第67星:教訓
国舘 大和(24)
再び根拠地に現れた青年。『軍』関東総司令部より『特級』の階級を与えられ、新司令官として正式に根拠地に着任した。右腕でもある咲夜とともに早速指揮にとりかかり、朝陽の『グリット』覚醒を促した。『グリッター』とのぶつかり合いを経て信頼を勝ち得た。
咲夜(24?)
常に大和についている黒長髪の美女。一度は必ずしも目を奪われる美貌の持ち主で、礼儀正しい。落ち着いたただ振る舞いからは信じられい圧力を放つことも。指揮官として司令官である大和を補佐する。並外れた戦闘能力でグリッター達の信頼を集め、彼女達に戦う術を伝える。
斑鳩 朝陽(18)四等星
千葉根拠地に所属する少女。『グリッター』としての力を秘めており、開花に至たらないまま戦場に立ったが、大和の言葉により、『グリット』を覚醒させ、仲間の命を救う。大和から信頼され、小隊長にも任命される。
斑鳩夜宵(22)三等星
千葉根拠地に所属する女性。所属している根拠地における『グリッター』達を束ねる部隊の元隊長。実力さながら面倒見の良い性格で、仲間からの信頼は厚い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は『夜宵小隊』の小隊長。
樹神 三咲 (22) 三等星
千葉支部所属。夜宵の率いる『グリッター』部隊の副隊長を務めている。生真面目な性格で、少し緩い隊長に変わって隊を締める右腕。戦場全体を見渡せる『グリット』で戦況を見渡す。大和方針に反対している。『三咲小隊』小隊長。
佐久間 椿(22) 三等星
千葉支部所属。夜宵率いる『グリッター』部隊メンバー。包囲陣形の時には後方隊の指揮を任せられる。洞察力に優れ、物体を還元して透明な罠を作る『グリット』を効率よく扱う。おっとりした口調が特徴。『椿小隊』小隊長。
【朝陽小隊】
譲羽 梓月(23) 四等星
冷静で優しいお姉さん。物事を達観気味に多角的に捉えるベテラン。
久留 華 (22)四等星
おっとりで実は大食いキャラも、人見が良い。経験豊富なベテラン。
曲山 奏(20)四等星
明るく元気で爽やかな性格。真面目な性格ながら物事の核心をつく慧眼の持ち主。
【椿小隊】
写沢 七 21歳 159cm 四等星
写真を撮るのが大好きで、同時に仲間のことをよく観察し、僅かに変化に気遣うことができる。
重袮 言葉 20歳 158cm 四等星
活発で女の子が大好きでいつもセクハラまがいの行いをするが、時折その表情に影を落とすことがある…
海藤 海音 16歳 151cm 四等星
誰に対しても物事をハッキリ言う性格だが、仲間のために行動する優しい心の持ち主。
【三咲小隊】
椎名 紬 22歳 四等星
ややキザッたい口調だが、経験も多く冷静な女性。
八条 凛 16歳 四等星
自信家で勝気な性格だが実際は素直で純粋な性格。
大刀祢 タチ 17歳 四等星
メナス襲撃後も密かに残った武家の家系で、礼儀を重んじる。根拠地の少ない常識者。
【夜宵小隊】
私市 伊与 19歳 四等星
年齢関係なく他者を慕う後輩系『グリッター』。近接戦闘を得意とする。
早鞆 瑠衣 18歳 四等星
十代には見えない落ち着きを持つ、お嬢様系『グリッター』。支援を得意とする。
矢々 優弦 16歳 四等星
幼少期を山で過ごし、『グリット』無しでも強い戦闘力を発揮する。自然の声を聞くことができる。
『…ナンダ?人間ドモガ…下ガリ始メタ?』
遠巻きに戦況を見続けてきた『エデン』は、自分の予想とは違う人間の動きに、困惑の表情を浮かべていた。
『アレホド意表ヲ突イタ襲撃ヲ受ケテ、下ガル選択肢ヲ選ブ余裕ガアルノカ?…イヤ…』
『エデン』は、撤退を始めた面々の動きに、規則性と規律性があることを感じ取っていた。
『違ウナ…私ト同ジヨウニ、ドコカデ指示ヲ出シテイル人間ガイルトイウコトカ』
『エデン』は生まれて初めての戦いのことを思い出す。
まだ得た知識も浅く少ない中、知性を持っていることを知らずにいた人間をジワジワと追い詰めていったあの時。
