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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
11章 ー強化個体出現ー
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第436星:速撃

神宮院 アンナ

 レジスタンスの穏健派、『ジェネラス』のリーダー。従来の『レジスタンス』そのもののリーダーでもあったが、イクサと決別したことで勢力が二分。決別した末、敗北した。穏健派だけあり、平和的な思考を持ち主。言葉で人の心を動かすタイプで、心から『グリッター』と人の平等な世界を願っている。イクサに敗北したことで行方をくらませていたが…?


樹神 三咲

千葉根拠地所属。生真面目な性格な反面融通が利かないことも。戦場全体を見渡せる『グリット』で戦況を冷静に判断、指揮する。当初は大和方針に反対していたが和解し、現在は『三咲小隊』隊長を務める。


佐久間 椿

千葉根拠地所属。洞察力に優れ、トラップを作る『グリット』を扱う。『アウトロー』との戦いでかつての自分と葛藤するが、三咲とのやり取りで再び『グリッター』としての姿を取り戻す。『椿小隊』隊長。



【椿小隊】

写沢 七

 写真を撮るのが大好きで、同時に仲間のことをよく観察し、僅かに変化に気遣うことができる。物体をコピーする『グリット』を持つ。


重袮 言葉

 活発で女の子が大好きでいつもセクハラまがいの行いをするが、時折その表情に影を落とすことがある…対象に関係なくトラウマを想起させる『グリット』を操る。


海藤 海音

 誰に対しても物事をハッキリ言う性格だが、仲間のために行動する優しい心の持ち主。僅かな予備動作から動きを直感的に読み取る『グリット』を持つ。


【三咲小隊】

椎名 紬

 ややキザッたい口調だが、経験も多く冷静な女性。相手と視線を合わせることで、相手と視線を交わすことで、視界を共有する『グリット』を持つ。


八条 凛

 自信家で勝気な性格だが実際は素直で純粋な性格。触れた物体に自身の『エナジー』を纏わせ、その物体をの向きを操る『グリット』を持つ。


大刀祢 タチ

 メナス襲撃後も密かに残った武家の家系で、礼儀を重んじる。根拠地の少ない常識者。攻撃した動線上に斬撃状の『エナジー』を残し攻撃する『グリット』を持つ。

「時間をかける必要はありません!一気に仕留めますよ!」



 三咲の言葉かけと同時に、後衛組の三咲、紬、凛、七の四人が一斉射撃を仕掛ける。


 それを見計らって弾幕を避けるようにしながら、椿が前衛の海音とタチの元へと近付いていく。



『ァ゛ア゛!!』



 しかし、ここで一つの計算外の事態が生じる。



「なっ!?」



 先程と同じように弾幕を張ることで『ユニティメナス』の動きを封じる作戦であった三咲達であったが、その計画は早くも狂った。


 三咲達の放った弾丸に対して、『ユニティメナス』は回避行動に出たのである。



「(しまった…!さっきの戦いを見てれば、流石の《メナス》と言えど対応してくる!それも見越して行動を起こすべきだった!)」



 先程の作戦が上手く運んだことで、事を簡単に考えてしまった己の迂闊さを悔やみながら、三咲は回避行動に移った『ユニティメナス』に追撃を仕掛ける。



「ッ!早い…!!」



 しかしそこはやはり強化された個体の『ユニティメナス』。


 単純な回避行動に絞られた動きは非常に素早く、目で追うのが精一杯であった。



「(このままだと、椿が合流するまでに反撃される可能性がある…!一度作戦を練り直すべき…!?)」



 攻撃を続けながらも、作戦の内容に迷いが生じ始めた三咲。


 そんな三咲に対し、一つの通信が耳元に届く。



『大丈夫だ三咲君。迷わず、作戦を遂行するんだ』

「!?司令官!?」



 その声は大和のものであった。



「ですが司令官!!このままでは『ユニティメナス』に反撃を許してしまいます!!そうなれば、現状孤立している椿が…!!」

『分かってる。けれど心配ない。椿君だって、何も考えずに合流をしようとなんかしてないさ』

「え…?」



 攻撃を続ける中で、間も無く合流しようかというところまで迫った椿。


 それを見つけた『ユニティメナス』が、回避行動をしながら、椿に照準(視線)を合わせる。



「ッ!!椿!!」



 攻撃を危惧した三咲が叫ぶが、当の本人である椿は、小さく笑みを浮かべていた。



『椿君、用意は出来てるね』

「勿論ですよ〜。さっきの三咲ちゃん達の弾幕攻撃を見てからの回避行動、絶対にすると思ってたからね〜」



 そして片手を上げると、パチンッと指を鳴らした。


 次の瞬間────バチバチバチッ!!



