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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
1章 ー朝陽覚醒編ー
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第六星:出撃

国舘 大和(24)

朝陽が出会ったぶつかった青年。纏っている服装から『軍』の将校であると思われるが正体は不明。優しい笑みを浮かべるなど心優しそうな青年。しかしてその正体は…


斑鳩 朝陽(18)

千葉根拠地に所属する少女。『グリッター』としての力を秘めているが、開花に至っておらず、現在は指揮官の報告官を務めている。戦えないことに引け目を感じている。


斑鳩夜宵(22)

千葉根拠地に所属する女性。根拠地にいる『グリッター』を束ねる部隊の隊長。責任感が強く、仲間たちから信頼されているが、妹の朝陽が絡むとポンコツ化する。


樹神 三咲 (22)

 千葉支部所属。夜宵の率いる『輝く戦士グリッター』部隊の副隊長を務めている。生真面目な性格で、少し緩い隊長をサポートする右腕。


塚間義一(35)

千葉根拠地における指揮官で階級は少佐。『グリッター』に対する差別意識が強く、彼女達を平気や道具のように思い扱っている。

 警報を聞きつけ、夜宵を隊長とするグリッター達一瞬のちに集まる。


 流石と言うべきか、先ほどまで深く落ち込んでいた夜宵は、それを引き摺ることなく既に戦士としてのソレになっていた。



「指揮官からの情報は?」

「敵の数は10。場所は元九十九里浜近辺とのことで、準備が出来次第殲滅に迎えとのことです」

「それだけ?具体的な場所や指示については?」

「そ、それだけです…すいません、私も確認はしたのですが…」



 朝陽に代わって報告官を務めている少女、新島(にいじま) (ゆう)は、自分の力不足で夜宵を落胆させてしまったと思い落ち込む。



「…ごめんなさい、今のは私の言い方が悪かった。指揮官がくれる情報はいつも適t…アバウトだから夕が気にすることじゃないわ」



 まだ幼い少女(10代前半だろうか)に対し、思わず口調が強くなっていしまったことを反省し、夕の頭を優しく撫でる。



「となるとやり方はいつもの手段をとるしかないか。三咲、隊の出動準備は?」

「大方揃っています。ただ警邏に出ていた臨時小隊は離れていて合流に時間が掛かるそうです」



 夜宵の右腕である三咲は、夜宵の問いに素早く答える。



「合流しなくていいわ。そのまま帰還次第ここの警備にあたらせて。代わりに次の警邏予定だった椿ちゃん達を呼んで」

「分かりました」

「あと海上戦になりそうだから人数分の戦闘補具(ホバー)の用意もお願い。陣形はひとまずいつも通りで行くから出撃までにその共有も伝えておいて」



 一瞬の間に繰り出される指示と、それを全て把握し移動する二人に板挟みされる形で、実戦経験の無い夕は話についていけず、オロオロしてしまう。


 それに気が付いた夜宵は、再び夕の頭を撫でる。



「早い報告ありがとう。これでメナスが攻めてくる前に手が打てそうよ。あとは私達の番だから、今度は私達の報告を指揮官に伝えてね」



 報告を褒められた夕はパァと表情を輝かせ、「はいっ!!」という元気な返事とともにその場を去っていった。


 それを微笑間しく見送りながら、夜宵は一つの疑問を抱いていた。



「(夕ちゃんがたまに報告官を務めることはあったけど、それは朝陽が非番の時だけだったはず。今日は朝陽は非番じゃない…じゃあ何故朝陽が報告をしに来なかったの…?)」



 ここにきて、ようやく夜宵も朝陽が避けているのには何か特別な理由があるのだということに気が付く。


 しかし、今はそのことについて考えている余裕は無かった。一抹の不安を感じながらも、夜宵は出撃の準備を始めた。





●●●






「お仕事中に失礼します、大和」



 海原を移動する大型船。その船内の一室のドアがノックされた後、ゆっくりと開けられる。


 丁寧な所作で開かれた扉の外から入って来たのはキレイな黒色の長い髪が特徴の女性。


 色白い肌とどこか品を感じさせる黒い瞳、一目で分かるほどの美貌の持ち主で、気品のある動きがそれをますます助長させている。


 同性でさえ、恐らくは目を奪われる者は少なくないだろう。



「うん、どうした?まだ到着までは時間があると思ったんだけど…」



 それに答えたのは、以前朝陽たちの支部を訪れていた大和だった。


 (ふね)での移動中にも関わらず、用意された机に上には大量の紙が乗せられており、執務をこなしていた。



「はい、到着まではあと三十分程あります。ですが急いでお耳に入れるべきかと思いまして」

「…話して」



 大和は動かしていた腕を止めて、女性の報告に耳を傾ける。


 そして報告を聞き終えた後、机の上で手を組み、その上に顔を乗せ考える。



「そうか、先日報告で聞いていたメナスの撃退分が仕掛けて来てるのか」

「それだけではありません。報告によると、メナスの数はおよそ3()0()()()()()()であるそうです」



 女性の返答に、大和は僅かに目を細める。



「…随分と多いね。まさか撃退したメナスとその分裂体だけでなく、他の仲間を呼んだと?」

「撃退数は5。そこから経過した日数が1週間程度であることを考えると、30は多すぎます。まず間違いなく増援を読んだものと考えて良いのではないかと」



 女性の考えに、大和は再び手を組み考える。



「今まで本能で戦ってきただけのメナスに、知性が伴ってきてるというわけか……」



 しばし目を閉じて考えていた大和だが、直ぐに目を開けるといつもの柔和な笑みを浮かべ、女性に指示を出した。



「まあ知性(そっち)に関してはいますぐどうこう出来る問題じゃないだろう。艦長に伝えて全速力で千葉の支部に向かうよう伝えてくれ」

「了解しました」



 指示を受け、女性は部屋を後にする。


 大和はゆっくりと腰を上げ、部屋に設置された窓から外の景色を見つめる。



「さて…ボクが辿り着くまで持ちこたえてくれよ、皆…」






●●●






「夜宵隊長、これで全員揃いました」



 警報が鳴り響いてから10分足らずしか経っていないが、夜宵の目の前には既に指示した通りのグリッター達が揃っていた。


 その報告を三咲から受け取った夜宵は、頷いて前に出る。


「皆準備は良いわね。既に聞いていると思うけど元九十九里浜近辺にメナスが出現したわ。数は10。進路方向は不明だけれど、警報が止まらないことを考えるとこの支部に向っていると考えられるわね」

