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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
1章 ー朝陽覚醒編ー
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第五星:警報

登場人物紹介


国舘 大和(24)

朝陽が出会ったぶつかった青年。纏っている服装から『軍』の将校であると思われるが正体は不明。優しい笑みを浮かべるなど心優しそうな青年。しかしてその正体は…


斑鳩 朝陽(18)

千葉根拠地に所属する少女。『グリッター』としての力を秘めているが、開花に至っておらず、現在は指揮官の報告官を務めている。戦えないことに引け目を感じている。


斑鳩夜宵(22)

千葉根拠地に所属する女性。根拠地にいる『グリッター』を束ねる部隊の隊長。責任感が強く、仲間たちから信頼されているが、妹の朝陽が絡むとポンコツ化する。


樹神 三咲 (22)

 千葉支部所属。夜宵の率いる『輝く戦士グリッター』部隊の副隊長を務めている。生真面目な性格で、少し緩い隊長をサポートする右腕。


塚間義一(35)

千葉根拠地における指揮官で階級は少佐。『グリッター』に対する差別意識が強く、彼女達を平気や道具のように思い扱っている。

 義一に伝えられた翌日から、朝陽は夜宵達に隠れて特訓を始めた。


 与えられた戦闘補具(バトル・マシナリー)は『機槍きそう』と呼ばれる槍だ。


 その機能は、槍本来の特徴である突きではなく、先端に付けられた爆撃機能にある。


 槍の先端には無数の小さな穴が空いており、手元にあるレバーを引くことで穴から小型爆弾が噴出され、攻撃する。


 一つ一つの威力は地雷のように強く、一度に噴出される小型爆弾の数は最大で100を超える。質と量で攻める武器なのである。


 欠点は射程距離。小型爆弾は射出後数秒で起爆する。


 そのため、有効射程は爆破範囲を含め1mほどしかない。


 つまりこの武器はいかに距離を詰めて槍を近付けられるかが鍵となっている。


 加えて当然、脅威メナスの身体能力は人間のソレを大きく上回る。


 仮に能力に覚醒し身体能力が向上しようとも、純粋な身体能力だけでは勝つことは出来ないだろう。


 本来その身体能力の差を埋めるのが『星輝(グリット)』の力なのである。


 しかし、朝陽はその能力に目覚めていない。つまりはもとの身体能力のままで立ち向かわなくてはならない。


 その状態で脅威(メナス)に挑むなど、自殺行為にも等しい行いである。


 その不足部分も、戦闘補具(バトル・マシナリー)によって補うことで、戦闘を可能にしようとしていた。


 両手両足には瞬間的に加速力を生み出すジェットパックが装着され、胴体には姿勢を制御する機器が、更に額から下には情報処理各種機能を備えた黒色のバイザーゴーグルが装着されている。


 外見だけ見れば最早高性能のロボットに見える。実際、戦闘のほとんどを機器によって行うのだから、あながち間違ってはいないのだが……



「ッツ!!」


 戦闘の補助機能があるとはいえ、慣れない全身武装。その総重量は30㎏を超える。


 今まで通りの動きが出来るはずもないが、それでも日頃から鍛錬を欠かすことの無かった朝陽は、少しずつ動きに慣れつつあった。



「ふっ!!やっ!!」



 ぎこちのない動きではあるものの、慣れない武器を振り続けることで、少しずつ無駄を無くしていく。



「(ただ振り回すだけじゃ意味が無い。戦闘補具(バトル・マシナリー)の特徴を最大限に活かせないと脅威(メナス)との戦いには勝てない。もっと早く、正確に動かないと!!)」



 細かな動きを繰り返し、大振りだった動きを修正していく。


 元々武芸の才能があったのか、朝陽は早くも機槍をモノにしつつあった。



「(普通に振り回すんじゃダメだ!戦闘補具(バトル・マシナリー)の目的は当てることじゃない!射程距離へ侵入させないと!!)」



 実際のところ、朝陽の心中は不安半分、高揚感半分といったところであった。


 いきなりの実戦投入には驚きと不安を隠せないが、初めて輝く戦士(仲間たち)と一緒に戦えると言うことには、正直嬉しさを隠せずにいた。



「(皆の…お姉ちゃんの力になれる!!)」



 ()()()()()()()()()()()()()()、朝陽はその日一日ひたすらに機槍を振り続けた。





●●●





「おや、隊長?こんなところでどうされました?」



 自身の鍛錬を終えた樹神こだま三咲みさきは、汗を拭きとるために外していた眼鏡をつけると、視線の先に夜宵がいるのを見つけた。


 しかし、その様子はいつもの落ち着いた様子とは違く、どこかせわしないようだった。



「あぁ三咲、ちょうどよかった。朝陽を見なかった?」

「妹さんですか?いいえ、見ていませんが…」

「そう……」



 心なしか、その声には元気が無いように思えた三咲は、詳しく尋ねる。



「朝陽ちゃんがどうかしたんですか?」

「うん、なんだか最近私に隠れて何かしてるみたいで…ちょっと不安でね」

「そりゃ妹さんだって年頃の女のこなんですし、隠し事の一つや二つはあるんじゃないですかね?」



 基本的に隊長としての夜宵は頼れるお姉さんのような人物なのだが、妹が絡むと空っきしだ。心配のし過ぎで空回りばかりしてしまう。


 とはいえ、こんなにも溺愛されている朝陽のことを、少し羨ましいと三咲は思っていた。



「そりゃそうだろうけど…なんかまるで私を避けてるみたいなのよね。会ってもどこかよそよそしいっていうか…」



 夜宵にとってそれはさぞショックだろうと思いつつ、さては反抗期でも来たか…三咲はそう考えてからふと気が付いた。



「(ん?そう言えば私もここ最近は朝陽ちゃんに会うことが少なかったような気がしますね…今までは一日に何回かは会ってたし、こっちが気が付かなくても向こうから挨拶してくれたこともありますし…)」



