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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
特章 ークリスマス特別編ー
74/481

第特星:聖夜訪れる夜の星に

今回後書きに説明とお知らせありますのでご参照ください


国舘 大和(24)

再び根拠地に現れた青年。『軍』関東総司令部より『特級』の階級を与えられ、新司令官として正式に根拠地に着任した。右腕でもある咲夜とともに早速指揮にとりかかり、朝陽の『グリット』覚醒を促した。新しい環境で新しいことに挑もうとするが…?


咲夜(24?)

常に大和についている黒長髪の美女。一度は必ずしも目を奪われる美貌の持ち主で、礼儀正しい。落ち着いたただ振る舞いからは信じられい圧力を放つことも。司令官である大和を補佐する。並外れた戦闘能力でグリッター達の信頼を集め、彼女達に戦う術を伝える。


斑鳩 朝陽(18)

千葉根拠地に所属する少女。『グリッター』としての力を秘めており、開花に至たらないまま戦場に立ったが、大和の言葉により、『グリット』を覚醒させ、仲間の命を救った。


斑鳩夜宵(22)

千葉根拠地に所属する女性。所属している根拠地における『グリッター』達を束ねる部隊の隊長。実力さながら面倒見の良い性格で、仲間からの信頼は厚い。戦いの傷は癒え、戦線へ復帰する。


樹神 三咲 (22)

千葉支部所属。夜宵の率いる『グリッター』部隊の副隊長を務めている。生真面目な性格で、少し緩い隊長に変わって隊を締める右腕。戦場全体を見渡せる『グリット』で戦況を見渡す。大和方針に反対している。


佐久間 椿(22)

千葉支部所属。夜宵率いる『グリッター』部隊メンバー。包囲陣形の時には後方隊の指揮を任せられる。洞察力に優れ、物体を還元して透明な罠を作る『グリット』を効率よく扱う。おっとりした口調が特徴。

「朝陽お姉ちゃんおはよぉ!!」

「うん、おはようみんな!」



 12月の半ばに差し掛かった、いつもと変わらぬ日。朝陽は、訓練学習生の子供たちからの元気な挨拶に、同じく元気に答えた。


 少数ではあるが、各根拠地には早期に『グリッター』としての資質を見出された子ども達のための訓練校舎がある。言ってみれば学校だ。


 力を扱えず困っていたもの、覚醒に備えて入校したもの、そして、『グリッター』となることを知り預けられたもの…その理由は様々ではあるが、そう言った子ども達を受け入れるために設置されたものである。


 ここ、千葉根拠地では現在20名程の子ども達が暮らしており、朝陽達と同様に、日々訓練と学習を続けていた。


 元気に校舎へと向かう子ども達の姿を見送りながら、朝陽は微笑みを溢す。



「(ホントに…みんな楽しそうに学校へ行くようになったなぁ…)」



 訓練学習生のための施設は、『軍』の決め事で必置となっているが、その訓練内容は、担当根拠地の司令官又は指揮官に一任するものとされていた。


 つまり、直近までは全て前任である塚間 義一が訓練内容を決めていたのである。


 ハッキリ言ってしまえば杜撰な内容であった。


 粗悪な教育内容に、およそ10歳前後の子どもに行わせるものではない過酷な訓練。


 『グリッター』への差別が暗黙の了解で認められている世であるが故に咎められることは無かったが、メナスが現れる前のような世であれば大問題となっていただろう。


 当然、訓練校に通っていた子ども達にも悪影響を及ぼしていた。笑顔はなく、吐く言葉は聞いてる方が胸を痛めるような暗い内容ばかりであった。


 同じく差別に晒されてきた朝陽達も胸を痛めながらも、それが当たり前のように感じて来ていたためか、諦めのような境地に至っていた。


 しかしある日、その全てが変わった。いや、変えられていった。新しく着任した司令官、国舘 大和によって。


 『グリッター』としての教養に代わり、一般的な教育を取り入れ、『軍』としての訓練を廃止し、一般的な運動プログラムや、課外教育を組み込んでいった。


 着任してからこの変化に取り組んだ際に、大和は右腕である咲夜にこう告げたそうだ。



「子ども達がこんな訓練じみたことする必要はないでしょ。この子達が大人になるころにはこの戦いが終わっていて、あの子達が一般的な生活を送れるような教育を施すべきだよ」



