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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
3章 ー最高本部出向編ー
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第49星:天城とスフィア

国舘 大和(24)

新司令官として正式に根拠地に着任した温和な青年。右腕でもある咲夜とともに改革にとりかかり、朝陽の『グリット』覚醒を促した。そして全員の信頼を得ることに成功し、『小隊編成』という新たな戦術を組み込んだ。


咲夜(24?)

常に大和についている女性。一度は誰しも目を奪われる美貌の持ち主で、礼儀正しい。大人しそうな風貌からは想像できない身体能力を誇り、『グリッター』並びに司令官である大和を補佐する。現在は指揮官として彼女達に戦う術を伝える。


斑鳩 朝陽(18)

千葉根拠地に所属する少女。大和の言葉により、『グリット』を覚醒させ、初の実戦で仲間の命を救った。大和に指名され、新戦術の小隊長に任命された。


曲山 奏(20)

朝陽小隊のメンバー。明るく元気で爽やかな性格。サッパリとした人物でありながら、物事の核心をつく慧眼の持ち主。趣味はツーリング。


望生(16)

大和達の前に現れたメイド服姿の美少女。無表情ながら礼儀正しく、三人を最高本部へと案内する。その素性は謎に包まれている。


国館 飛鳥(18)

実兄の背後に飛び込んだ大和の実妹。最高本部の『グリッター』であり、最高司令官である護里直属の戦士でもある。その正体は日本に8人しか存在しない、護里が指名した最高の『グリッター』の称号である最年少の『シュヴァリエ』である。


唯我 天城


スフィア・フォート

「ん?おぉ、飛鳥じゃねぇか!」

「あ!射手島(いてじま)さん!!」


 角から出てきたのは3人の影。その先頭を歩いていた女性に、飛鳥が親しげに話しかける。


「おー飛鳥。相変わらず元気そうじゃねぇの。ちゃんとやってんのか?」

「モチロンだよ!!ボクはこれでも働き者なんだからね!!」


 元気よく返す飛鳥に、女性ー射手島 一羽(かずは)は「そうかそうか」と豪快に笑う。


 外面状は、ともかく豪快そうな女性というイメージが強く出ている。染め上げられた長い金髪を不恰好に両サイドで束ね、『軍』から支給された、本来白を基調とした服も黒くコーティングされている。


 片目には黒い眼帯がつけられており(こちらはファッションではなく本来の意図で用いられている)、それがより一層破天荒さを強くしていた。


 次いで射手島は望生に目を向けるが、望生は軽く会釈するだけの挨拶に留め、射手島も同程度の挨拶だけ返した。


「んで、随分と懐かしい顔が居んじゃねぇのよ」

「お久し振りです、射手島さん。相変わらずお元気そうで何よりです」

「かーーーーっ!!相変わらずお前は堅いというか、微妙な壁を作ったような話し方すんなぁ!!」


 射手島は乱暴に髪を掻きむしる。


「ま、いいや。お前の()()()()はいつか剥がしゃいいしな。今はなんだっけか?どっかの司令官やってんだったか?」

「えぇ、千葉の根拠地で司令官をやらせていただいたます」

「はぁん…そりゃご苦労なこって…」


 自分で聞いておきながら、射手島はさして興味ないように返す。


「射手島さんこそ、これから訓練ですか?」


 大和はその後ろに控える二人の人物に目を向けていた。今まで会話に入り辛そうにしていた一人が、大和に話しかける。


「あ、あの、お久し振りです大和さん。私を覚えていらっしゃいますか?」


 一人は20歳くらいの女性。大人しそうな面持ちで、ただ立っているだけでも気品溢れるお嬢様のような雰囲気を醸し出していた。


「勿論覚えているよスフィア。また少し凛々しくなったんじゃないか?」


 女性ースフィア・フォートーは少し照れた様子で腰までストレートに伸ばされた薄緑色の髪を弄っていた。


「…君も、だいぶ立派になったみたいだね、天城」


 その更に後ろに控えていたのは、目つきの悪い青年、唯我 天城(ゆいが あまぎ)だ。元来目付きが悪いというよりは、大和を睨みつけているようにも見える。


「…あんたも、上からモノを言えるくらい随分と偉くなったみたいだな」

「こ、こら天城!!」


 敵意を微塵も隠しもせず、天城は大和に悪態を吐く。慌ててスフィアが宥めるが、手遅れだろう。大和は当然のこと、後ろでは飛鳥が少しムッとした顔で天城を見つめていた。


「まぁた天城は敵を作るようなこと言って!!だからなかなか昇進できないんだよ!?」

「うるさいな!!俺は実力で人に認められたいんだよ!!お前らみたいに愛嬌でのし上がるなんて冗談じゃない!!」


 激しく言い返す天城に、飛鳥と射手島はやれやれと言った様子でため息をついていた。


「ほんと、『グリット』は強力で将来有望、加えて数少ない男の『グリッター』ってだけあって実力は申し分ないんだが、このキツイ性格がなぁ…」


 天城はキッ!と強く射手島を睨みつける。


「性格なんて関係ないです!!俺は実力で一等星…そして『シュヴァリエ』にまで上り詰めてみせる!!」


 恐らく何度も行われてきたやりとりなのだろう、射手島は天城の剣幕をハイハイと軽くあしらっていた。


「まぁそういうわけだから、この『シュヴァリエ』を目指す君とスフィアの二人をこれから特訓してくるわけだ」

「ははは…成る程」


 射手島 一羽は最高本部所属の一等星『グリッター』である。同時に、経験豊富である一羽は最高本部における教官にも任命されている(千葉根拠地における咲夜のような役割)。