少しずつ表情が絶望へと変化し、そして最後には泣き叫んで絶命したあの瞬間を思い出すたびに、『エデン』は全身にゾクゾクとする快感を覚えていた。
しかし、その時も人間は予想外の粘りを見せていたことも覚えていた。
今にして思えば、その人間達にも優秀な指示を出す人間がいたということなのだろう。
『ツマリ…コレハ私達ノ戦イデモアルワケカ…オモシロイ。私ニモウ一度アノ快楽ヲ感ジサセテクレ!!』
『エデン』は凶悪な笑みを浮かべ、楽しそうにその戦況を眺め続けていた。
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「全小隊、後退を始めました!!夜宵小隊がやや出遅れましたが、誤差の範囲内です!!」
「併せて朝陽小隊も行動開始。次の作戦に移行します」
モニターと、卓上に映し出された映像を頼りに、咲耶達は直ぐに次の指示を届ける。
「メナスの動きは?」
「撤退を始めた各小隊にに釣られ、追撃を始めています」
「予想通りだな。メナスは確かに知性的な動きをしているように見えるが、動き方はどこか機械的だ。恐らく指示を出している個体がいるんだろう」
それだけでも相当恐るべき事態ではあるものの、大和は努めて冷静であった。
驚くとよりもなによりも、今は目の前のことに集中していた。
「今の様子を見ると、メナス側は加えての指示を出すことは出来ないようだ。それなら一気に勝利を持ち込むことができる。作戦の経過は?」
「朝陽小隊は配置につきました。椿小隊は間もなく到着。三咲小隊と合流後、準備に入ります」
「夜宵君にも急ぐよう伝えてくれ。この作戦の要の一つは彼女なんだ」
「了解しました」
タイミングを要とする本作戦において、余計なロスを減らすために大和は次から次へと指示を下していく。
その殆どを咲耶が受けつつ、対応しきれない部分を夕が処理していく。
指示は円滑に夜宵達に届き、まるで現場にいて指揮をしているかのように潤滑に進んでいく。
「…椿小隊到着しました。ですが周囲の被害状況もあり、想定より時間がかかるとのことです」
「出来る限り場所を選んだつもりだが、やはりダメか…必要時間は?」
「10分は必要かと…」
「5分で終わらせるよう伝えるんだ。市街地が近場にある以上、必要以上に時間を弄して被害を広げるのは避けたい」
10分という数字もかなりギリギリを告げたつもりであったが、大和はそれ以上の数字を提示してきた。
しかし、司令官である大和がそういう以上、咲夜がそれに逆らう理由は無かった。
「了解しました。椿小隊にはそのように伝えます」
「…というわけだ朝陽君達。申し訳ないが君達には5分間だけ追加で働いてもらうよ」
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「了解しました司令官。朝陽小隊、これより持久戦に入ります!!」
大和に指定されたポイントに到着した、朝陽小隊の面々の前には、既に椿達が誘導してきたメナスが迫ってきていた。
「通信で聞いてはいましたが、やはり凄い数ですね!!」
「レーダーの反応だけでも10体ほど…しかもこの後2小隊分のメナスも向かってくるわけですから…」
「ざっと見積もってぇ…30体くらいかなぁ??」
メナスの出現頻度はかなり高い。そもそもメナスは一時期地上を制圧していた。
『グリッター』の出現でその数を減らしたとはいえ、その総数は『グリッター』と大差ないだろう。
それだけの数がどこに隠れているのかは不明だが、その数が故に出現頻度が高いと言える。
しかし、その分なのか一回の出現時の個体数はこれまで多く無かった。一回の出現の平均的は5体程。多くても10体強であった。
しかし、今回の総数は計30にも及ぶ。それも同じ地区を狙っての襲撃である。動きの統率性や、狙いを持った計画性など、最早『知性』を持っているのは明白であった。
「大丈夫です。メナスの数が多くたって、私達にも多くの頼れる仲間がいます。司令官や指揮官だって!だから、みんなが居れば恐れることなんて何もありません!」
