をかけますので、見回り巡回以外のメンバーは集まって下さい」



 本部からの配属人員ということもあり、ヴィルヴァーラより身近な分、一同はどこか緊張しているようであった。


 その様子に咲夜はクスリと小さく微笑むと、こう続けた。



「あまり緊張も心配もする必要はないと思いますよ?配属される人は、とても賑やかで優しい子ですから」



 咲夜の言葉に、一同は顔を見合わせて首を傾げていた。






●●●






「ふぅ〜やれやれっと。少し小休憩挟むかな〜」



 広い一室の中に、ポツンと一つだけ用意された椅子に座りながら、大和は目の前の大量の書類を前に大きく伸びをする。



「休憩が多すぎない司令官?まだまだ目を通していただきたい書類は山ほどあるのよ?」



 そこへ、山積みとなった書類の上に、更に書類を重ねていく、メガネがトレンドマークの女性の姿があった。



「分かってる、分かってるよ桐恵(きりえ)。だからこそ、こまめな休憩を入れて英気を養ってるんじゃないか」

「…まぁ私としては、キチンと業務さえこなして貰えれば良いのだけど…」



 こういったことは初めてでは無いのか、女性、佐々波 桐恵(さざなみ きりえ)はどこか割り切った様子で息を吐く。



「それにしても多いね、書類…正直一週間くらいを目処にしてたけど、ホントに三週間はかかりそうだ…」

「それに関しては感謝されて然るべきだと思うんだけど!?司令官がいない間、私がずっと雑務をこなして書類を整理してたんだから!!私がやってなかったらこれの二倍や三倍じゃすまなかったんだからね!!」



 がしかし、大和の一言で表情が一変。バンッと机を強く叩きながら、鬼の形相で大和を怒鳴りつける。


 対する大和は地雷を踏んでしまったかのような表情を苦笑いしながら浮かべ、桐恵を宥める。



「や、分かってる分かってる。ボクが()()を留守にできるのも、君がいてくれるからだよ。ホントに助かってる」



 その後も暫く桐恵は大和をジト目で見ていたが、このやり取りも慣れたものなのか、ため息をついた後、直ぐに作業に戻っていた。


 その様子に大和は安堵の息を溢し、壁一面外の景色を一望できるようになっている窓から外の景色を眺める。



「根拠地では今頃()()()が始まった頃かな?」

「あぁ…例の諸外国から派遣されてくるっていう話の…でも急に決まったわよね〜。最高司令官から急かされたりしたの?」

「いや、寧ろボクからお願いしたんだ。できうる限り早めの派遣を、ってね」

「どうしてよ」



 桐恵は作業を続けながら、意識だけは大和に向けて理由を尋ねる。


 大和も桐恵がこちらを向いていないことに気付いており、窓の外を見ながら続ける。



「ある根拠地がね、随分と気まずくなっちゃっててさ。何か変化というか、刺激が必要だと思ったんだよ。そしたら、護里さんがちょうど良く話を持ちかけてくれてね。一早い対応が必要だと思ったから、お願いしたんだ」

「そりゃまた…過激な対応をしたもんね」



 通常なら言いづらいことをはっきりと言う桐恵に苦笑いしながらも、大和はそれに同意するようにして頷いた。



「ボクも少し過激な対応だったと思ってる。けれど、必要だったとも思ってる。今回の状況に関して言えばボクじゃ対応出来なかっただろうからね」

「へぇ…司令官でも対応できない程だったの?」



 大和への信頼故に、そのことが予想外だったのだろう。桐恵は興味を持ったのか、大和の方へと目を向けた。



「と言うより、身内だと変化を起こすのが難しい状況だったんだよ。どうしても気を使い合っちゃってね。だから外部に依頼したんだ」



 桐恵は「ふぅん…」と納得したのかしてないのか分からない声をだす。



「…詳しいことは分からないし、話さないなら聞かないけど、難儀な話ね。貴方の腹心ちゃんでもダメだったの?腹心(さくや)ちゃんでも」

「…何か毒があるように聞こえるんだけど?」

「気のせいよ。私の代わりに彼女を連れて行ったことなんて全然気にしてないわ」

「いや…気にしてるよね…?」

「してないわ、女たらし」

「いや、たらしこんだことなんてないよ…」

「ど〜かしら。貴方は自覚ないかもだけど、実は既にたらしこまれた人、いるかもよ?」



 桐恵は続けて大和に聞こえない程度に「私もだけど」と付け加えた。



「現に、さっきから気にしてるのは()()()()()の話ばかり。ちゃんと自分の本職がこっちだってこと、意識してる?()()()()()()()()



 桐恵の言葉に、大和は笑んで返す。



「どちらもボクの本職だよ桐恵。千葉の根拠地にいる時は司令官、そしてここにいる時は関東総司令官だ」

「そう言うなら、ここにいる時はここの姿でいてよね。ここは関東本部なんだから」

「…ごもっとも…返す言葉もない」



 桐恵に論破され、大和は素直に謝罪し、業務を再開する。



「(さて、この交流が吉と出るか凶と出るか…こればかりは本人達次第だな。だがまぁ、()()()()ならなんとかしてくれるだろう)」



 それを最後に、大和は今度こそ関東総司令官としての業務に戻っていった。

※ここから先は筆者の適当な後書きです。興味のない方はどうぞ読み飛ばしてくださいまし






ども、琥珀です。クリスマスから投稿を続けて今日で4日目。

実はクリスマスの作品は、「あ、やっぱり書こう」と思って18日くらいから書き出したものです。

アイディアもそこから突貫工事で作り出したので、正直詰めが甘かったと反省しております(本当に)

来年はもっと早くから案を出すようにしておきますので許してください!!


来年といえば今年も残りわずか!!皆さま2019年はいかがでしたか?

ちなみに、私は年末年始は仕事です…更新するかはまだ決めてないです…

決めたらまた連絡しますね…←


それでは、本日もお読みくださりありがとうございました!!

次回の更新は、明日の朝8時ごろを予定しております!!

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