 元々本部には力量の高い『グリッター』が配置されているが、中には天城やスフィアのような将来有望視されている者も配属され、専任の教官の指導のもと力を付けていく。


 通常は各本部に配属され、そこで貢献することや活躍することで本部配属となるが、天城達はそのケースから外れ、最初から本部に配属することを前提に訓練を積んでいる。謂わば優待的な出世コースということにる。


 経緯はやや異なるものの飛鳥もこの訓練の道を通ってきている。


 通常は二年かけて本部配属となるところを、飛鳥は半年で訓練内容をクリア。更には本部配属後の活躍と高感度も他者と頭一つ抜けており、過去最短で一等星へ昇格。これに護里も納得し、最年少の『シュヴァリエ』が誕生したのである。


 ちなみに、飛鳥と天城、そしてスフィアの3人は『軍』入隊時期こそ異なるものの、訓練を始めた時期は同じ頃という同期の仲である。


 だからなのであろうか、純粋に尊敬の眼差しを向けるスフィアに対し、飛鳥を見る天城の目はどこか嫉妬じみたものになっていた(最も本人は全く気にしていないのだが)。


 そしてその目は、大和にも向けられていた。


「じゃあボチボチ行くか二人とも。今日は昨日よりももっと楽しませてくれよ」

「はい!!射手島さんのご期待に添えるよう頑張ります!!」


 簡単な挨拶だけ済ませ、射手島とスフィアの二人はその場から離れていく。天城もそれについていく形で歩き出し、大和の前で一度足を止め、そして大和にだけ聞こえるような声で呟いた。


「俺はぽっと出のアンタには負けない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」


 それだけ言い残し、天城は駆け足でその場を去っていった。


「もーホントに失礼だよね!!ボクに悪態をつくならまだしも、お兄ちゃんに悪感情を抱くのなんてズレてるよ!!」


 自分にではなく大和を悪く言われるのに、飛鳥は腹を立てている様子だった。


「まぁあまり悪く言ってやるな。天城がそう思うのも当然だ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、俺は司令官になってる。天城からすれば身内贔屓だとも思うさ」

「身内贔屓じゃないからボクは怒ってるんだよ!!お兄ちゃんは護里さんに認められて司令官になったのに、それを勝手な思い込みだけで嫉妬してさ…」

「差し出がましいかも知れませんが、飛鳥の仰る通りですご主人様。ご主人様の優しさや思いやりの心は、私どこまでも尊敬致しますが、時には強く言い返さないとどこまでも勘違いしたままになってしまいます。何より私もご主人様が悪く言われたままではあまり気分が良くありません」


 飛鳥のみならず、普段はあまり意見を言わない望生にまで言われ、流石の大和も困った表情を浮かべる。


「まぁ…そうだな。俺も二人を悪く言われたら良い気分はしないし、もし今度言われることがあったらキチンと話してみることにするよ」


 大和の答えに、二人は強く頷いた。天城の態度に関してはあまり気にしていなかったが二人が真摯に自分を想ってくれていることに、大和は心の奥底で喜びを感じていた。


「さて、仕切り直して何か食べに行こうか。二人とも食べたいものはあるか?」

「「『クオリティパフェ』が食べたい!!」です」


 大和の問いに、二人は物凄い剣幕で食いつく。その圧力に押されながら、大和はどうにか返事を返す。


「く、『クオリティパフェ』?ってなんだ?」

「お兄ちゃん知らないの!?今、日本中で有名な最高のパフェなんだよ!?全国で売り出されて行列必須な最高のパフェだよ!?」

「最高級のイチゴやメロン、ブルーベリー、更にはアイスやクリーム、プリンにソースまで、全てが一級品で備え付けられた、まさに至高のクオリティで作られたパフェですご主人様」


 先程に負けず…いや先程以上に生き生きとした様子でパフェの説明をする望生。何となく負けた気分に浸りながら、大和はそのパフェを想像する。


「な、成る程…?まぁ確かに素材を聞くだけなら正にトップクオリティだけど…何だか一周回って不味そうじゃないか…それ…」

「「分かってないなぁお兄ちゃん!!」ですご主人様」


 火に油。二人は更に強い剣幕で大和に詰め寄る。


「一見ただただ高級品を詰め込んだだけのパフェに見えるけどそうじゃないんだよ!!」

「アンバランスさの間にあるほんの僅かな絶妙なラインを読みきり、適量な素材同士が奏でるハーモニはまさに神のなせる業…クオリティ・パフェを創った甘草 泉さんにしか創り出せない一品なのです」

「いや望生喋りすぎだろどんだけ好きなんだよ…いやちょっと待てよ?」


 大和はある矛盾に気がつく。


「そのパフェは甘草って人しか作れないんだよな?なのに何で全国で売り出せるんだ?」

「……」

「……」


 大和の指摘を受けて、二人は互いに互いの顔を見る。しばらくして二人は無言で大和の服の袖を掴み引っ張る。


「お、おいなんだよ二人とも!?俺今なんか変なこと言ったか!?どうして無言なんだ二人とも!?そもそも二人とも俺が甘いもの苦手なの知ってるよな!?お、おい!!な、何か言ってくれーー!!」


 結局引きずられるようにして、大和は二人とともにクオリティパフェ(2500円×3)を食べるはめとなった。


※本日は重要なお知らせが記載されています!!お時間が御座いましたらご一読お願いします!!






ども、琥珀でございます!!

本日はお知らせコーナーです!

来週23日と27日の更新はお休みさせていただきます…

少々仕事の都合で細々とした作業が出来ない可能性が高いからです…

詳細は次回の更新時にまた掲示する予定です!


誠に申し訳ありません…

次回も宜しくお願いします!!

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