 違和感を感じ取った三咲は、手を顎に当て、しばし考える。



「(これ、もしかして隊長を避けてるんじゃなくて、『輝く戦士(私達)』を避けてるんじゃ…)」



 理由は分からないが、どうやら朝陽が自分たちのことを避けていることを察した三咲。


 しかしこれを伝えれば、妹好きの夜宵はまず間違いなく取り乱す。


 現状夜宵がコンディションを崩せば隊全体にも相当な悪影響が及ぶと考えた三咲は、敢えてその推測を伝えることはしなかった。



「まぁ朝陽ちゃんは今一番難しい時期ですし、しばらくは放っておくことも必要なのでは?」

「放っておく…そう、そうよね…朝陽もいつまでも子どもじゃないんだもんね…」



 明らかに沈んだ雰囲気になってしまったが、本気で避けられているということを伝えて取り乱されるよりは良いだろう、と三咲は勝手に納得し、それ以上深く考えることはし無かった。







●●●






 それから一週間経った現在、小さな戦い一つ起こることなく、千葉の根拠地は静かな日々が続いていた。


 しかし、食堂の一角では暗く沈んだ雰囲気が広がっていた。というよりたった一人から放たれる負のオーラがその一帯を包み込んでいた。



「ね、ねぇ三咲さん…隊長、どうされたんですか??なんかここ最近物凄い沈んでるんですが……」

「いや、それが……なんかここ最近朝陽ちゃんに避けられているみたいでして。それが精神的にきているようで…」

「あ~…隊長妹さんのこと大好きですからね…でもどうして避けられているんでしょうか?」

「私にも分かりません。隊長を、というよりは私たちを避けているようにも思えるのですが、あなた達も最近朝陽ちゃんと会いましたか?」



 流石にこれ以上は放っておけないと考えを改めたのか、三咲は隊の部下の一人に尋ねる。



「朝陽ちゃんですか?そう言えばここ最近は会ってないような…」



  これで三咲の推測は確信に変わる。朝陽は夜宵ではなく『輝く戦士(自分たち)』を避けているのだ。



「(でも、何で私達を避けているのでしょうか?明らかに避けるようになったのはここ一週間くらいから…なら、なにかのきっかけがある筈なのですが……)」



 しかしいくら考えようとも、その根本の理由にいきつかない。



「(もしかして、原因は私達ではない?もし、私達を避けなくてはならない理由があるとすれば?例えば、私達に会うと不都合な理由があるとか……)」



 徐々に核心に迫る三咲。しかし、それ以上考える時間は残されていなかった。


 突如として支部内に警戒警報が鳴り響いたからだ。







●●●






「ちぃ!!大人しくなって来たかと思えばいきなりこれか!!」



 義一は苛立った様子で用意された席へ乱暴に座る。



「おい、状況を報告しろ!!」

「は、はい!場所は元九十九里浜近辺。個体数は10程。恐らく先日撃退した生き残りの脅威(メナス)から分裂した個体かと思われます」



 報告をするのは朝陽とは違う少女。報告官としては慣れていないのか、恐る恐るといった様子で義一の質問に答える。


 恐らくは朝陽の代わりに報告官を務めることになった少女だろう。その少女からの報告を聞いて義一はますます苛立ちを強くする。



「言わんことではない!!五体も逃がすからその倍の数になって戻ってくるんだ!!」



 苛立ちを目の前の机にぶつけ、僅かではあるが高ぶる気持ちを諌める。


 最も、報告をしていた少女には恐怖を与えているのだが。



「こっちの状況はどうなってる」

「は、既に斑鳩隊が出撃準備を開始。完了後は司令官の命令を待っています」

「よし、なら準備ができ次第すぐに出撃させろ。それから今度は一匹残らず殲滅しろとも伝えておけ」

「は…そ、それだけで宜しいのですか?」

「…あ?」



 瞬間、少女は心の中で「しまった…」と思う。



「なんだ、何か文句でもあるのか?」

「い、いえ、その…もう少し作戦内容であったり指示であったりを報告しなくて良いのかと…」



 内心で後悔しつつも、一度言ってしまったからには言い切ってしまった方が良い。 


 そう考えた少女はビクビクしながらも義一に尋ねる。



「そもそもの原因はお前らがメナスを逃がしたことが原因だろうが!!それに対していちいち俺の意見を求めるなんておこがましいんだよ!!黙って俺の言ったことを伝えてこい!!」

「は、はい!!申し訳ありません!!」



 荒げられた声に涙目になりながらも、少女はその指示を夜宵達に伝えるべく部屋を後にしようとした瞬間、



「ああちょと待て!!あともう一つ」



 立ち止まって振り返る少女に、義一はニィ…、と笑みを浮かべ、もう一つの指示を少女に伝える。



「斑鳩 朝陽にも伝令を頼む」


 ※この先は筆者のあとがきです。ご興味のない方は読み飛ばしてください<(_ _)>


どうも、琥珀です!!


 【Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―】の第五星でした!!少女の想いを変える出会いをしたら早速壊していくのが悪役の役目ですよね←


 そう言えば作品タイトルが読めない…というご指摘をいただきましたので日本語読みを書かせていただきますと、「エクラ エトワール」と読みます。

 ほぼそのまま読みですね。意味は【Eclat】が輝き、【Etoile】が星で、両方ともフランス語になります。これがそのまま副題に使われている感じですね。私の作品はキャラクターごとに言語を変えているので、気になった言葉は検索してみてください(笑)


 本日もお読みいただきありがとうございました!!明日も十時頃に更新しますのでよろしくお願いいたします!!

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