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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
3章 ー最高本部出向編ー
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第45星:飛鳥

国舘 大和(24)

新司令官として正式に根拠地に着任した温和な青年。右腕でもある咲夜とともに改革にとりかかり、朝陽の『グリット』覚醒を促した。そして全員の信頼を得ることに成功し、『小隊編成』という新たな戦術を組み込んだ。


咲夜(24?)

常に大和についている女性。一度は誰しも目を奪われる美貌の持ち主で、礼儀正しい。大人しそうな風貌からは想像できない身体能力を誇り、『グリッター』並びに司令官である大和を補佐する。現在は指揮官として彼女達に戦う術を伝える。


斑鳩 朝陽(18)

千葉根拠地に所属する少女。大和の言葉により、『グリット』を覚醒させ、初の実戦で仲間の命を救った。大和に指名され、新戦術の小隊長に任命された。


曲山 奏(20)

朝陽小隊のメンバー。明るく元気で爽やかな性格。サッパリとした人物でありながら、物事の核心をつく慧眼の持ち主。趣味はツーリング。


望生(16)

大和達の前に現れたメイド服姿の美少女。無表情ながら礼儀正しく、三人を最高本部へと案内する。その素性は謎に包まれている。


早乙女さおとめ 護里まもり

『軍』における『グリッター』最高権力、最高司令官の女性。『グリッター』を仲間以上、家族のように思っており、子供達と呼ぶ。日本だけに留まらず世界に存在する『グリッター』から人格者として知られ、一目置かれている、正に『グリッター』の母。

 天星との会談を終えた大和達は、部屋を出て帰途につく準備をしていた。その中で、大和だけはやや険しい顔付きをみせていた。


「(一先ずバレた様子はないが、油断はできないな。咲夜を探しているのには何か裏があるはず…もう少しここで探りを入れたいが…)」

「あの…司令官…?」


 と、そこへ二人が心配そうな表情で大和を見ていることに気が付く。本人も無自覚なうちにまた考え過ぎてしまっていたようだった。


「あぁ、いやすまない。考え込むのは悪い癖だね。それよりも二人とも、帰りの船まで時間がある。折角だし少し観光でもしていくかい?」

「で、でもお仕事でここに来てるのに観光なんて…」

「良いですね!!折角東京にまで来たのですから観て行かなきゃ損ですしね!!」


 真面目な朝陽が戸惑っていると、それを遮るように奏が観光に乗り気になる。その自由さに呆然としつつも、自身も観光をしたいという気持ちがあったのか、確認するように大和を見てくる。


 元々大和が言い出したことであり、大和は「良いよ」という意味を込めて頷いた。


 次の瞬間、朝陽はパアッと笑みを浮かべ大きくお辞儀した。


「ありがとうございます司令官!!じゃあ私スイーツの美味しいお店に行ってみたいです!!」

「それよりもモータースポーツ競技場に参りましょう朝陽さん!!一度都会のバイクを見てみたかったのです!!」


 二人の強い要求に戸惑いつつも、ようやく年頃らしい素直さが出てきたことに、大和は喜びを感じていた。


「おーーー…」


 と、そこへどこか遠くから微かな声が大和達の耳に届く。


「にぃーーー…!!」


 それはグングンと近くなっていき、気が付けばすぐ背中にまで近寄って…


「ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」


 そして大和の背中に衝突した。まるで暴走機関車並の速度で引っ付かれた大和は、衝突してきた影と共になす術なく吹っ飛んでいく。


「し、司令官!?奏さん大変です!!司令官が襲われました!!」

「やー大丈夫だと思いますよー」


 深刻そうに叫ぶ朝陽とは対照的に、奏は笑みを崩さず軽い口調で答えた。二人の視線の先では今なお飛び続ける二人の姿が…


 と、そこで大和の背中にくっついてた影が離れ、華麗な宙返りで前に出ると、大和を受け止めズザザザ…という音ともに見事に着地をした。


 受け止められた大和の姿勢は、正にお姫様抱っこのソレ。抱きかかえている影ーーー少女が160㎝に届くか届かないかの背丈であるため、非常にアンバランスな姿となっている(大和の身長は181㎝)。


 ちなみに大和は恥ずかしさのあまり顔を隠しているため、ますます乙女チックな感じとなっているのは余談である。


「あっはは!!やー嬉し過ぎて勢いつけ過ぎちゃった!!大丈夫だったお兄ちゃ…ん?お兄ちゃんだよね?」

「そこは自信持ってくれよ…もし俺じゃなかったらどうするつもりだったんだお前…」


 いやぁ〜と照れながら笑う少女に、やれやれとため息をつきながら、大和は地面に足をつける。そこへ、遅れて朝陽と奏の二人がやってきた。


「司令官ご無事ですか!?あの、そちらの方は…」

「や、心配かけて悪かったね。こっちはボクの妹の飛鳥だ」

「ぷーーー!!お兄ちゃん何その話し方気持ちわr…イタタタタゴメンゴメンなさい!!」


 少女、飛鳥のコメカミをグリグリとしながら、大和は二人へ挨拶を促した。


「初めまして!!最高本部所属『グリッター』の飛鳥18歳です!!好きなものは運動とお兄ちゃん!!宜しくお願いします!!」


 元気はつらつと言った様子で挨拶をしてくる飛鳥に気圧され、朝陽はなかなか言葉が出てこない。が、しかし、ここには元気では負けていない人物がもう一人いた。


「初めまして飛鳥さん!!司令官の妹さんとお会い出来るなんて光栄です!!大和司令官の元で戦わせて頂いております千葉根拠地の曲山 奏と申します!!好きなものはツーリングです!!宜しくお願いします!!」