 その効果は絶大であった。毎日暗い顔をしていた子ども達には笑顔が戻り、行きたくないと行っていた学校は楽しみだと言うものが殆どになっていた。


 子供が笑顔でいることは、根拠地内の朝陽達にも笑顔を取り戻させるきっかけになっていた。


 大和と咲夜の2人がこの根拠地にやってきて変化をさせてきたのは、自分達『グリッター』だけに留まらなかったのである。



「おはようございます、朝陽さん!!」



 と、そこへ子供達にも負けない程の声で朝陽に挨拶をしてきた人物がいた。


 大和が新しく持ち込んだスタイルの一つ、小隊編成化により、朝陽小隊に配置された、曲山 奏(かねやま かなで)であった。



「おはようございます!あれ?奏さん、今日はお休みじゃ無かったでしたっけ?」



 『軍』にも当然休暇は存在する。


 といっても以前はほとんど休暇など取得できなかったが、この点も大和が着任してからは大幅に改善され、現在では希望を取る形で休日が取れるようになっていた。


 とはいえ『軍』人であることは変わらないため、基本的に遠出は出来ず、また緊急時の際には根拠地に駆けつけなくてはならない。


 その所為もあってか、朝陽達はなかなか進んで休暇を取ろうとはせず、結果として咲夜が日にちを決めて半強制的に休暇を与えていた。



「休むのも仕事のうちです。コンディションが整っていない状態で戦闘に出てこられても迷惑ですから」



 厳しい言葉を使ってはいたが、朝陽達の身を案じての発言であることは明白であった。


 流石にその行為を無下にするわけにもいかず、こうして定期的に休暇を受け取っていた。



「えぇ、その予定だったのですが、実は少しだけ先生になってもらえないかと学校から頼まれまして!!」

「えっ!?奏さんがですか!?」

「何故驚かれているのか詳しく伺っても宜しいですか?」



 予想外過ぎる内容に、思わず朝陽は驚きを表に出してしまったが、直ぐにそれを笑顔で誤魔化した。



「でも奏さんが先生として呼ばれるなんてやっぱり驚きです。何を教えるんですか?」

「えぇ、『グリット』の扱い方について教えて欲しいとのことでした」



 この答えに、朝陽はさらに驚かされた。



「え、でも、司令官が着任されてから、あまり『グリッター』としての勉強内容は教えてないはずじゃ…」

「えぇ、確かにそうだったんですが、子ども達本人が望んでいるそうなんです。何でも、ここ最近の私達の活躍で、『グリッター』としての勉強もしたいんだとか…」

「それは…当事者である私達からすると嬉しいことですけど…」



 本音を言えば、内心は複雑であった。


 活躍を褒められて憧れられるのは悪くない気分であったが、それでは大和が目指すものとは真逆の方向性を指し示してしまったことになるからだ。


 朝陽達も大和の考えに賛同しており、学校にいる子どもの頃には『グリッター』ではなく、普通の子供として成長して欲しいと思っていた。


 それが故に、今回の件は複雑であった。


 しかし、ここでも奏は予想外な発言をする。



「ですが、これは司令官も納得してのことらしいですよ!!」

「えっ!?ど、どうしてですか!?」



 それでは言っていることと真逆だ、と朝陽は思ってしまう。



「私も最初にこの依頼が来たときは、司令官の反対にあうかと思ったのですが、こう言われたんです」



『本人達が自分達で考えて行動を起こしたのであれば、その自主性は重んじるべきだ。特に悪いことでなければね』



 なるほど、と朝陽は納得した。


 結果として大和の考えは、これが『自主性』という、あくまで一般教養の延長線として捉えているようであった。



「それから…こんなことも仰られていました」



『それに…残念ながらこの戦いがボク達の代だけで終えられるっていう確証は無い。この先も戦いが続いて、もしあの子たちが戦わなくてならない日が来た時に備えて《グリッター》のことを学んでおくのは大事だと思う。司令官として本来推奨しなくてはいけないのはそっちなんだけどね』