『──カッ!?ァ゛…ァ゛ア゛!?』



 移動を続けていた『ユニティメナス』の全身に電気が走り、その動きを止めていた。



「『鮮美透涼の誑惑(ラオム・クラルハイト)』。攻撃をかわす為に絶対回避運動はすると思ってたからさ〜。それだけ動き回るのに、罠を仕掛けない訳が無いよね〜」



 大和と椿は『ユニティメナス』の動きを読んでいた。


 そこで自分達の立ち位置を少しずつずらしながら、自身が仕掛けておいたままの罠の場所に誘導していた。


 発動したのはシビレ罠。使用したのは強力な電力を発する超小型の電源装置のトラップで、あの【オリジン】でさえ身体をまともに動かすことのできなかった代物である。


 強化されたとはいえ【オリジン】には遠く及ばない『ユニティメナス』の動きは、完全に止まっていた。



「(すごい…この個体とは初めて対峙したはずなのに、司令官は早くもその特性を掴んでる!だからこそ出来た作戦…!!)」


 『ユニティメナス』が痺れて動きを止め、三咲が大和の作戦に感銘を受けているその間に────



「椿合流〜三咲ちゃん。『ユニティメナス』の動きが止まってるうちに、弾幕張っちゃって〜」

「ッ!!了解!!」



 椿が海音達と合流に成功。そしてその声で我に帰った三咲は、後衛のメンバーと共に再び射撃を再開した。



『──ッ!!ァ゛ア゛!!』



 電撃による罠の痺れもまだ取れない状態で、三咲達の射撃もまともに浴び続け、流石の『ユニティメナス』も動くことが出来なかった。



「行くよ、海音ちゃん、タチちゃん」

「よっしゃ!!」

「はい!!」



 そして、合流してからそのまま前進を始めた椿に、海音とタチの二人もついていく。



『ク゛…ァ゛…ァ゛ア゛!!』



 接近してくる三人に脅威を感じたのか、『ユニティメナス』はこれだけ追い詰められた状態にも関わらず、顔だけを椿達に向け出した。



「(これだけ仕掛けても尚動けるなんて、これは相当だね〜)」



 目が向けられただけで殺気を感じ取った椿は、その殺気に当てられないように二人の前に立つ。



「二人とも〜、多分レーザー攻撃が来るよ〜。『耐熱(ゲトゥルト・)反射鏡(シュピーゲル)』用意〜」

「げっ!?あの状況で撃ってくるのかよ!!」

「驚くのはあとだ!!反射鏡を展開するぞ!!」



 椿の言葉を聞いて驚く海音を嗜め、タチ達は急いで『耐熱(ゲトゥルト・)反射鏡(シュピーゲル)』を取り出し展開した。



『ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!』



 展開を終えた直後、椿の予想通り、『ユニティメナス』はレーザー攻撃を仕掛けてきた。


 流石に自由の効かない状態であるため、精度は高くなかったが、それでも時折レーザーは椿達の『耐熱(ゲトゥルト・)反射鏡(シュピーゲル)』に直撃していた。



「うっお!?ホントに攻撃してきた!!バケモンかよ!!」

「それだけ今回の『メナス』が規格外ってことなんだろうね〜。でもレーザーは少しでも私達に当てるために拡散させてるみたいだから、『耐熱(ゲトゥルト・)反射鏡(シュピーゲル)』が破られることは無いと思うよ〜」