「わざわざ戦力の整ってる根拠地(ここ)に向ってるんですか?」



 隊の一人が律義に手を上げながら夜宵に尋ねる。



「あくまで推測の域を出ないわ。ただ人間を狙って陸路を目指してるのは間違いない。状況にもよるけど、今回も包囲網作戦で行く。私たちが先行するからあなた達は後ろから付いて来て。道中でもう一度確認を取った後散開の指示を出すわ」

「了解!!」



 夜宵の指示に全員が間髪を入れずに答える。


 指示が的確で分かりやすいこともあるが、一切の疑問を抱かないところから夜宵に対する隊長としての信頼感が伺えた。


「そんなわけだから、今回も三咲に頼ることになっちゃうわ。いつもごめんね」

「こんなもの、隊長がいつも負っている負担に比べれば微々たるモノですよ。寧ろもっと頼りにしてください」



 夜宵は苦笑いを浮かべながら「ちゃんと頼りにしてるわよ」と返すと、再び表情を締めなおす。



「全員戦闘補具(ホバー)は付けたわね?じゃあ行くわよ!!」



 夜宵が先陣を切り、ホバーで海上を浮きながら前進していく。


 その後を三咲を筆頭に順次進んでいく。およそ総勢12名のグリッター達が支部を離れ、海を渡っていった。


 その中でただ一人、全員が居なくなったのを見計らって現われた者がいた。



「待っててね、お姉ちゃん、皆。私も皆の力になるから!」



 支給されたホバーに加え、全身に戦闘補具(バトル・マシナリー)を装着した朝陽が、遅れる形で海へと飛び出す。






●●●





 夜宵達が出撃してから数十分が経過し、既に陸地は見えないところまで進んでいるが、未だにメナスの姿は見えない。


 メナスといっても姿かたちは(何故だが分からないが)人間と同じだ。


 広大な海の中で人間の影を見つけるなど、不可能に等しい。


 その不可能を可能にするのが、『グリット』である。


「警報がなったタイミングとそこからの経過時間を考えればここら一帯のはず…三咲頼めるかしら」

「お任せください」



 夜宵の指示を受け、三咲が前に出る。そして眼鏡を外し、ソッと目を閉じて集中する。


 するとその全身が淡く輝きだした。



「探索範囲最大。必要情報:感知のみ。全方位拡大…」



 斑鳩隊の副隊長を務める樹神(こだま)三咲(みさき)。保有する自身の『グリット』は、『対敵生命体感知(エクスタミネーター)』。


 名前の通り生命体の反応を感知する能力である。しかし、その効果は感知だけに留まらない。


 一度感知したものは敵味方という形で自分の視野上に認識できるようになり(本人曰く味方は青、敵は赤色のようなイメージだという)、更に継続的にその情報を得ることが出来る。


 更に、一度に処理できる情報量には限界があるため複数体には使えないが、自身の視界に対象を固定し、より詳細な情報を添えて監視することも出来る。


 最大の特徴はその効果範囲にある。


 様々な効果を持つ三咲の能力だが、感知だけにその効果を特化した場合、その索敵距離は実に半径3kmにも届く。


 千葉県にかつてあったとされる某レジャー施設内であっても人ひとり見つけることも出来るほどだ。


 既に三咲は索敵を開始し、メナス達の感知を進めている。


 これまでも幾度の襲撃を三咲の能力によって解決してきた夜宵達にとって、まさに欠かすことのできない存在だ。



「…見つけた!方角十時の方向。距離1.5㎞。()1()0()。このまま直進して5分後に衝突します」

「皆聞こえたわね。陣形を組んで各自散開。私達先陣組が戦闘を始めたら、その間に準備を進めて!」

「「「了解!!」」」



 指示を聞くや否や、夜宵、三咲と二人、計四名を除き、残りの8名のグリッター達は散り散りに散っていく。



「さあ私達も行くわよ。何度も繰り返しになるけど、私達は戦いに行くんじゃなく…」

「「「生きるために立ち向かう!!」」」



 息を合わせ帰ってきた答えに、夜宵も力強く頷いてそれに応える。そしてホバーの出力を全開にして再び進みだし、三人もそれに続いていった。

※ここからは筆者の後書きです!興味の無い方は読み飛ばして下さいまし<(_ _)>



 ども、琥珀です!!


 【Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―】の第六星をお読み下さりありがとうございます!!

まだ本編が序盤も序盤なのであまり語ることもないため後書きに困りますね(まぁ読んでらっしゃる方いないかもしれませんが…)


 名前を考えるときって、結構気を使うというか、意味をもたせようとするんですよ。親が子に名前をつける…とは少し違うかもしれませんが、多分似たような感覚で大事に付けてます。だからこれまで書いた小説のキャラクターなんかの名前は、結構ちゃんと覚えてますねぇ…はぁい←


 本日もお読み下さりありがとうございました!!明日も十時頃に更新しますので、よろしくお願いいたします!!

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