 その時の大和の表情を、朝陽が想像するのは難しく無かった。


 人が良く、いつも『自分達(グリッター)』のことを考えてくれている大和は、司令官としての務めを果たせず、きっとその時少し困ったように笑っていたのだろう。


 それでも、大和は迷うことなく子ども達のことを第一に考えた行動をとった。


 そんな大和だからこそ、子どもは笑顔を取り戻し、朝陽達は信念を取り戻すことができたのだ。



「そうだったんですか…じゃあ奏さんも迷わず教えにいけるんですね」

「その通りです!!子ども達と一緒に楽しみながら『グリット』について勉強を教えてきます!!」

「あ、でも曲げる『グリット』だからって子ども達の純粋さまでねじ曲げないで下さいね!!」

「朝陽さん!?何だか今日私にアタリが強くはありませんかっ!?」






●●●





 奏と別れた朝陽は、梓月、華、そして臨時小隊員で配置された七とともに、夜間帯の巡回を行っていた。



「ックシュ!!」



 防寒具と、『グリット』による強化があるとは言え、季節は真冬。


 加えて今朝陽達が移動しているのは上空。流石に身体が冷え込んできていた。



「あー激レアショットのタイミング逃したぁ!!朝陽ちゃん!!もっかい!!もっかいクシャミして!!バッチしレンズに収めるかヒデブッ!?」



 どこにしまっていたのか分からない、見事な一眼レフのカメラを取り出し、朝陽にくしゃみの催促をしてきた七を、華が引っ叩いて制止した。



「ダメだよぉ七ちゃん。女の子のそんな顔を撮るなんて、デリカシーにかけてるよぉ」

「女の子の頬を引っ叩くのはデリカシーに欠けてないんですかね!?」



 そんなやり取りを他所に、梓月が身体を震わしている朝陽の直ぐ側まで近寄っていく。



「大丈夫ですか朝陽さん。一度休憩を挟みますか?」

「す、すいません、大丈夫です!!」



 心配をかけてしまったことを申し訳なく思いながら、朝陽は大丈夫だと返す。



「この気温だもんねぇ。私も寒くて寒くて…圧縮してきた暖気のポットを全部開こうか迷ってるくらいだよぉ」

「ぶっははははは!!部屋の中で暖かい空気を詰め込んでる華さんの姿を考えるとおっかしヒデブッ!?」



 腹を抱えて笑う七を、華は再び引っ叩いた。



「やだなぁ七ちゃん。ただのジョークに決まってるでしょぉ」

「私はジョークでも何でもなくリアルに叩かれてるんですけど!?」



 ジンジンと痛む頬を涙目で抑えながら、七と華の2人がじゃれあっている。そんな姿を笑いながら見つめながら、朝陽はふと、下の街並みに目がいく。



「…うわぁ〜!!」



 そこには、綺麗な街の夜景だけでなく、そこらじゅうに飾り付けられたイルミネーションが光り輝いていた。


 その綺麗な景色に、朝陽は思わず動きを止めて見惚れてしまう。



「そっか。朝陽ちゃん、『グリッター』になったの最近だから、この景色を見るのは初めてなのか」



 純粋な反応を見せる朝陽を微笑ましく思いながら、七は指でカメラの形を作り、そっと街並みを映した。



「私もこの景色を見るのが好きでね。冬のパトロールは実は少し楽しみだったりするんだ。写真写りも最高だしね」

「分かります。とっても綺麗で幻想的ですから…」



 朝陽に付き添うようにして、全員が上空からその景色を眺め続けた。



「…あ、そうだ!!」



 突然、朝陽が何かを思い付いたかのように声を上げる。



「どうしたの、朝陽ちゃん?」


 理由を尋ねる七に、朝陽は眩しいような笑顔を向けた。


※筆者の後書きです





ども、琥珀です

前回、今週は週三更新と言ったな…あれはウソだ!!


…はい、今日から3日間は『クリスマス特別編』を連続で更新していきます。

そこから3日間連続で本編を更新していきます。

つまり…今週は6回更新するわけです!!


ストック!?使ってなんぼでしょ!!

というわけで、本日から6日間、宜しくお願いしますm(__)m


※2

本編章末調整のため、一時的に『第73星:交流』を非公開としております!!

クリスマス特別編終了後、『第74星』と併せて再投稿しますので、お待ちくださいませ

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