 椿の言う通り、時折レーザーは直撃するものの、その威力は高くなく、当たった時の衝撃も強くなかった。



「わざわざ迂回する必要はない。このまま一気に突っ込むよ〜」

「「了解!!」」



 椿の指示に二人は従い、三人は勢いそのままに突っ込んでいく。



『グッ…ァ゛ア゛ア゛!!』

「…!!椿の罠が解けた!!弾幕、もっと張って!!」



 『ユニティメナス』が動き出したのを見て、三咲が後衛組に更なる攻撃指示を出すが、『ユニティメナス』はまたもこれを力技で突破した。



「ッ!!弾幕を強引に押し返して椿達に接近を!?」



 『ユニティメナス』の外皮は硬く、『グリットガン』の威力だけでは動きを封じるには不十分であった。



「椿!!気をつけて!!『ユニティメナス』が接近してる!!」



 耳元の通信機に手を当て、前進を続ける椿達に状況を伝える。


 両者の距離はもう100mを切っており、直接の対峙までは数秒もかからないだろう。


 そして、その時はやってきた。



『ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!』



 ゼロ距離まで接近した『ユニティメナス』は、目の前に展開された『耐熱(ゲトゥルト・)反射鏡(シュピーゲル)』目掛けて、思い切りよく拳を振り下ろした。


 レーザー攻撃には強い『耐熱(ゲトゥルト・)反射鏡(シュピーゲル)』ではあるが、物理攻撃に対してはそこまで強く計算されていないため、その名の通り鏡のように簡単に砕ける。



『!?ァ゛ア゛!?』



 その直後、『ユニティメナス』の表情が驚きに染まった。


 かち割った鏡の内側に、椿()()()姿()()()()()()()()()()()()()



「鏡に意識を集中させれば、絶対に視野が狭まると思ったよ〜」



 その声は真横から聞こえてきた。


 『ユニティメナス』が声のした方へと振り返ったのと、それが罠であると気付いたのは同時であった。


 振り返った瞬間、反対方向から強い衝撃が走り、『ユニティメナス』のバランスが崩れる。


 視線だけそちらに向けると、そこには拳を振ったあとの海音の姿があった。



『カ゛…ァ゛ア゛!!』



 身体をくの字に曲げながらも、『ユニティメナス』は触手を展開。


 距離の縮まった椿達を、触手で一掃しようとしていた。



「それも、計算済みだ」



 更に後方から別の声。


 ヒュン────という音がしたかと思うと、次の瞬間、『ユニティメナス』が展開した触手が全て切り裂かれていた。



「影漆──刻斬飛影。この距離でこれだけ分かりきった行動なら、断ち切るのは容易いな」



 再び視線だけをそちらに向けると、そこでは刃を振るったあとの姿のタチが立っていた。



「悪いね〜。今回の戦闘は千葉根拠地(私達)の戦い方を真似てきたんだろうけどさ〜」



 そして、最後に視線を動かしたのは、最初に視線を向けた方角。


 そこでは、腕に武器を備え付けた椿が、構えた状態で立っていた。



「こちとらもう何ヶ月も司令官のもとでこの形でやってるからさ〜」



────ガチャン!!という装填音とともに、杭が武器にセットされた。



「付け焼き刃のチームワークに、やられるわけにはいかないんだよね」



 そして、『パイルグリット』を思い切りよく『ユニティメナス』の胸元に突きつけ────ガシュン!!


 その杭を撃ち放った。



『カッ…!?カ゛…ァ゛ア゛!!』

「…!!椿さん!!まだだ!!」



 確実に胸を貫いたにも関わらず、『ユニティメナス』は身体を震わせながらも、椿に攻撃を仕掛けようとしていた。



「甘いって。計算通り。うちの司令官の方が何枚も上手だね」



────ガチャン!!


 椿の腕に付けられていた『パイルグリット』から杭が薬莢のように弾かれ、そして次の杭がセットされていた。



「この為の七ちゃんのレプリカだよ。残念だったね」



 今度の狙いは一度貫いた胸ではなく、動きが鈍り、隙だらけとなった顔であった。



「今度あったらもっと厄介な敵になるんだろうけど、その時には私達ももっと成長してる。いくらでもかかってきなよ」



 そして『パイルグリット』を顔とゼロ距離まで近付け、椿は容赦なく杭を放った。


 胸、そして頭部を貫かれた『ユニティメナス』は、今度こそその身体が黒い塵となって消滅していった。



「『ユニティメナス』、討伐完了」



 椿の報告により、対『ユニティメナス』との戦いは、千葉根拠地の勝利に終わった。

※後書きです






ども、琥珀です。


年が明けたかと思いきや、早くも一月も終盤。

早いものですね。


歳は取りたくないものですね…月日が経つのが早く感じます…


もっと歳を取ったら、さらに早く感じるようになるんでしょうか…


怖いですね…


本日もお読みいただきありがとうございました。

次回の更新は水曜日を予定しておりますので宜しくお願いします。

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