 同じくハツラツとした声で返事を返すと、それだけでウマが合うと感じたのか、二人はガッチシ握手を交わした。


「え、えと…同じく大和司令官のもと千葉根拠地で戦わせて頂いてます、斑鳩 朝陽です…す、好きなもの?はスイーツです…宜しくお願いします…」


 と、不意に飛鳥はグリンと首を曲げ、朝陽を見つめた。その動きに思わず朝陽は肩をビクつかせるが、朝陽を見る目が非常に好意的なものであることに気が付く。


「お兄ちゃんからの報告で見ました!!この間の戦い凄かったです!!こう…ビガーってなって、ギュインギュインって動いて、グワーって倒して…」

「意味のわからない擬音を使うんじゃないよ…」


 朝陽も正直何を言っているのか分からなかったが、それでも飛鳥が自分に好意を向けてくれているのは十分に伝わってきた。


「その報告を見てからずっと会いたかったんです!!年も近いですし、仲良くしてください!!」


 すると、飛鳥は奏と同じように朝陽の前へと手を差し出してきた。朝陽は今度は躊躇うことなく、その手を強く握りしめた。






●●●






「それで?お前は何でここにいるんだ飛鳥?」


 簡単な自己紹介を終え、大和は改めて飛鳥に用件を尋ねる。飛鳥は「うーん」と考える素振りを見せ…


「そこにお兄ちゃんがいるから?」

「そういうのは良いから」


 本人のこれまでの言動から、冗談なのかそうで無いのか分からない発言に、大和は素早くツッコミをいれる。


「ぶー…釣れないなぁお兄ちゃんは。久々の再会なんだよ?もっとこう…ないの!?」

「朝陽、奏、この辺には美味しいお店がたくさんあってな…」

「ゴメンなさいゴメンなさいちゃんと理由あるから聞いてください」


 二人を連れて去ろうとする大和の背中を掴み、飛鳥は必死に止めようとする。


「最初からちゃんと言えよ…」

「うぅ…お兄ちゃんがドライだ…昔はもっと優しかったのに…」

「俺にももう立場ってものがあるんだよ。それで、理由ってなんなんだ?」


 飛鳥は尚もぶーたれた様子を見せていたが、ようやく本題を話し始めた。


「えっとね、護里さんがお兄ちゃんに会いたいんだって。あと朝陽さんと奏さんの二人にも」

「護里さんが?…あぁでも護里さんもあの日あの場所にいたから、ボク達がここにいるのは知ってるのか…」


 意図は分からないものの、敬意を察した大和は一つ頷いた。置いてけぼりの二人は、その会話の内容よりも出された名前に身体を震わせていた。


「護里…護里…もしや…」

「あ、あの司令官…先程からお二人が出されている『護里』さんってもしかして…」


 大和と飛鳥の二人は、兄妹らしく同じ表情で軽く答えた。


「「『軍』最高司令官」」


 このあと朝陽と奏の二人が思わず声を上げてしまったのは言うまでもなく…






●●●






「うん…うん、そう!!来てくれるのね!!良かったわ!!じゃあ私も準備をしておくから宜しくね!!」


 小型の通信機で、自分が遣わせた人物との連絡を終えた護里は、そっと機器を机に置く。


「そういうわけだから望生ちゃん!来客の準備をお願いね!!」


 満面の笑みで仕事を頼まれた望生は、相変わらずの無表情のまま、丁寧にお辞儀をして答える。


「畏まりました。おもてなしの度合いは如何なさいますか?」

「ん〜私としては誰とか関係なく全力のおもてなしをしたいんだけど、それだと最高議員に目をつけられちゃうし、もてなされる方もかえって困っちゃうわよねぇ…」

「…分かりました。私の方で調整致します」


 望生は珍しく困ったような溜息をつき、踵を返して仕事に取り掛かろうとする。


「望〜生ちゃん」


 と、その望生に護里は再び声をかけ呼び止めた。


「はい、まだ何かご用が…」

「良かったわね、また大和君に会えて」


 一瞬のフリーズのち、望生は心の奥底で喜んでいたことを護里に見透かされたことに気が付き、僅かに頬を赤らめる。


「議員からは仕事の依頼だったから素直な感情を表に出せなかったでしょうけど、私からは違うわ。友人を…いえ、家族を迎え入れてあげなさい」


 優しく微笑みながら与えられた仕事に、望生は先程よりも深くお辞儀し、今度こそ部屋をあとにした。


 心なしか、その足取りはいつもより軽いように見えた。


※ここから先は筆者の後書きになります!どうでも良いことを書くので興味のない方はどうぞ読み飛ばして下さい!!








ども、琥珀です!!


最近夜がふけるのが早くなってきましたね〜

気温とかはそうでもないですが、やはり秋が近付いてきてるんだなぁ、って感じます…


私は季節は春と秋が好きですね。

暑くもなく寒くもなく、かといって殺風景でもなく…季節で最も美しい時期だと思っています


まだまだ残暑が続きますが、どうぞお身体にはお気を付け下さいm(_ _)m


本日もお読みくださりありがとうございました!!

次回の更新は金曜日を予定しておりますのでよろしくお願いします!!

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