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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
4章 ーメナス異変編ー
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第58星:攻略会議

国舘 大和(24)

再び根拠地に現れた青年。『軍』関東総司令部より『特級』の階級を与えられ、新司令官として正式に根拠地に着任した。右腕でもある咲夜とともに早速指揮にとりかかり、朝陽の『グリット』覚醒を促した。新しい環境で新しいことに挑もうとするが…?


咲夜(24?)

常に大和についている黒長髪の美女。一度は必ずしも目を奪われる美貌の持ち主で、礼儀正しい。落ち着いたただ振る舞いからは信じられい圧力を放つことも。司令官である大和を補佐する。並外れた戦闘能力でグリッター達の信頼を集め、彼女達に戦う術を伝える。


斑鳩 朝陽(18)

千葉根拠地に所属する少女。『グリッター』としての力を秘めており、開花に至たらないまま戦場に立ったが、大和の言葉により、『グリット』を覚醒させ、仲間の命を救った。


斑鳩夜宵(22)

千葉根拠地に所属する女性。所属している根拠地における『グリッター』達を束ねる部隊の隊長。実力さながら面倒見の良い性格で、仲間からの信頼は厚い。戦いの傷は癒え、戦線へ復帰する。


樹神 三咲 (22)

千葉支部所属。夜宵の率いる『グリッター』部隊の副隊長を務めている。生真面目な性格で、少し緩い隊長に変わって隊を締める右腕。戦場全体を見渡せる『グリット』で戦況を見渡す。大和方針に反対している。


佐久間 椿(22)

千葉支部所属。夜宵率いる『グリッター』部隊メンバー。包囲陣形の時には後方隊の指揮を任せられる。洞察力に優れ、物体を還元して透明な罠を作る『グリット』を効率よく扱う。おっとりした口調が特徴。

「と、言うわけで!!これからお姉ちゃんの『グリット』制御するにはどうしたら良いの?検討会議を始めて行きます!!」

「「「おー!!!!」」」

「ま、まって!?そんな実直な会議をこんな大勢でするの!?」



 場所はいつもの食堂。夕食を終えすっかり定番の溜まり場となったこの場所で、夜間帯の業務を担当する『グリッター』以外ほぼ全員が集まっていた。


 ちなみに余談ではあるが、基本的に彼女達は根拠地内にある宿舎に寝泊まりしているため、多少遅くなろうと問題はない。


 勿論、翌日に響くような真似をすれば、大和はともかく咲夜からは手厳しく叱られるが…



「当然でしょお姉ちゃん!!皆がお姉ちゃんの力になりたいって思ってるんだから!!」

「そ、それはありがたいけど、これは何だか恥ずかしいような…」



 食堂に設置されたホワイトボードには、大きく『夜宵お姉ちゃんを助ける会議』と書かれており、夜宵が羞恥で顔を赤らめるのも無理はなかった。



「まぁ知恵が多いのは大事ですよ夜宵さん。この根拠地だけでも10名以上の『グリッター』がいるんです。必ず、何かしらの道がありますよ」



 ふと、夜宵は三咲の自分の呼び方が、隊長から夜宵さんに変わっていることに気が付いた。


 隊長と呼ばれなくなったことにどこか寂しさを感じながらも、それ以上に壁のようなものがなくなり、より親近感を抱けたことに喜びを感じていた。



「しかしアレですね!!実際問題、夜宵さんの『グリット』は特異系なだけあって、なかなか具体的な案が思いつきませんね!!」



 これだけ人が集まって尚全員に通る声で話したのは奏。その言葉は全員が思っていたことを代弁したものであった。



「特異系の『グリット』ってあまりいませんからね…同じく特異系の朝陽ちゃんはどうですか?」



 奏の言葉に同意しつつも、解決策を見出すべく梓月が朝陽に問いかける。



「私ですか?うーん…私の『グリット』は、あまり暴走するっていう感じはしないです。出力に関しても、私の場合は制限されているというか、自動的に必要量に調整されている感覚です」



 朝陽を指を顎に当て、自分の感覚をなんとか言葉にする。



「ふむ…話を聞くに、何だか夜宵さんとは真逆な感じがしますよね」

「朝陽とは同じ特異系の『グリット』ではあるけれど、扱う力は『光』と『闇』。それこそ真逆のものだわ。だから扱い方も真逆というのはある意味当たり前のこととも取れるわね」