迫りくるメナスを前にしながら、笑顔で自分達を鼓舞する朝陽をみて、小隊の面々は思わず顔を見合わせる。
「何だか…朝陽さんがとても頼もしくなってますね…」
その力強い背中を見ながら、梓月は小隊として初めて出陣した時の朝陽を懐かしく思っていた。
「でも実際その通りですからね!!どれだけメナスが多かろうと強かろうと、私達であるなら何でも乗り越えられます!!」
同じような気持ちになりながらも、奏は朝陽の言葉を後押しするように力強く答えた。
「そうだねぇ。それに小隊長がそういうんだもの。私達はその導きについていくだけよねぇ」
華は、小隊長に初めて送った言葉を、今度は自分達に向けて納得するように呟いた。
「メナス視認!!数11!!作戦は持久戦です!!先陣は私が、皆さんは援護をお願いします!!」
「「「了解!!!!」」」
朝陽の言葉に小隊の面々が応え、その直後、朝陽の全身が輝きだす。
「『天照す日輪』!!」
朝陽は『グリット』を解放。例によって纏っていた衣類が白と青のワンピースへ。ズボンも同色に新調されより機動的なモノへと変わり、むき出しになった肩から足首までにかけて純白のマントがかけられていく。
髪はカントリースタイルで結われ、元の純黄色から輝かんばかりの金糸雀カナリア色へと変化していった。
「『光輝く聖槍』!!」
朝陽の呼び声に応じ、伸ばした手の先に光り輝く槍が現れる。
「朝陽小隊・小隊長、斑鳩 朝陽、押して参ります!!」
それと同時に朝陽は一気に加速。100m程あった距離を一気に詰める。
が、それを読んでいたメナスは朝陽に視線を向ける。メナスが視線を向けるのは、即ちレーザーの発射を意味する。
「っ!!朝陽さん!!」
メナスが朝陽の動きを読み切ったことよりも、朝陽の予想以上の加速力に判断が遅れた奏が叫ぶ。
しかし、既にメナスはレーザーの発射態勢に入っている。どれだけ急ごうとも、奏達が朝陽を救出することは不可能だろう。
「『一見気付かれていないように見えても、向こうは必殺の間合いを図っていた、という場合もある…』」
が、朝陽はメナスが自分の動きを読んでいることを読んでいた。
メナスがレーザーを放つ前にその頭部を掴み、加速の勢いを利用、遠心力で減速し、メナスの頭部を中心に円を描くようにして背後に回った。
『ア゛ア!?』
「『光の矢よ』」
メナスのレーザーは虚空に放たれ、背後から密接した状態で放たれた朝陽の光線は、メナスの身体を貫いた。
貫かれたメナスの身体はボロボロと崩れ始め、そして黒い塵となって消えていった。
「持久戦ですけど、減らせる敵は減らして良いですよね?」
朝陽は槍を回転させ、ピタリと止めて構えた。
「…やぁ〜、朝陽ちゃん言葉だけじゃなくて実力というか行動力もめちゃめちゃ頼りになってるよねぇ〜?」
「は、はい…何だか、迷いが吹っ切れたような…そんな充実した感覚を感じます」
二人が朝陽の強さに唖然とする中、奏はそれとは少し別のことに気が付いていた。
「朝陽さんが呟いたあの言葉…あれは…」
そう、朝陽が溢した言葉は、初の小隊実践の際に奏が教えた言葉だった。
朝陽は急激に成長し、力をつけている。しかし、その中に間違いなく自分達の言葉や経験が活かされている。
それを理解した時、奏はいつも以上にハツラツとした笑みが浮かび上がってきた。
「我々も負けていられませんね!!まだまだやれることはたくさんありますから!!さぁ、行きましょう梓月さん、華さん!!」
二番目の先陣を切った奏に即発されるようにして、梓月と華の二人もメナスとの戦いに挑んでいった。
※ここからは筆者の適当な後書きになりますので、興味のない方はどうぞ読み飛ばして下さいませ
ども、琥珀でございます
前回の更新は、急遽お休みを頂いてしまい申し訳ありませんでした…
実を言うと、まだ体調は治ってないです…
ただ休みにするのも私のタマスィーが許さず、どうにか更新できました笑
一先ず来週も更新予定ですので宜しくお願いします!