 しかしこうなってしまうとまた手詰まり状態。その後も意見を出し合うが、話は上手く進まないでいた。


 そんな一行の様子を、椿と言葉の2人は遠巻きに見ていた。



「や〜夜宵ちゃんも復帰早々たいへんだね〜」

「…なぁんか他人事じゃないですか椿さん?我らが夜宵隊長のお悩み事なんですよ?」

「…そういう言葉ちゃんも、言葉に重みがないよ〜?」

「私はほら、『超能力系』のグリッターですからして…」

「じゃ、私もそういうことで〜」



 お互いに全く真意を語らず、しばらくの間無言が続く。



「まぁ夜宵ちゃんの『グリット』のことも気にかけてはいるんだけどさ〜。個人的には今、指揮官のことが私の中でトレンドなんだよね〜」

「へ〜?というと?」



 あまり興味を持ったようには思えない声色で、言葉が尋ねる。



「司令官も謎めいた人だけど、一番気になるのは同じ『グリッター』の指揮官。『グリット』は一瞬だけ見れたけど結局能力はよく分からず。けれど今日の発言の端々から、とんでもなく強い人であることは分かったわけで〜」

「え?そうなんですか?」



 話の腰を折るように返す言葉に椿は一瞬固まるもの、笑顔を作ったまま続ける。



「街を消滅させるとか、普通できないでしょ〜?夜宵ちゃんとの肉弾戦もほぼ圧倒。それにあの膨大な『闇』でさえも振り払える強力さ…相当な強者であることは間違い無いね〜」

「ふーん…まぁそれならそれで良いんじゃないですか?何か気になることあります?」

「…言葉ちゃんは、もう少し他人に興味を持った方が良いよ〜?…少なくとも、()()()()興味を持って欲しいな〜?」



 椿の言葉に、今度は言葉が黙り込む。それは先程とは違う、重苦しい沈黙だった。


 互いに互いを数秒見合ったあと、言葉は()()()()()()()ニコッと笑顔を浮かべた。



「何言ってるんですか椿さん!私は皆さんに興味津々ですよ!差しあたってはどうです?今日私の部屋に来ませんか?」

「遠慮しておく〜。私はまだキレイなままでいたいからね〜」

「人を汚れてるみたいに…」

「話を戻すけど、そこから気になる点は増えるんだよね〜」



 椿は自分の髪の毛をクルクルと指に巻き付けながら考察を続ける。



「気になること?」

「あれだけ強力な『グリット』、そして人目を惹くようなカリスマ性…それだけの人物、これまで知らない、気付かないなんてこと、あるのかな〜?」

「…ふむ、確かに…」

「それだけじゃ無くて〜、今日の指揮官の発言の所々も引っ掛かるところがあるんだよね〜」



 椿は今度は虚空を指でクルクルしながら続ける。



「街を消滅させた事件は検索したけど出てこなかった。『グリッター』によって引き起こされたそれだけの事件が過去のデータベースに無いなんて普通あり得ないよね〜。それだけでも一層謎が深まるというか、不思議だよね〜」

「…確かにそうですね」



 深く考察を続ける椿を、言葉は目を細くして横目で見る。



「(あれだけの発言からそこまで考察を…それにデータベースで過去の検索まで…抜け目のない、()()()()ね…この人の前では迂闊な発言ができないわ…)」



 密かな思惑を心の中で呟く言葉を他所に、椿も頭の中で更に考察を続けていた。



「(一番気になるのはそこじゃないんだよね〜。)」




『幸いなことに、当時の《グリッター》は私ひとりでありーーー』




「(これは一体どういう意味なんだろうね〜その時…ならまだしも、『当時の』…となると意味は変わってくるよね〜)」



 いつものようにどこかフワッとした笑みを浮かべながらも、その奥でどこか冷たさを感じるような思案を続けていた。



「(考えられるのは……指揮官が当時辺境みたいなところで一人で戦っていたか…いや、その線は薄いかな〜…と、なると、残ってるのは…)」



 椿はさらに目を薄め、どこをみるでもなく、一つの結論に至っていた。



「(ま〜、まだ推測の域を出ないか…でももし、この推測が当たってたら…私達、凄い人と一緒にいることになるよね〜)」



 自分の中の結論を胸に秘め、椿は小さく微笑んだ。



「椿さーん!!言葉さーん!!そんなところにいないで私達と一緒にお姉ちゃんを攻略しましょうよー!!」

「な…!?こ、攻略!?攻略するのは私じゃなくて私の『能力』でしょ!!」

「攻略っていう部分は直さないんですね!!」



 椿が目を向けると、そこでは朝陽達が手を振りながら自分達を招いていた。言葉は軽い笑顔でそれに応じる。


 笑顔で自分を呼び込む朝陽に笑みを向け、椿もそれに応じようとした時だった。


ーーーーー突如、一帯に警戒警報が鳴り響いた。


※本日の独り言はお休みさせていただきます


いつもお読みくださりありがとうございます!

次回の更新は月曜日を予定しておりますm(__)m

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